天祢涼『キョウカンカク 美しき夜に』
~講談社文庫、 2013
年~
第 43
回メフィスト賞受賞作にして、天祢涼さんのデビュー作。聴覚と視覚が連動する共感覚をもつ探偵、音宮美夜さんが活躍するシリーズ第1作です。
それでは、簡単に内容紹介と感想を。
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星守市で、ホームレス女性が死後焼かれ、遺棄されるという事件が2度発生した。その犯行から、犯人はフレイムとあだ名される。二人の被害者はしばらく身元が分からなかったが、その後に起こった第三の事件では、すぐに身元が判明した。天弥花恋という、高校生の少女だった。
*
花恋の兄、山紫郎が市のシンボルタワーで思いにふけっていたとき、声をかけてきたのが音宮だった。自殺したい人の声は蒼に、人を殺したい人の声は赤く見えるという彼女によれば、自分の声は蒼かったという。妹のために何かしたい―そう思った山紫郎は、彼女の助手となることを申し出る。
捜査の中で、音宮の共感覚によれば犯人と目された人物は、しかし山紫郎にとっては犯人たりえない人物だった。彼は自らの推理で犯人を突き止めようとするが…。
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久々に、メフィスト賞受賞作を読んでみました。(初期はだいぶ追いかけれていましたが、途中からカバーしきれなくなってしまっています。)安心して楽しめました。
背表紙の紹介にもありますが、フーダニット(誰が犯人か)の要素もさることながら、本作はホワイダニット(動機のミステリ)に重きが置かれています。これはやられました。
シリーズは、講談社ノベルスから、講談社タイガに初出をかえながら、本書も含め4作刊行されているようです。第二作以降も気になるシリーズです。
(2021.03.04 読了 )
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