☆ｆ4♪ＬＯＶＥ　アンクミの徒然日記

告白

グラスの氷をストローでかき混ぜながら　ぼんやりとつくしは　窓の外を見ていた

背中を丸めて　足早に通り過ぎる人　
手を繋いだ　幸せそうなカップル
楽しそうに　笑いながら　精一杯おしゃれした３人のおば様達
時計ばかり何度も見ている彼　きっと彼女を待っているのね

なぜ今でも　あの恋を忘れられないんだろう
思い出すたびに　涙が溢れそうになる
あの雨の日の　二人
大声で叫びたかった　「その人は誰？」って

今も　心はずっと叫び続けている
今も　心は涙を流し続けている

昼時のラウンジは　沢山の人で溢れていた
めったに来ない司だが　つくしを探して　会社中を歩き回った
やっと見つけたつくしは　窓際のテーブルに一人で　座っていた

笑い声や　グラスの触れ合う音が響く中
つくしの周りだけが　音の無い世界
その姿は　何処と無く寂しそうで　いつものつくしとは　違って見えた

声を掛ける事さえ出来そうにない
それでも司は　静かに　つくしのテーブルへ
近くまで来た時　つくしの頬をひと筋の涙が　零れ落ちた

司は思わず　足を止めていた
泣いてるのか　どうして　なんで
司は声を掛けようとしたが　何故か言葉が出てこなかった

あいつの涙は　俺を悲しくさせる
なぜか　俺まで　切なくなる

それでも司は　つくしのテーブルへ　近づいて行った
近づく人影に　慌てて涙をぬぐう　つくし
見上げると　そこには　道明寺　司が

「なぁ～、ちょっと俺に付き合ってくれないか・・」
そう言うなり　司は　つくしの手を取り　歩き出していた

「えっ！　ちょっと　でも私仕事が・・」
「社長の俺が許可するから　仕事はいいんだよ！」

何も言わず　ハンドルを握る司　
きっと　さっき泣いているところ　見られたんだろうな

頬を通り抜けて行く風が　涙を乾かしてくれそうな気がする
今は　何も考えずに　こうしていよう
この風が　きっと私の悲しい心を　何処かに運んで行ってくれるまで

暫く走っていた車も今は　静かな川縁に停まっている

「お前　今の仕事　好きか？」唐突にそう司は　聞いてきた
「えっ！　ええ～　好きですよ　どうして急にそんな事　聞くんですか」

「いや　別に　どうして　俺の会社に入ったのかと思って・・
　なぁ～　じゃ～俺の事　好きか？　　　俺は　俺はお前の事が好きだ」

好き・・好きって　今この人　言った
えっ　なんで
突然の言葉に　つくしは　驚いていた

「俺　此処何ヶ月か　ずっとお前の事が気になって仕方がなかった
　なぁー　俺　お前の事好きになったら駄目かな～」

その言葉は　以前の強気な司とは違い
何処か　心細そうで　消え入りそうだった

俯きながら　そう言う司に　つくしは
「私　社長の事何も知らないし　社長だって　私の事何も知らないじゃないですか　それなのに　　突然好きかって聞かれても　　私・・」

つくしは勇樹の事を考えていた
初めて　勇樹に好きだと言われた日

最初は　友達とダヌルデートばかりだったのが
いつしか　二人だけで会う事が　多くなり
お互いを意識し始めた頃　勇樹からの　告白に凄く　嬉しかった事を

「社長　私の何処が　好きなんですか？」

「う～ん　ずっと考えてたんだけど　俺にも良く解かんないんだ
　ただ　俺　お前と一緒にいたいと思った　ずっと一緒に　それじゃ　駄目か・・」

ずっと一緒に・・ずっと一緒にいたい
勇樹も私にそう言った　でも　彼は私から　離れて行ってしまった

ましてや　彼は　大企業の社長　
私とは　住む世界が違い過ぎる
きっと　ただの気まぐれなんだわ～

「私　社長なんかとは　釣り合わないから・・」

「釣り合わないって　　なんだよー　それに社長って呼び方は止せよ
　司でいいよ　　まぁー　今すぐ返事してくれなんて　言わないから
　ただ、俺がお前の事　好きだって事　解かってくれればいいから」

自宅までの道のり　二人とも　その事には触れずにいた

未だに消えない　勇樹への思い
突然現れた　道明寺　司

その夜　つくしは　司の言葉が頭から離れず　眠れずにいた

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