柚木麻子『本屋さんのダイアナ』
~新潮文庫、 2016
年~
自分の名前を変えたい、そして将来は本屋になりたい少女と、穏やかな家庭で育ちながら、中学受験、そして大学進学を経て何かが変わってしまう少女の物語。
物語は、矢島ダイアナ(漢字では大きな穴と書く)さんと、神崎彩子さんの2人の視点で進みます。
ダイアナさんは、キャバクラでママをしている母―ティアラと二人暮らし。髪を金髪に染められ、食事もコンビニやファストフードが多いですが、図書館に通って本を読むのが好きな少女です。
小学三年生の始業式の日、名前のことでクラスメイトからからかわれたとき、守ってくれたのが彩子さんでした。
ダイアナさんは、彩子さんの恵まれた環境に憧れ、彩子さんは、ダイアナさんのワイルドな環境に憧れます。二人は本を通じて―とくに、はっとりけいいち作『秘密の森のダイアナ』は二人のお気に入りでした―ますます仲良くなるのですが、小学6年生の頃、ささいなきっかけで二人には溝ができてしまいます。
その後、別々の道を歩む二人。ダイアナさんは、自分の夢をかなえるため、本屋での就職を目指しますが…。
同僚から勧めていただいて手にしましたが、好みの物語でした。
かわいらしい装丁ですが、物語は重たい、つらい要素も多いです。それでも、「呪い」を解くために立ち向かっていく二人の姿が素敵でした。
良い読書体験でした、
(2023.11.07 読了 )
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