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監督 小津安二郎
脚色 野田高梧、小津安二郎
原作 広津和郎
製作 山本武、渡辺大
撮影 厚田雄春
美術 浜田辰雄
編集 浜村義康
音楽 伊藤宣二
出演 笠智衆
、 原節子
、月丘夢路、杉村春子
青木放屁、三宅邦子、三島雅夫、宇佐美淳、桂木洋子、坪内美子
本編108分 モノクロ スタンダードサイズ
小津安二郎監督の名作映画「晩春」。 ずいぶん前にNHKの教育テレビだったか?で見て以来、私の大好きな作品で、もしかすると日本映画でいちばん好きかもしれません。
近所の書店で買った格安DVDです。「東京物語」(53)と2枚買って500円。画質も悪くないし、これはいい買い物をしました。
鎌倉を舞台に、妻を早くに亡くした大学教授の父 周吉(笠智衆)と27歳になってもそんな父を一人残して嫁に行く気になれない娘 紀子(原節子)。
周吉は娘の紀子と質素な二人暮しをしているのですが、いつまでも自分の世話をさせていては婚期を逸してしまうと心配する。 二人のことが気が気でなく何かと世話を焼く叔母(杉村春子)。
父と娘の親子愛を中心に二人の周囲の人たちの人間模様を描いた作品です。
縁談を持ってきた叔母はなんとかして紀子に承知させようとするが、首を縦にふらない紀子です。
「私が結婚したらお父さん困るじゃないの」という紀子を結婚させようと、周吉は自分も再婚すると言い出す。
この場面で紀子はすごく怖い顔をしますね。
叔母に縁談を承諾した紀子は、父周吉と京都旅行に出かけ、宿で父と二人になった時、心を迷わせる。
「結婚なんかしたくない、今のままじゃいけないの?このままお父さんといっしょにいたい」という娘に周吉は、「お父さんの人生はもう終わりに近いが、お前はこれから自分の人生を作っていくんだ。結婚したから幸せになるってものじゃない。幸せは自分たちで築くものなんだよ、それが夫婦なんだよ。お前は良い夫婦をつくっていけると思うよ」と諭します。
紀子が嫁いだ晩、家に一人になった父周吉の孤独。
「ああでも言わなければ紀子は結婚せんからね」・・・・お父さんはつらいな。
この映画は1949年作品で、太平洋戦争の敗戦からまだ4年しか経っていません。
ヒロインの紀子が北鎌倉から東京へ電車で出るシーンなど、その沿線の風景や銀座の風景など、その復興の早さに驚かされます。
昭和24年の日本のリアルタイムでの風景が映画に記録されていて、その当時を知らない私のような者には貴重なもので、まだ生まれる前なのに、何か懐かしい感じがするのは不思議なものです。
結婚式の当日に花嫁姿の紀子が父の笠智衆さんに「お父さん、今までお世話になりました」と挨拶する場面。 いつかこの場面をテレビで見ていて、娘に「お父さん、泣いてるん」と笑われたのですが、「ばかもんっ」娘を持つ父親がこの映画を見たらきっと泣くだろう(若い人には理解できないかもしれないけども、ある年齢に達していて泣かない人がいたら、その男は鈍感者だ)。
原節子さんいいね。笠智衆さんも最高。小津安二郎監督の作品ではこの「晩春」がいちばんです。
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