加納朋子『はるひのの、はる』
~幻冬舎文庫、 2016 年~
サヤさんの息子、ユウスケくんが本作の主人公です。彼には、幽霊が視えるという体質があります。
小学校3年生の頃には、母親と一緒に肝試しに参加します。近所に住む元漫画家の男が妻に依頼されて、肝試しを盛り上げようとがんばることになります。(はるひのの、なつ)
また冬には、学校で居場所を見いだせない鷹使いの少女が、未来からきたという女性と出会います。(はるひのの、ふゆ)
…が。どこか世界はずれていき…。
前2作の記事を見てみると、もう 10 年以上前の記事なので(このブログも本当に長くなったものです)、前2作のことはあまり覚えていませんでしたが、解説などにもあるように、本書は単体としても楽しめるつくりになっています。
加納さんの作品を読んだのは 2016 年に「アリスシリーズ」の感想を書いて以来ですが、やはりとてもあたたかく、面白かったです。
久々に引用をしておきます。
「 人はね、ほんの時々、落とし穴みたいにして悪いことをしてしまうことがあるの。(中略)魔が差すなんて言い方もするけれど……(中略)それでも、悪いことをする人が絶対に悪いんだけれども、でもその人は、そのとき色んな条件が揃いさえしなければ、一生、そんなことをせずに済んでいたかもしれないの
」 (40
頁 )
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