~集英社文庫、 2016 年~
『貴族探偵』 の続編の短編集です。高名な探偵の弟子にして、師匠の死後に独り立ちして奮闘している高徳愛香さんが、あの貴族探偵と対決します。5編の短編が収録されています。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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「白きを見れば」 財宝が隠されているという井戸がある、友人の平野紗知のペンションを訪れた愛香だが、件の井戸を見に行ったところ、そこには宿泊者の死体があった…。ペンションへの道で事故があり、警察の到着が遅れる中、愛香は真相を推理することになるが…。
「色に出でにけり」 多くの恋人と同時に付き合う玉村依子のもとに、3人の恋人たちが集まった。学者の男は趣味の占いを披露するが、依子の父と再婚した母の間に生まれた子供の占いのとき、男は動揺し、場の空気が変わってしまう。その後、占いをした男が、部屋で死んでいるのが見つかる。アリバイのない恋人の一人に疑いの目が向けられる。
「むべ山風を」 愛香が大学での事件を解決した直後、訪問していた研究室の学生が殺されているのが発見された。研究室には帰属探偵も居合わせ、愛香に解決を依頼する。
「幣もとりあへず」 愛香は、座敷童子が出るという宿に平野紗知とともに訪れた。願いを叶えたいという男女3人ずつだけが、閉ざされた別館の中で夜を過ごす。翌朝、メンバーの一人が殺されているのが発見された。
「なほあまりある」 何者かの依頼により、愛香は富豪が所有する島の別荘を訪れる。そこにはまた貴族探偵がおり、あの玉村依子も滞在していた。そしてそこでも事件は起こる。一夜に、二人が殺されていたのだった。
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これは面白かったです。愛香さんの推理に対して、貴族探偵(の使用人たち)が繰り広げる推理ということで、いわゆるどんでん返しがいくつも用意されていて、読み応えがあります。
特に「幣もとりあへず」は印象的でした。こういう趣向は大好きです。
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