両親ともにヤマメなのに生まれてくる稚魚はすべてニジマス―東京海洋大の吉崎悟朗・准教授らが、ニジマスの精子のもとになる細胞(精原細胞)を、ヤマメの稚魚に移植してニジマスの精子と卵子をそれぞれ持ったオスとメスのヤマメをつくり、両者からニジマスを誕生させることに成功した。
吉崎さんらは、ニジマスのオスから精原細胞を取り出し、不妊処理をしたヤマメの稚魚の腹部に入れた。すると、本来が性成熟しないはずの稚魚が、ニジマスの精子と卵だけをそれぞれ持ったオスとメスのヤマメに成長。この両者をかけ合わせた生まれたのはすべて正常なニジマスだった。
不妊処理したヤマメの稚魚は、成長しても精子や卵はできないようになっている。しかし、この稚魚にニジマスの精原細胞を入れると、この細胞が、精巣や卵巣のもとになる生殖腺に移動。稚魚がメスの場合はニジマス由来の卵が、稚魚がオスの場合は精子が、ヤマメの生殖腺内にできることがわかった。
【朝日新聞9月14日朝刊】
