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2019.01.13
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松尾由美『ブラック・エンジェル』

~創元推理文庫、 2002 年~

 松尾由美さんによる、ノンシリーズの長編です。

 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

―――

 マイナーロック研究会の俺―加山孝二は、メンバーの協力により、どうしても欲しかった<テリブル・スタンダード>のファーストアルバムを手に入れた。メンバー全員でCDを聞いていたが、「ブラック・エンジェル」というインストゥルメンタルが流れたとき、とつぜん黒い天使が現れる。天使は、メンバーの一人、岡埜映子のナイフを握った手をひねり、そのナイフを心臓に突き刺したのだった。

 特に家族に、人生は無意味といった発言をしていたこともあり、警察には自殺として処理されることになったが、真相を知るメンバーは、納得をするために、それぞれでできることを調べ始めた。加山は、中古ショップにCDを売った外国人と接触し、さらに岡野の周囲を洗い始める。

 しかし、天使は再び現れたようで…。

―――

 松尾さんの作品は、いわゆる現実世界だけで完結せず、超常現象的なことが起こり(たとえば​ 『安楽椅子探偵アーチー』 ​シリーズでは安楽椅子が話もすれば事件も解決します)、それでも事件自体は論理的に解決される、という趣向ですが、本作では、事件の犯人が超常現象となっています。

 解説の大矢博子さんが指摘されているように、本作はミステリのあるジャンルとなっていて、たしかにその点ではミステリなのですが、個人的には「事件の犯人が超常現象」という点がうまく受け入れられず、今まで読んできた松尾さん作品の中ではやや苦手な作品でした。

 といっても、物語の展開はとても面白く、惹きつけられるところもありました。

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Last updated  2019.01.13 22:27:17
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