~角川文庫、 1977
年~
ノンシリーズの長編作品。
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血みどろ、陰惨で刺激的な作風の有名な作家、大江黒潮に招かれて、軽井沢にあるその別荘を訪れた編集者にして探偵作家の由比耕作は、まちの人から、恋愛合戦が繰り広げられていると聞く。果たして、そこに集う俳優や女優たちには、複雑な関係ができあがっていた。
そんな中、大江が探偵能力にも優れていると評する白井三郎が別荘を訪れることになり、すでに集まっていたメンバー8人は、探偵劇を演じ、白井が真相を暴けるか試してみることとなった。被害者役は大江。他の7人は、それぞれに彼を殺すもっともらしい動機があった。
別荘近くにある、立体迷路の塔で、その劇が演じられた。7つの迷路階段に分かれ、それぞれ頂上を目指す7人のメンバー。しかし、犯人役の由比が大江と会話を交わし階段をおりた少し後、悲鳴が聞こえ、頂上に戻ると、大江は何者かに殺されていて…。
塔にひそむ謎の男や、失踪するメンバーと、謎は混迷を深める中、さらに事件は続き…。
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20
年ぶりくらいに再読しました。
中島河太郎さんの解説によれば、もともと昭和7年に刊行された作品とのこと。同じく中島さんも指摘しているとおり、主人公の由比さんの名は、後の由利先生や、山名耕作(さらには金田一耕助)もほうふつとさせます(耕作、耕助、という名前はお気に入りですよね)。
物語は大きく2部構成で、第1部は山名さん視点で人間関係や発端となる事件を描きます。第2部では、舞台は東京に移り、主に白井さん視点で事件のさらなる進展や再検討が描かれます。
誰もが怪しい中、真相に迫っていく過程をわくわくしながら読み進めました。
(2023.02.08 読了 )
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