家曜日~うちようび~

家曜日~うちようび~

2017.12.10
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無印良品の 「コルクコースター」
10枚一組で¥300以下で買えます。
お得っすね~。
10枚あったはずのコースターが何故か3枚になっていたので、妻に問うと、
7枚は、長女P子の工作の材料として、芸術の餌食として、使われたのだとのこと。
ありゃりゃ、・・まったくもう。

グラスの下に敷くコースター。
僕の実家には、こんなものを敷く習慣は無かったなぁ。
グラスの水滴がテーブルに滴り落ちたらさ、
袖よ、袖、迷うことなく服の袖で、ひと拭きよ。

そうそう、昔、友達の家でファミコンとかやってる最中にさ、
その友達の若くて綺麗なお母さんが、カルピスの入ったグラスをコースターにのせて登場したりすると、
じょ!上流階級っ! とか思ったもんなぁ。

そんで、そのカルピスをかき回す棒が、贅沢にも液体をかき回す為だけに発明されたガラスの棒でさ、
うちみたいにお箸でかき回すんじゃないのね、お箸の反対側じゃねーの。
目の前でカランカランなんつって優雅にかき回して見せてさ、その後、ストロー差してちゅーちゅー。
​き!貴族っ!​ とか思ったもんなぁ。
僕なんか、カルピスなんてゴクゴク飲んだら勿体ないってんで、
日頃は、スプーンですすってたっつーの、ずーずーと、スープのように。

コースター、オンザ、カルピス、イン、ストロー、チューチュー。
もぉ~その後は自然と、そいつに敬語ね。カルピス一杯で、そいつの家来ね。
そいつがやってたドラクエの 「復活の呪文」 、頼まれもしないのに、そいつに代わって、
ノートに筆記させていただいたりしたもんなぁ。家来として・・・。

​ぴずいふぬぴゃぬわいびあるぶるぶえ・・・。


「部長、今、水滴、袖で拭きましたね。」
この間、昼メシで入った牛丼屋のカウンターでの事。一緒にいたK君が僕に言った。
僕、水のグラスからテーブルに滴り落ちた水滴を、無意識に作業着の袖で拭いていたようだ。
「はは。育ちがバレるね、ヤバイね。」と僕。
K君はうちの会社の協力業者で、一人親方の水道屋さんだ。
元々、うちの会社の僕の部下で、10年程下積み経験をして独立、当然の流れで僕は彼に仕事を発注している。
まだ血気盛んな30代前半の若き経営者の彼と、現場での打ち合わせのついでに一緒にメシでもと、牛丼屋に入ったんだけどよ、
メシの最中、やっぱ、血が、気が、お盛んなもんだから、日頃の元請ハウスメーカーへの怒りや不満を、熱く僕に語ってくる訳よ。

体制がおかしい!工程に無理がある!こうこうこうすれば、問題は即解決するはずなのに!
部長!お願いです!今度の業者会議で、僕の意見を!現場の声を!バシッっと言ってやって下さい!
みた~なことを言う訳よ。も~内容が熱すぎてぇ~、熱っ!思わず耳タブつまんだもん。

K君さ。K君の意見、現場の声、100パーセント正論だよ。
でも正論過ぎて、むしろ正論が故に、たぶんそのままでは通らんね。
会議では、君の正論を50パーぐらいの目盛りに落として発言して、やっと通るか通らないかってとこだな。
その後、2・3年の時をじっくりかけて、あと30パーの意見を通す。そこが限度。100パーセントの実現は無理。
と僕が言うと、

部長!逃げるんすかっ!
部長!それでいいんすかっ!
部長!現場を変えていきましょうよ!
部長!てか、紅ショウガのせすぎっす!真っ赤っかじゃないすっすか!これもう牛丼じゃねーっすよ!
などと、さっきから、ちょいちょい人のメシの喰い方にイチャモン付けながら、K君は吠える。

「踊る大捜査線」の青島。K君ってそんな奴。
正直うっとおしいね。K君的な、青島的な人。
いつも真っ直ぐな熱い気持ちで体当たりじゃん?
ちょいちょい体当たられるほうは、たまったもんじゃないよね。
もぉ~あの番組、僕、ずっと室井に感情移入して見てたもん。

「室井さん!上は何やってんすか!」

知らねっつーの!俺のせいじゃねっつーの!

「室井さん!何で黙ってんすか!何とか言って下さい!」

黙っているのも「発言」の選択肢のひとつだっつーの!

「室井さん!偉くなって、警察変えて下さい!」

テメーがやれっつーの!もう俺ダリーっつーの!

さて、こっちの青島、K君はというと、
部長!部長って、交渉とか得意じゃないっすか!だから頼んでんすよ!
部長!部長がそんなんだったら、僕、 直接元請けの会社に行って直談判するっす!
部長!てか、喰い終った丼ぶり米粒だらけっす!喰い方汚いっすね!
などと、いちいち人のメシの喰い方にうるせー事言いながら、元請けへの クーデター も辞さぬと吠える。

ありゃりゃ、・・まったくもう。

まぁ、何とかしてやるか。

K君は僕の弟子みたいなもんだし・・・。

しっかし、あれだぁ~。
今の会社で今の位置についてから、僕、ずっとこんなんばっかだなぁ~もぉ~。
社内、社外、問わず、イザコザやゴタゴタなどの、
僕としては全く無関心の事柄、むしろあえて避けて通りたい事柄に、
何故か、ごく自然に、否が応でもって感じで、巻き込まれてちゃってなぁ~もぉ~。

まぁ。これが俺様の運命よ!なんつって、割り切ってしまえばね、楽だよね。

たぶん、前世から、ご先祖様から、こんな運命だったのだと思うな。

戦国の時はさ。京で坊主やっててさ。
夜中、騒がしいから起きたら、寺の廻り 「水色桔梗の旗印」 で取り囲まれてるじゃんか!
「敵は本能寺にありぃー!」とか叫んでんの。
「違う違う!お隣!本能寺はお隣ぃー!」
言うも虚しく、関係無いのに襲われちゃって、
障子も畳もグチャグチャ、寺ボロッボロ、みたいな。

江戸中期の頃はさ。江戸でお勤めしててさ。
夜中、騒がしいから起きたら、家の廻り 「赤穂浪士の陣太鼓」 が鳴り響いてるじゃんか!
「討ち入りじゃー!」 とか叫んでんの。
「違う違う!お隣!吉良邸はお隣ぃー!」
言うも虚しく、関係無いのに襲われちゃって、
障子も畳もグチャグチャ、家ボロッボロ、みたいな。

幕末の頃はさ。京で旅館やってってさ。
夜中、騒がしいから起きたら、旅館の廻り 「水色の羽織着たガラの悪い輩」 がウヨウヨいるじゃんか!
「新選組だぁー!」とか叫んでんの。
「違う違う!お隣!池田屋はお隣ぃー!」
言うも虚しく、関係無いのに襲われちゃって、
障子も畳もグチャグチャ、旅館ボロッボロ、みたいな。

手塚治虫の 「火の鳥」 「猿田」 って登場人物がいるじゃんか。
先祖が犯した大きな罪の、その罰として、子々孫々までその顔は醜く、
何度生まれ変っても、永久に満たされぬ旅を続ける運命の、あの「猿田」ね。

あの「猿田」って訳じゃないっすけど、僕の場合もさ、
僕の先祖に、ものすげー自分勝手に、人に迷惑をかけまくって生きた奴がいてさ、
その罰として、 他人のイザコザやゴタゴタに巻き込まれまくる運命 の、
哀れな子々孫々のうちの一人なんじゃねーかね?

そんでもって、

そのイザコザを調整していくのが、

僕の宿命なんじゃねーかね?

ははは。なんつって割り切ってしまえば、

ははは。なんか笑えてきたわ。

ははは。永久に満たされぬ中間管理職の旅。

ははは。・・・とほほ。


昔から、コースターなんて特に高い物じゃなかったのだろうけど、
家でちょいと飲むグラスの下に、こんな物を敷く「心の余裕」というか、
テーブルの水滴や輪ジミが気になっちゃう「心のゆとり」というか、
子供の頃の僕には、どこか「豊かさ」の象徴のように見えたんですね、「コースター」。

んで。こうして大人になって、いっちょ前にコースター敷いて、グラスで酒飲んでる訳っすけどね。

おかげ様で、昔より生活もずいぶん豊かになったろ?
会社でも、ふんぞり返ってしまおうと思えば、きっと出来ぬ訳でもなかろ?
もういいんじゃない?
グラスとテーブルに挟まれたこのコースターみたいに、
いつまでも、人と人との板挟みを買って出なくても、


もういいんじゃない?



おおっと!あぶねぇ~。

おごるな!人生!

逆らうな!運命!

遠い宇宙の果てから、

火の鳥が見てるぜ!



そう、火の鳥は、きっと見ている。




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最終更新日  2019.01.01 03:51:51
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