☆f4♪LOVE アンクミの徒然日記

☆f4♪LOVE アンクミの徒然日記

気になる存在




人々が 忙しく行き交う 廊下

FAX機の ウィーという 音

ひっきりなしに 鳴る電話の 音

そんな活気に溢れた オフィス

でも 今はシーンと静まり返り 何の音も無い世界

窓の外は ネオンが煌く 世界

明かりの消えたオフィス 唯一灯っているのは 非常口の青白い 光だけ


コツコツ 誰もいない廊下に 規則正しい靴音が 響く
司は この静けさが 好きだった

時折 誰もいなくなったオフィスを 一人で歩く事がある

最上階の社長室のフロアーから 一階づつ ゆっくりと 降りてくる

自分の靴音だけに 気持ちを集中させて

考え事をする時は いつもそうだった

5階まで降りてきた時 その声は聞こえてきた

1・2・3  1・2・3

司は声のする方へと
 「変だな~~ もう 誰もいない筈なのに」

その階は 資料室や備品庫のある階だった
声は今も聞こえてくる 1・2・3  1・2・3

手を大きく振りながら 一人の女性が なにやら
体操めいた事をしている姿が 司の目に飛び込んできた

思わず司は 吹き出しそうになった
その姿が あまりにも 奇妙に見えたからだ

壁に背をあずけ 司は暫く その姿に見いいっていた

暫く見ていた司は 「そんなところで お前何やってんだ~」
突然の声に 女性は驚き 危うく転びそうになった

ゆっくりと 迫ってくる男性を見ても 暫くつくしは誰か 判らなかった

長身のその男性が 1mほど近くに来た時
つくしは その男性が ようやく 社長だと気づいた

「驚かさないで下さい ここで何してるんですか
 あっ、迷子になったんですか?」

司はこの言葉に 「はぁ~~」 こいつ バカか~~

「お前、バカか? 自分の会社で 迷子になる社長なんかいるかよ~~」

それもそうよね  急につくしは 自分の言った言葉に
 恥かしくなり 真っ赤になっていた

こいつ なに赤くなってんだ~
 そうか 俺様が あんまりカッコいいんで 恥ずかしくなったんだな
 それで 赤くなったのか

「お前 ここで 何してるんだ  もうとっくに 退社時間過ぎてるぞ」

「えっ!」つくしは慌てて 腕時計を見た
針は8時を 指していた


「グ~~」突然 静かな廊下に その音は響いた

「お前 飯まだなのか? 飯食いに行こう~」
司はいきなり つくしの手を取り 歩き出した


ロビーの出来事以来 司は何故か この娘の事が気になって仕方がなかった

自分の周りには 今まで こんな娘はいなかった
ひたむきな その瞳は じっと見ていると 吸い込まれそうになる

あれ以来 ずっとそうだった
会社で 時々彼女を見かけると 俺の目は 彼女を追いかけていた

フッと気づくと あの娘の事を考えている自分に 驚いていた
皆と 楽しそうに 笑っている所
廊下を バタバタと走ってゆく 彼女
何故 こんなに 気になるんだろう


今 司の中に 新たな 感情が芽生え始めていた

しかし
その気持ちが 恋だとは 司自身 まだ気づいていなかった









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