☆f4♪LOVE アンクミの徒然日記

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戸惑い




今すぐ あの孤児院に行って牧野がいるか 確かめたかった
だが 今日は重要な会議があり 司は会社を抜ける事が出来なかった

一秒でも早く行きたかった きっとあいつは あそこにいる

午前中から始まった会議は 夕方近くまでかかり
ようやく司が 出かけようとしたその時 一本の電話が

「司さん 私です」
それは 母親からの電話だった

「司さん 今すぐ香港支社に行ってください 問題が起きました
頼みましたよ」

香港 トラブル なんでこんな時に
「お母様 僕ちょっと 用事が 他の者ではいけませんか?」

トラブル~~簡単に片付く事ならいいんだけど
じゃなければ 暫く戻れないかもしれない

早く つくしに会いたいのに なんでこんな時に

「司さん 他の人では駄目です 至急向こうに行って 貴方が指揮を取って下さい いいですね」
そう言うと 電話は一方的に 切られてしまった


「西田 ちょっと来てくれないか」
ババアには逆らえない  とにかく司は 香港に行くしかなかった

「社長 お呼びでしょうか?」

西田にジェット機の手配を済ませると 司は類に電話していた

類に孤児院の事を話し 牧野がそこに居るか見て来てほしいと告げると
司は用意された車で 空港へ向かった


車を運転しながら類は考えていた
司を此処まで 人間らしくした 牧野

わがままで 人の意見さえ聞かない 司

牧野がいなくなった夜
あんな 司を見たのは 幼い頃から知っている彼からは 想像さえ出来ない事だった


辺りは すっかり暗くなり 司から教えられた孤児院に着いた時は 8時を過ぎていた

「あいの里」と書かれたその建物は 暗闇の中 ひっそりと 佇んでいた

牧野がボランティアをしている事は 以前聞いていたが
類は牧野らしいと思った

「すみません どなたかいらっしゃいますか?」
家の中からは 子供達の笑い声が

ドアを開けたその人は こんな時間に誰?がと言う顔をしている

「こんにちは、花沢 類と言います ちょっとお聞きしますが
こちらに、牧野つくしさんが いらっしゃらないでしょうか?」

不安そうな顔が消え その人は にっこり微笑むと
「ええ~、おりますよ つくしちゃんのお友達かしら」


家の中に招き入れられた類は 子供達と楽しそうに遊ぶ 牧野の姿を見た

「つくしちゃん、お友達がいらしたわよ」園長の言葉に 振り向くつくし

「花沢 類  どうして此処に?」
「やっと、見つけた」

必死に忘れようとした思いが~~再び蘇る

「どうして、いなくなっちゃったの?元気にしてた」
相変わらず この人は優しい 

道明寺も優しいが 彼は気持ちをストレートにぶつけてくる
花沢 類の優しさは 森に吹く 静かなそよ風のよう

「つくしちゃん、今日はね 司に頼まれて来たんだよ 司 君が此処にいるだろうから 見てきて欲しいって 急な用事が出来て
今は 香港の方に行ったけど 凄く心配してたよ」

「私の事は、忘れてくれればいいのに」

俯いたままの牧野 
「私が側にいると またあいつを傷つけそうで」

「司がそんな簡単に傷つくと思う むしろ 君がいない方が傷ついてるように見えるけど」

類はあの夜 司が話してくれた気持ちを つくしに聞かせた

初めて あの雨の日につくしを見かけてから ロビーでの出来事
備品庫での事 初めて好きだと言った日
つくしの見せた笑顔 そして泣き顔 怒った顔
そのどれもが、自分にとっては手放せない物だと

「つくしちゃん、司が好きなんだろう、東京に戻ろう」

あいつが 道明寺がそんな風に 私の事を思っているなんて
「私、戻る資格があるのかな?あいつの事 随分傷つけたのに」


つくしの中には まだ戸惑いがあった
あいつの思いと同じ位 自分は道明寺が好きなんだろうか

勇樹との恋 あれは紛れもなく 私の初恋
あんな風に終わった初恋

あんな辛い思いはもうしたくない
心のどこかに そんな思いがあって 素直に道明寺を好きになる事が出来ない自分がいる

「つくしちゃん、司はどんな事があっても君を守れる男だよ。だから 帰っておいでよ」

コクリとうなずくつくし

「花沢 類 でも私会社には もう戻らない 道明寺とは 少し距離を置いていこうと思うの 駄目かな?」

「そうだね、君がそうしたいんなら、そうするといいよ
でも、ちゃんと司と話合うんだよ」


類が帰った後も つくしはずっと自分の心に聞いていた
自分の進む路が 間違っていないのかと


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