~光文社文庫、 1994 年 ~
十津川警部と亀井刑事が活躍する長編です。
十津川警部シリーズはドラマでは何度か観たことがありますが、小説を読むのは初めてです。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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和歌山県で、女性の他殺体が発見された。遺体の額には、ナイフで切りつけたと思われる×印の傷があった。
東京で起こった同様の事件を捜査していた十津川警部と亀井刑事も、和歌山を訪れる。被害者には、額に×印の傷がつけられていただけではなく、年齢、職業、名前のイニシャルが同一という共通点があった。
捜査を進める中、第三の事件が起こる。またしても、被害者の共通点はあった。
和歌山で指揮を執る中村警部が容疑者の目星をつけるなか、警視庁に第四の事件の予告状が送りつけられる。
同じイニシャルの女性ばかりを狙い、額に×印をつける動機はなんなのか。とつぜん予告状を送りつけてきた思惑は。謎が深まるなか、さらに被害は拡大し……。
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十津川警部シリーズというと、時刻表をふんだんにつかった鉄道ミステリというイメージがありますが、本書は「紀勢本線」というタイトルではあれ、犯人のアリバイ工作を暴く、といった趣向ではありません。むしろ、被害者に、額に×印の傷が付けられていたり、同じイニシャル、同じ年齢、同じ職業で、雰囲気も似ていたりといった共通点があるという、「なぜ」の部分に重きがあり、好みでした。
西村京太郎さんの作品を読むのは初めてですが、読みやすく、楽しい読書体験になりました。
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