~創元推理文庫、 2002 年~
松尾由美さんによる、ノンシリーズの長編です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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マイナーロック研究会の俺―加山孝二は、メンバーの協力により、どうしても欲しかった<テリブル・スタンダード>のファーストアルバムを手に入れた。メンバー全員でCDを聞いていたが、「ブラック・エンジェル」というインストゥルメンタルが流れたとき、とつぜん黒い天使が現れる。天使は、メンバーの一人、岡埜映子のナイフを握った手をひねり、そのナイフを心臓に突き刺したのだった。
特に家族に、人生は無意味といった発言をしていたこともあり、警察には自殺として処理されることになったが、真相を知るメンバーは、納得をするために、それぞれでできることを調べ始めた。加山は、中古ショップにCDを売った外国人と接触し、さらに岡野の周囲を洗い始める。
しかし、天使は再び現れたようで…。
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松尾さんの作品は、いわゆる現実世界だけで完結せず、超常現象的なことが起こり(たとえば 『安楽椅子探偵アーチー』 シリーズでは安楽椅子が話もすれば事件も解決します)、それでも事件自体は論理的に解決される、という趣向ですが、本作では、事件の犯人が超常現象となっています。
解説の大矢博子さんが指摘されているように、本作はミステリのあるジャンルとなっていて、たしかにその点ではミステリなのですが、個人的には「事件の犯人が超常現象」という点がうまく受け入れられず、今まで読んできた松尾さん作品の中ではやや苦手な作品でした。
といっても、物語の展開はとても面白く、惹きつけられるところもありました。
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