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2018.01.13
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加納朋子『はるひのの、はる』

~幻冬舎文庫、 2016 年~


 ​ 『さらら さや』 ​と​ 『てるてるあした』 ​に続く、ささらシリーズ第三作にしてシリーズ最終刊です。

 サヤさんの息子、ユウスケくんが本作の主人公です。彼には、幽霊が視えるという体質があります。


 まだ小学校に入る前、はるひ野という名の河原近くの原っぱを母親と訪れていたとき、行方不明になった子どもを捜している家族に出会います。直後、はるひと名乗る不思議な女の子が現れて、ユウスケくんはお願いをされます。(はるひのの、はる)

 小学校3年生の頃には、母親と一緒に肝試しに参加します。近所に住む元漫画家の男が妻に依頼されて、肝試しを盛り上げようとがんばることになります。(はるひのの、なつ)


 小学校5年生のときは、幽霊のお姉さんに声をかけられ、お姉さんが一緒に暮らしていた大好きな男を殺したいという話をされます。男の人に近づこうとし、当時の状況をよく聞いてみると、意外な事実が明かされます。(はるひのの、あき)

 また冬には、学校で居場所を見いだせない鷹使いの少女が、未来からきたという女性と出会います。(はるひのの、ふゆ)


 そして、高校生になったユウスケさんは、高校で地縛霊になっているイッサとともに、一人の同級生のために奮闘します。(ふたたびはるひのの、はる 前)

 …が。どこか世界はずれていき…。


 と、連作短編集のようで、最後に全体がきれいにつながるという構成となっています。

 前2作の記事を見てみると、もう 10 年以上前の記事なので(このブログも本当に長くなったものです)、前2作のことはあまり覚えていませんでしたが、解説などにもあるように、本書は単体としても楽しめるつくりになっています。


 加納さんの作品を読んだのは 2016 年に「アリスシリーズ」の感想を書いて以来ですが、やはりとてもあたたかく、面白かったです。


 久々に引用をしておきます。



​「 人はね、ほんの時々、落とし穴みたいにして悪いことをしてしまうことがあるの。(中略)魔が差すなんて言い方もするけれど……(中略)それでも、悪いことをする人が絶対に悪いんだけれども、でもその人は、そのとき色んな条件が揃いさえしなければ、一生、そんなことをせずに済んでいたかもしれないの (40 )

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Last updated  2018.01.13 21:59:10
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