~光文社文庫、 2009 年~
「成風堂書店事件メモ」シリーズで有名な大崎梢さんによるノンシリーズの長編作品です。それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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小学6年生の奈都 ( なつ ) は、父の事業の失敗により、父の実家で暮らすことになった。とても広いその屋敷、蔵波邸は近所でも有名で、奈都はあまりに広いその家が不気味に感じていた。そんな中、両親が用事で出かけ、奈都は一人で、苦手な大叔母たちの暮らすその家で過ごさなければならなくなった…。
と憂鬱に感じていたとき、クラスの友人が、古い家が大好きという変わり者のおねえさん、中学3年生のさゆりを紹介してくれた。さゆりは、しばらく蔵波邸に一緒に泊まってくれることになった。
隠し階段に隠し部屋もたくさんなるという蔵波邸に、さゆりは大喜びし、二人は屋敷の中を冒険する。
そんな中、蔵波邸ではうさぎが不吉なものと考えられているという話を聞く。「片耳うさぎ」という不吉な言い伝えと、蔵波家の過去のつながりとは……。
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これは面白かったです。
冒頭、とにかく憂鬱そうな奈都さんが、なぜそんなに憂鬱そうなのか、というところから物語に引き込まれ、明るく好奇心いっぱいのさゆりさんとともに冒険を始めるあたりから、ますます引き込まれていきました。
大きな事件が起こったりするわけではないのですが、少しずつ明らかにされる過去や、どこかほのぼのとした雰囲気を味わいながら読み進め、終盤からは手に汗にぎり楽しめました。しばらく前に購入していたものの、読めていませんでしたが、この度読めて良かったです。
大矢博子さんによる解説が秀逸です。
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