鷺沢萠『バイバイ』
~角川文庫、 2000
年~
鷺沢萠さんによる長編小説です。
初めて車を買うのに戸惑っていた客―朱美さんに紹介した車は、しばしば故障しました。そうして朱美さんと何度も会ううちに、次第に二人は付き合うようになります。しかし、勝利さんにはあと2人、付き合っている人がいるのでした。
勝利さんの朱美さんへの理不尽な怒りなど、いらいらさせられる描写もありますが、登場人物の言葉を借りれば、寂しいのは勝利さん自身なのでしょう。
島村洋子さんによる解説では、本書の問いかけはかなり本質的なものですが、私は、幼少期の様々な経験によってこういう大人になってしまっても、しかしきっと何かのきっかけや環境によって変われるのではないか、というある種希望もある物語として読みました。希望というか、「環境」の大切さ、というか…。
久々の再読ですが、良い読書体験でした。
(2021.08.24 読了 )
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