アンソニー・ホロヴィッツ(山田蘭訳)『メインテーマは殺人』
~創元推理文庫、 2019
年~
(Anthony Horowitz, The Word is Murder
, London, 2017)
元刑事ダニエル・ホーソーンと脚本家・作家のアンソニー・ホロヴィッツが活躍するシリーズ第1弾です。
わたし―ホロヴィッツは、刑事ドラマについて助言をもらっていたホーソーンから、自分の本を書いてほしいと依頼されます。ホーソーンは、刑事を退職後も、その優れた能力から、捜査への協力を求められることがあるのだ、というのです。
そして、今回対象となるのは、有名俳優の母親―ダイアナ・J・クーパーが殺された事件。彼女が葬儀会社を訪れ、自分自身の葬儀の手配を行ったその夜、何者かに殺されてしまったというのです。
ダイアナは、過去、とつぜん車道に飛び出してきた双子の少年をひいてしまうという事件を起こしていました。一人は死亡、一人は重い障害を抱えることになります。まるでその事件を想起させるかのような脅迫が、ダイアナのもとに届いていたようで…。
そして、俳優の息子、ダミアンがアメリカから戻ってきて葬儀に参加したとき、葬儀でも奇妙な出来事が起こります。そしてさらに事件は続き…。
―――
これは面白かったです。
自分の経歴をほとんど話そうとしないホーソーンのことを、感じ悪い人だと思いながらも、ホロヴィッツが少しずつ興味を持っていくのも、この物語(そしておそらく、シリーズを通じて?)の1つのテーマになると思います。
また、なにより事件そのものが興味深いです。
密室のような大掛かりなトリックこそないものの、自分自身の葬儀の手配をした直後に殺される…という、斬新な謎から始まり、葬儀での奇妙な(そしてなかなかに不気味な)ある出来事、続く事件、関係する多くの人々が怪しいという、上質のミステリです。
(2024.10.04 読了 )
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