メキシカン・アメリカンな暮らし

メキシコ人男性は亭主関白って本当？

メキシコ系アメリカ人である彼と結婚する前は特に、
彼のルーツであるメキシコのことも知ろうと、
メキシコに関する本を読み漁ったものだが、
私が読んだ数々の本の中には必ずと言っていいほど、
『メキシコにはマチズモ（Machismo）と呼ばれる思想が広く浸透している』
という文章が記載されていたものだ。

マチズモの日本語訳が、『男性優先主義』、『男性至上主義』、
そして、『男尊女卑思想』などとなっていたので、
正直、亭主関白な彼との結婚生活に少し不安になったのは言うまでもない。
そしていざ結婚して一緒に生活をするようになると、
付き合っている時には見えなかった部分が見えはじめ、
こんなのが好きなんだ、あんなのが嫌いなんだと、
新しい発見にいちいち驚いていたのを今でも覚えている。
知っているつもりでも実際に多くの時間を一緒に暮らすと、
見えてくるものも結構あるものだ。

発見したことの中で特に驚いたのは、彼の亭主関白ぶりであるのだが、
実は付き合っている時も、
『この人、ちょっと亭主関白の気があるかも、、、』と
ふと思ったこともある。
でも、まさかここまでだとは、、、とある種のショックを受けたものだが、
その、“まさかここまで、、、”がどのくらいだったかというと、
夫の人生歌がさだまさし氏の『関白宣言』になるのではないかと思うくらいである。

＊＊＊＊＊＊＊

1,「俺より先に寝てはいけない、俺より後に起きてもいけない」

先に寝ても、後に起きてもいい時は病気で立ち上がれない時くらいで、
先に寝たりしたら叩き起こすし、後に起きてこようものなら
『あ～あ、仕事に行くのに見送ってもくれないのかよ…。』
と嫌味っぽい声でいちいちうるさいので、
寝起きのタイミングもちゃっかり一緒だったりする。

私が遠方に住んでいる友人と、
夜になってコンピューターでチャットをしていようが、
今夜は徹夜しなくては、、、と思いながら仕事に励んでいようが、
夜10時になると、夫は『はい、就床時間。』と言いながら、
勝手にコンピューターの電源を切り、飼い犬を床に就かせ、
怒る私の腕を寝室まで無理矢理引っ張っていくほど…。
しかも、「俺より先に起きてもいけない！」という考えまであり、
週末は私の方が早く起きるのだが、
『起きられたらガチャガチャうるさいから、
俺の目が完全に覚めるまで側で寝ててくれ。』
とこれまた命令するのである。

2,「飯は上手く作れ」

結婚当初は実は料理が苦手で、
料理の本を開いてみたり、
母が作る感覚を思い出してながら作ってみたりと
一食を作るのにも必死になった程であった。
それでも夫はご飯が美味しくないと、
『仕事を頑張って来た褒美がこれか～！！』
などと、「ちゃぶ台があったら絶対ひっくり返していただろう」と思うくらい
憤慨したものだ。
あれからうん年も経った今では彼もだいぶ丸くなり、
私も少しはマシなものが作れるようになったせいか、
彼もそうそう怒らなくなったのだが、
今でも砂糖味を少しでも感じたりすると（例えば、肉じゃがとか）、
『砂糖は入れるなって言っただろう～！』と不機嫌になり、
彼が見慣れていないものを出すと（例えば、ちらし寿司）、
『寿司は海苔が巻かれているものだ～！
こんなごみごみしたの食べれるか～！！』などとすねたりするのだが、
このうん年間で慣れてしまった私もハイハイと軽く交わすようになり、
彼が大好きな「豚のはちみつしょうが焼き」には
甘いはちみつが入っているということも
私の特製「カレー」に黒糖が入っているということも
決して彼には言わないことにしている、、、。（―ｍ―）プッ！

3,「いつもきれいでいろ、出来る範囲で構わないから」

出掛ける時はメイクして可愛い服を着ろ、
無駄毛は一本たりとも見たくない、
げっぷや屁は俺の前で絶対するな、
太るな、
髪は肩より上に切るな、
にきびも作るな、
などと挙げればきりが無いのだが、
不条理だと思うことは、
『俺は男だから出掛ける時もTシャツとジーンズで構わないし、
男は毛があった方がいいんだ。
げっぷや屁も男だからいいんだ。』
と男の特権を並べることである。
「女は女らしく、男は男らしくあるべき」
これが彼の基本思想である。

4,「お前は俺の処へ家を捨てて来るのだから
帰る場所は無いと思えこれから俺がお前の家」

大喧嘩をする度に家を出たかったのだが、実家は遥か彼方、、、。
私の持つ友人の大半は、夫との共通の友人でもあるから話にならないし、
ホテルに泊まるのもお金がかかって気が引けるしで、
結局家に留まる他にいい道はなかったのである。
それだけではなく、
私が『早くお家に帰って、おとんとおかんに会いた～い！』と言うと、
彼は『この家が君の家だ。だから君の帰る家はここだよ。』と言い返し、
必ず『「早くおとんとおかんの家に行きたい」、、、でしょ？』
と言い直させるのである。

5,「年をとったら俺より先に死んではいけない
例えばわずか一日でもいい俺より早く逝ってはいけない」

彼はもう既に、先に死ぬのは彼だと決めてしまっているくらいで、
私を置いていく予定である。
『君の方が精神的に強いから、俺に先に逝かれてしまっても
君なら生きていける。』とほざく彼、、、。

、、、などなど他にも色々ありすぎて、
ここには掲載出来ない程だが、

「忘れてくれるな
仕事も出来ない男に
家庭を守れるはずなどないってことを」

「幸福は二人で育てるもので
どちらかが苦労して繕うものではない筈」

「お前のお陰でいい人生だったと
俺が言うから必ず言うから
忘れてくれるな
俺の愛する女は　
愛する女は生涯お前ただ一人」

と逞しくもあり、また愛情一杯でもありのメッセージが隠されている事も
心に留めたいと思ったりもする。
そう思えるまで夫婦間での話し合いが幾度も繰り返され、
時間もかかったものだが、
夫の亭主関白ぶりに度が過ぎて「ムカッ！」と来た時には
１から10までの数を数える代わりに
さだまさし氏の「関白宣言」を心の中で唄いながら
心落ち着かせるようにしている。
（それでも不条理だと思った時や納得の行かない時には、
「ムカッ！」という気持ちを相手に思いっきり向けるのだが、、、笑。）

タイトルの「メキシコ人男性は亭主関白って本当？」
という質問に答えるとするなれば、
私の夫とお舅ごん、義理の叔父達に限っては本当だと断言出来るし、
現代より昔の男性の方が亭主関白であった傾向が強く、
メキシコ人は一般的に亭主関白の人が多い方だとも言えると思うが、
やはり女性の尻に敷かれる男性も居るし、
男女均等を意識する男性も居る訳で、
月並みだが日本でもメキシコでもまさに十人十色だと思うのだ。

☆私が『なるほど～！』、『そういえばそうだわ！』
と思ったメキシコ人観を書いて下さった方のメッセージを
こちらに抜粋させて頂きました。＾＾

★★★北とは言えカリフォルニアに住んでいると
メキシコ人の観察には事欠きませんが、
メキシコ人男性って優しい人が多いですよねぇ。
荷物なんかも自分一人で全部持って、
奥さんは手ぶらで歩いてたりするカップルもたくさん見かけますよね。
まぁ大抵の奥さんは子どもを抱っこしてたりするケースも多いですが。
ママに面倒見てもらって何も出来ずに育った男が
そのまま大きくなってママから奥さんに乗り換えた・・・・
ってのとは違って、
とりあえずの事は自分で何でもできるけど、
「俺は男としてできることは何でもしてやるから、
オマエも女として精一杯のことをしてくれ」
という種類の亭主関白っぽくて、
ただ空威張りしている種の亭主関白を見るときのような不快感を
メキシコ人男性に感じることはあまりないです。
・・・・って、まぁ、国に寄らず、どこまでも「人」の問題で、
個人差はあるんでしょうけどね。
～こずえ1122さん★★★

★★★私の友人で、やはりメキシコ男性と同棲している友達が
同じような事を言ってました。
私もスペイン語をクラスで取っていた時に、
どうしてもお友達がメキシコ人とかが多くて、
そのなかで書かれているような事を感じた記憶があります。
メキシコの女性も色気むんむんの人が多い割に、
なんか妙に優しかったりとか、聞き上手の人が多いのも
やはりこのマチズモの影響かなと思ったりしてます。
～Rovrovnerさん★★★