ふみこさま こんばんは

大変なことがあったのですね。でも、チョロさんとの出会いは本当に大きなご褒美ですね。チョロさんとお話できるふみこさん、素敵です。あわてるチョロさんも・・・うふふ。そうして、おうちに戻ってからの付き合いも良いですね。

近所で時々出会う猫さんがいます。いちど2階のベランダでお布団を干していたら、道の真ん中でくつろいでいて、目が合って、しばらく見つめ合ってました。ちょっと嬉しかったです。犬も猫も飼ったことが無いので、どうお付き合いをして良いのか、わからないのですが、今度、道で会ったら、話しかけてみます。

火事は・・・一度近所でありました。夜中だったので、もっと近くに見えて、あわてて御近所に声をかけて…、そうして離れているはずなのにあの熱さは忘れられません。それからいっそう火のことには気をつけるようになりました。終始冷静だったMさん家族。なかなかできることではないと思います。大変だったのでしょうが、無事に戻られてよかったです。 (2013/10/08 08:43:16 PM)

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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2013/10/08
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カテゴリ: うふふ日記
 その日が近いと思った日から、それが伝わっていたのだと思う。 
 突き放す準備を、わたしは何とはなしにはじめていたのかもしれない。「突き放す」には、こころの準備や練習が必要だった。 
 チョロ(愛称)が、家に帰る日が迫っていた。

 チョロをMさんから預かることになったのは、近所の火事が原因だった。火元のことも、近所の不安もすっかりおさまっているから、もうここへも書ける。類焼したMさんの家は、消防の放水で水浸しになったが、静かに家族で仮住まいのアパートへと越して行った。わたしのうちは結果的に被害がなかった。とはいえ火元に近かったから、火の力、火の動きを目の当たりにした。火事の恐ろしさが身に沁みた。しかし、火元への恨みごとを口にせず、終始冷静だったMさん家族の佇まいがこの胸に残したものが、いちばん大きかった。このひとたちのためにも、チョロを大事に守りたいと思った。5月はじめ、黄金週間(ゴールデンウィーク)ただ中のことだった。

 「チョロ、どんなときも食べ過ぎちゃだめだよ。腎臓が頑丈というわけじゃないからね。水も、ちゃんと飲んでね。聞いてる? 水も……」
 気がつくと云い聞かせる口調になっていて、それでじゅうぶん、別れの迫っていることは勘づかれてしまっただろう。こんなことなら、ことばの通じないお互いのままでいたほうが、楽だった。
 そうだ、いまやチョロとわたしは、ことばを交わすお互いになっている。朝、弁当をこしらえるわたしのもとにやってきたチョロは、「きょうは、いつもより手間取ってるんだー。朝の連ドラ(NHK朝の連続テレビ小説)を一緒に観よう。それまでに帰ってきてね」と云われれば、「了解!」と見事な尻尾を振って、もうひと遊び庭に出てゆく。
 午前4時から5時のあいだ外に出してやり、8時にもどるというのも、自然にできた決まりだった。その後はもうどう乞われても外には出さないことも、チョロとのあいだで約束していた。
 夏の暑い時期、午前8時を過ぎてももどらないチョロに、「心配したよ。どうして、もどらなかったの?」と訊いたときには、あわてていた。散歩の途中でクルマの下にもぐりこんだら涼しくて、そのまま眠ったのだとすまなそうに云った。

 初めてうちにやってきた5か月前のチョロ(放水された家のなかでじっとうずくまってひと晩を過ごし、からだから焦げ臭い匂いがしていた)は、誰が近づいてもフーッと威嚇(いかく)したのだったなあ。うちのモノたちはチョロなんかはいないことにして、あたりまえに過ごすことにした。すると、2日めの午後には、チョロのほうでもあたりまえの様子になっていた。威嚇の甲斐がないと思ったのかもしれない。

 10月はじめ、すっかりきれいになった家にMさん家族が帰ってきた。
 「引っ越しの荷物が落ちつくまで……」と考えようとしたが、家族の待つ帰るべき家に明りが灯っているのに、チョロをここに置くのはどうだろう。荷物が納まった日の翌日、思いきって(ほんとうに思いきって)キャリーバッグに入れ……。入れようとしても、頑として入らない。
 「チョロ、とうとうおうちに帰るんだよ。お別れと云っても、近所なのだし。朝の散歩のときには、庭においで。そうすれば毎日だって会えるからね。ねえチョロ、5か月間、ほんとにありがとうね。ありがとうね」

 帰ってしまった翌朝、チョロはやってきて「家に入れて」と云い、誰も行かないでいたら、網戸によじ登って「おーい、おーい」と呼んだ。
 数日が過ぎたいまは、チョロは朝、庭にやってきても、のんきにしている。
 それでいいのよ、それで。わたしのほうでは、全身を覆うこのせつなさも、チョロを無事に返せたことも、この夏の褒美だと考えている。


ブログ椅子の下の籠.jpg
居間の窓近くに置いた椅子の下に、
この夏、籠を入れました。
缶、瓶、ペットボトルなど資源ゴミの一時置き場です。
ほんとうの置き場は庭にありますが、
そこへ運んでゆくとき、網戸をあけるたび、
チョロが外に出たくなってしまうので、
一時置き場を思いついたのでした。

なかなかいい具合。
チョロのおかげで思いついた工夫です。





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最終更新日  2013/10/08 09:39:53 AM
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秋への贈り物  
どりす さん
出逢いは、いつも心躍りますが、
頭では理解できいても「わかれ」は身体の中に水たまりが
できます。
今は、とても良い関係のご近所さんの
チョロちゃんなんですね。
響く言葉もいらない関係、それは、まさしくご褒美です。
ことのほか暑かったこの夏に、奇跡のような出会いでしたね。
そんな出会いを 見過ごさないようテクテク歩こうと
思います。 この秋からを。
(2013/10/08 12:51:40 PM)

私の褒美  
たまこ さん


ふんちゃん、みなさまこんにちは。
最近のうふふ日記は夏休みの絵日記を見ているみたいで、ウキウキします(*^^*)
チョロちゃんはもしかしたら、いちさんに頼まれて、
ふんちゃん一家を見守る使いかもしれませんね*


私の夏の思い出は、洗濯を手洗いしたこと
おばあちゃんちで頼りにされたことです。


(2013/10/08 01:51:50 PM)

そうだったんですね・・・  
ゆるりんりん さん
チョロちゃんと
チョロちゃんのご家族のみな様
大変だったんですね。
普通の暮らしがもどりつつあるようで
よかったです。
チョロちゃんは夏の間
ふみこさんちに疎開してたんですね。
いい思い出をいっぱい持って帰ったと思います。
でもふみこさんは胸キュンですね。
がんばれ♡ (2013/10/08 05:38:40 PM)

Re:この夏の褒美(10/08)  
あすちるべ さん

はじまり。  
ふみ虫 さん
どりすさん

「終わる」というのも、
なかなかいいものだなあと感じています。

うちの庭を堂々と歩いているチョロを
目にするたびに。
ちらっとわたしが仕事している窓のほうを
見るんです、チョロは。
こんなのは、「はじまり」だと思えます。

ふ (2013/10/09 08:47:13 AM)

財産。  
ふみ虫 さん
たまこさん

そうなんです。
いちごの連絡で、うちをひとまわりしていってくれたと
勝手に思っています。
ありがとうね、そんなふうに思ってくださって。

手洗い(洗濯)の経験は、
たまこさんの財産です。
きっぱり申します。

ふ (2013/10/09 08:49:48 AM)

疎開。  
ふみ虫 さん
ゆるりんりんさん

疎開。
そうだったんだなと、思いました。
おもしろい疎開だったと思います。

少なくともわたしにとっては、そうでした。

(また、何か来ないかなあ……疎開に)。

ふ (2013/10/09 08:53:01 AM)

Re:この夏の褒美(10/08)  
の ん さん
ふみこさま、お久しぶりです。
チョロちゃん、茶色の毛がふさふさな
あの可愛いチョロちゃんですね。
言葉も 心も通じ合うお相手になっていたなんて
なんて素敵でしょう。

これからも よいお相手でいてくれますね。

長女が 一人暮らしを始めてやっと半月。
突き放す準備も十分でないまま、
ふわ~っと行きました。
洗濯物が 減りました。
1人分の空気があまっているような 我家を感じます。
(近いので、今週末に帰ってくるんですが)
いただいた新米で 栗ご飯をと思っています。
(2013/10/09 08:54:31 AM)

通じる。  
ふみ虫 さん
あすちるべさん

話せると云うのは、まちがいかもしれません。
話せると思い込む、ということですね。

でも、話せたーと思うときが
ふえてゆくんですよね。
(反対に、まったくはなしの通じな人間もいます)。

ふ (2013/10/09 09:55:23 AM)

栗ご飯。  
ふみ虫 さん
の んさん

ご長女は、
これまで以上に、いっそうお母様を
「眺める」ことになるでしょうね。
離れていても、こころのなかで、そっと
眺める……。

それは、やはり「はじまり」だと思います。ね。

ふ (2013/10/09 09:58:39 AM)

お久しぶりです  
ぞみさん  さん
チョロさん、ふみこさんと一緒に過ごせて楽しかった
でしょうね
猫ちゃんとの間に、自然と決まりごとが出来るなんて
5ヶ月間のうちに、信頼関係が出来たんですね
素晴らしい。帰ってしまって寂しいけれど、お庭に
顔を見せにきてくれるなんて…いいお友達になれましたね

ふみこさん、私もとうとう当たりました!
そうです!嵐のコンサート!
ふみこさんはどうでしたか?
私は、娘と飛び上がって喜びました
11月16日、思い切り楽しんできまーす (2013/10/11 03:17:30 PM)

チョロとの夏  
えぞももんが さん
ふみこさん おはようございます

そうだったんですか・・。
そういう風に チョロと過ごされた夏だったのですね
チョロには のんびり過ごせる 庭が もう一つ増えた。
話が通じる人を もう一人 見つけられた夏だったのですね

斉藤洋さんの児童書に 「ルドルフとイッパイアッテナ」という 猫達の物語があります 
“イッパイアッテナ”は猫の名前なのですが 由来は 「俺の名前はいっぱいあってな…」からきています
いろんなところで 餌をもらって それぞれの場所で 名前を付けられたから (笑)
ふみこさんとチョロの話を聞いていて 大好きな 本を 思い出しました。 (2013/10/12 06:14:06 AM)

精神の活性。  
ふみ虫 さん
ぞみさんさん

おおお、札幌ドームですね。
おめでとうございます。
行っていらっしゃい。

うまく云えないのですが、
わたしにとって、「このひとたち」のことは、
「このひとたち」へのことは、
精神活性化(活動)なのです。
祈ったり、歌ったり、感謝して。
(当選すればうれしいですが、
しなくてもまた……という思いもあり)。

行っていらっしゃい。


(2013/10/12 07:39:40 AM)

いいなあいいなあ。  
ふみ虫 さん
えぞももんがさん

あ、びっくり。

今夏、久しぶりに『ルドルフとイッパイアッテナ』を
読みました。
重要な読書となりました。

あらためて、いいなあいいなあと
思いました。

ふ (2013/10/12 07:41:55 AM)

つながり  
寧楽☆ さん
ふみ虫さま

新しく、温かいつながりが
またひとつ。

いちごちゃんのはからいでしょうか・・・

野良猫たちにも愛を注ぐ友人は
猫たちが「おばちゃん」とよんでいたのが
「おかあさん」とよぶようになるといいます。

チョロちゃんにとって
ふみこさんの庭も安心できる場所に
なったんですね。 (2013/10/12 09:47:29 AM)

秋空とどんぐりと  
みゅー さん
こんにちは ふみこさん みなさん♪
秋空が広がっていますね
足元にはどんぐりの帽子がたくさん落ちています。一年過ぎるのはあっという間ですね
ふみこさんの夏のご褒美 チョロさんとの出会い そして 大切な別れと新たな関係・・・ 猫さんって なかなか他人にはなついてくれないものですが(我が家の14歳のネコは家族以外は逃げますよ~)チョロさんはきっとふみこさんだから 心から寄り添えたんだなあと思います
人間同士も猫さんとの関係も 何か同じだと思うのです
お互い良い心の距離ってとても素敵ですから♪
ふみこさんのイスの下スペース いいですね。
何かすごくすごく有効なる小さな空間!
我が家の玄関にある小さな木のイスの上には 小さな鉛筆と紙がのっています。
玄関に訪ねてきて下さった方が 一言残せるように。
ふみこさん 今夜は我が家は栗ごはんに ナツメもあります。
どこでもドアで ちょっとおすそ分けに行きたいと思いますよ~
(2013/10/12 02:15:48 PM)

この夏の褒美  
大野 春 さん
山本さん 
大野です

先週 準決勝は負けてしまって 今日 3位決定戦でした。
延長戦の末、勝ちました!
兄ちゃんが、延長10回、
ホームランを打ちました!
スリーラン!

まだ 手が震えています。

圭梧の歌に、女子生徒、保護者、引退した3年生
みんなついてきてくれました。

感動しました・・・。

ああ 野球って、すごいです。
(2013/10/12 03:20:57 PM)

すてき…  
もも(^-^) さん
ふんちゃん

 そんなことがあったんですね…。
 火事は、私が小学生の時に、目撃したことがあります。
 友だちと遊んでいて、偶然に、出くわしたのですが、本当にあっというされ、火事の恐怖を初めて体で感じたことを覚えています。それから、何十年も経ちますが、いまだに、あの時の光景を思い出すことができるほど、強烈なものでした…。
 お近くでそのようなことがあったなんて、想像するだけでも、ドキドキします…。

 そして、その後のチョロちゃんとの日々…。
 衝撃的な出来事の後、
 なんて温かく、ステキな思い出だろうと思いました。
 私も、ご褒美をいただいた気分です。

 今週、来週と、自分や家族の予定がびっしりで、目まぐるしく一日が終わっていくようです…。
 ひとつひとつ、味わうように…、丁寧に…と、何度も何度も言い聞かせて、呪文のように繰り返して…、過ごしています。
 茶碗を洗ったり、お風呂を掃除することが、少し気持ちをのびやかにしてくれている気がします。

 これも、ふんちゃんのおかげだなぁ…と、しみじみ…。
 ありがとうございますm(__)m


  (2013/10/12 03:36:23 PM)

わが意を得たり!  
Kouji さん
ふみこさま、みなさま、こんにちは。

チョロさんとの交流を褒美だということ。とてもよくわかる気がします。
ひととのそれも同じなんですよね。
悩みにしてしまうけれど、ちがうだろうとおもいます。
悩み苦しんだり、悲しんだり寂しくなるだけのものが得られたということでもあるし、悲しんだり寂しくなることもありがたい賜り物。
なんでそれがわからないのだろう。
そうとろうとしないのか、もどかしいし、不思議におもっているものですから。

ところで、『ルドルフとイッパイアッテナ』の作者のかいた『白狐魔記』大好きです。
シリーズもので、まだ完結していないようですが、この作者、見逃せません。
とはいえ忘れていました。
思い出させていただき、ありがとうございます。
(2013/10/12 05:34:48 PM)

はからい。  
ふみ虫 さん
寧楽☆さん

チョロのことは、
いちごの「はからい」だったと思います。
……たしかにね。
(しまいには、容姿も似てきました)。

けれど、この世のことは、
すべてが「はからい」なのかもしれませんね。

寧楽さんにそのことばをいただいて、
考えたことですが。

ふ (2013/10/14 09:32:57 PM)

ありがとうありがとう。  
ふみ虫 さん
みゅーさん

ああ、ごちそうさまです。
ほんとうに、そういう心持ちです。
ひとが、皆、おすそ分けのこころで
生きてゆけたら……どんなにいいだろうと
思いました。

ふ (2013/10/14 09:35:59 PM)

ホームラン!  
ふみ虫 さん
大野 春さん

王子おふたり、大活躍だったのですね。
うれしい!

ホームランもおめでとう!
おめでとう、おめでとう。

わたしは、土、日、月と、
武蔵野市で行われた「グランドソフトボール」の
試合観戦に行きました。
目に障害のある選手たちの野球です。

ものすごくたのしい上に、
いろんなことをおしえられた試合観戦でした。



(2013/10/14 09:40:58 PM)

全体として。  
ふみ虫 さん
Koujiさん

さびしいことも、
大変なことも、
まるごと褒美だったんです。

部分ではなく、全体として、です。

そのことをわかることができたのも、
褒美のうちだったなと、思い返しています。

ふ (2013/10/14 09:43:55 PM)

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