しぐれ茶屋おりくの部屋

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大坂の陣 その5♪



(G女=お江)「忘れ物したの。ネッカチーフありませんでしたぁ?」
(マスター)「今、取り込み中です。何でも好きなもん持って帰りなさい」
(G女=お江)「あらっ!お姉様じゃないの、私よ私」

(田代=淀)「あぁ、お江かえ。なんで私ら姉妹が西と東に別れて争わないかんの。女は不幸やわ」
(G女=お江)「姉さん、大坂城落城の目に遇われて、お気の毒でしたねぇ。私みたいに上手に世渡りせんといかんよ!」
(田代=淀)「放っといて、もっと自分に正直に生きなあかへんやんか」

(G女=お江)「姉さん、完全に関西弁になってるわよ」
(田代=淀)「うっ・・・心得ました。そなたと私は敵味方、とっとと片隅に引っ込んでおりゃれ」
(G女=お江)「いけずなお方。フン!」
 皆が皆、昔に戻れる訳ではないのです。ジャガーの兄さんは今度はそのままなンです。・・・これ困りますよ。東軍が一人増えたので、彼が西に就かないと不公平になります。

それがどうしてもそうは行かないので西軍に分が悪くなりました。今回こそ協議し直して歴史を覆(くつがえ)す意気込みでしたンですけど、大変ですわな。

(石田)「前回の戦では、淀の御方様が差しで口を挟まれたゆえ、全軍を率いるそれがしも苦労致した。今回は幸村、又兵衛両氏の戦法を第一と致したい。各々方、異存は御座りますまいな」

(後藤)「無論もろ手を挙げて賛成仕ります」
(真田)「大坂城から一歩も出なかったのが敗因で御座った。今度は夜討ちを掛けたいと思うが如何で御座ろう」
(田代=淀)「出て行くは勝手じゃが、秀頼は放しませぬぞ」

(後藤)「これ淀君、また口をお出しになる。女子供は評議には関わりの無いこと。お控え召され」
(田代=淀)「今度は必ず勝てると申すのじゃな。秀頼を死なせることは無いと申すのじゃな?」

(後藤)「じゃから男共にお任せあれと申して居る」
(田代=淀)「随分横柄な態度じゃな。身分を弁(わきま)えよ」
(後藤)「止ーめた。こんな評議は御免被(こうむ)る。いずれも様、退座致すで御座る」

 一番目に怒ったのは後藤又兵衛。歴史は繰り返すとは本当の話ですな。

(Y男=義経)「あいや待たれい!後藤殿」

 急に口を開いたのは、困りきっていたジャガー君です。
(後藤)「待てとお止めなされしは、身共がことに御座りまするか」
(Y男=義経)「その台詞(セリフ)は白井権八では御座らぬか。ちょっと不釣り合いで御座る」
(後藤)「いや、失礼申した。で、そなたはどなたで御座る」

(Y男=義経)「余は九郎判官義経なるぞ」
(マスター)「ちょっと待って下さいよ。何でこんな処に義経が出て来るンですか?変ですよ変!」

 ここで東軍の連中が、どっと笑います。

(Y男=義経)「そう言ってもみんな楽しそうに大坂の陣に参加されているじゃーありませんか。例え時代が古くっても参加させて下さいよ」

(マスター)「はい、分かりました。ほんなら義経さんは大坂方という約束で、こっちの仲間に入って貰います。いいえいな、今も聞いての通り、こっちはもう分裂状態でっさかいに、

義経さんであろうがなかろうが、一人でも多く仲間に入って貰て、何ですがな、今度こそ狸親父の鼻あかしてやらんといけませんなぁ。よろしゅう頼ンます」

(石田)「もし、・・・もし、六三郎殿、我々は皆武士で御座る。そなたの話しようは町人のようで、軽軽しいですぞ。しかも戦の評議で御座れば、もう少し重々しく話していただかねば困るで御座る」

(マスター)「まこと、その通りで御座った。勘弁仕うまつる。淀君様、これは軍議で御座れば、何事もそれがしにお任せ下さりませ」

(田代)「爺がさほどに申すなら、我慢しようぞ」

 てな具合で、波瀾に富んだ軍議が再開されました。

(石田)「東方の軍容は如何ほどで御座るや?」
(真田)「某(それがし)が忍びに探らせた処、秀忠の率いる部隊が未だ到着していないようで御座る」

(石田)「それは好都合。幸村殿の言われる夜討ちが最良の手だてと存ずる」
(後藤)「いかにも、それが良策で御座ろう」
(義経)「夜討ちとは何のことよ」
(後藤)「義経公は夜討ちを御存知ないか?」
(義経)「我等の時代は白昼堂々と名乗りを挙げて、1対1で腕を競うのが常道なれば」

マスター)「あのねぇ、義経はんの時代と違て、今や鉄砲・大砲が戦の主力ですがなぁ。時代錯誤も甚だしいじゃありませんか」

(石田)「これっ!六三郎殿、また平成の言葉を使っておじゃる。時は慶長・元和の御世なれば、文語でお話しあれい」


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