メキシカン・アメリカンな暮らし

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鼻競争パート2




あの鼻競争に続編がある事を誰が予測しただろうか、、、。
私自身もまさか続編があるとは思いもよらなかったので、実際に続編を目にした時は少々面食らってしまったのだが、今回のお姑ごんの鼻競争相手は、
なんと小舅ごん(私の義弟)の婚約者(今となっては元・婚約者)である。

以前、小舅ごんが初めて婚約者を家に連れて行った時の話をしてくれたが、
数年前に夫が私を紹介してくれた時とほぼ状況が似ていた。
とりあえず今回はしぶしぶながらもちゃんと握手をし、それまでは良かったらしいのだが、お姑ごんはその未来の嫁に、昔私に投げかけたような色々な質問を訊いた挙句、彼女の鼻に対しての評論まで行ったそうである。

例の、小舅ごんの婚約者はスペイン語を話せないこともあり、しかも小舅ごんは、お姑ごんの「鼻評論」に関してはちゃんと彼の心におさめておいたらしく、彼女は、まさかお姑ごんが彼女の鼻について話しているとは知る由もなかったそうだ。

思えば5年前にも、私の鼻につけて何かとごちゃごちゃ言っていたお姑ごん。
あゝ、お姑ごんよ、何故そんなに鼻にこだわるのか、、、。
ふと、『ラ・チャタ』と名づけられた日を思い出してしまった。


小舅ごんの婚約者の鼻は、鼻評論家のお姑ごんに言わせれば「鷲鼻」らしく、
私に『彼女の鼻はこーんなだったのよ。』と説明してくれた時にもわざわざ人差し指で鼻を下へ向けて押し、口を鼻に近づけて「インスタント鷲鼻」を披露してくれたという始末、、、。

でも話を聞いていく内に、小舅ごんの婚約者に対して個人的な恨みなどは勿論なく、ただ、息子を取られるという気持ちがお姑ごんの心を支配しているように見えたのである。
と同時に、二人の息子を持つお姑ごんは尚更複雑な心境ではないかと察しては、何だか気の毒にさえ思えてきたのだ。


『家族が減るんじゃないのよね、家族が増えるのよ。』

お姑ごんは自身の妹から聞いたというその言葉を呟き、そんな寂しそうに呟くお姑ごんの肩に私は軽くポンと手を置いた。


、、、と、そこで終わるのなら、ハッピーエンドのドラマ風で良かったのかもしれないが、やはりあのお姑ごんのことだ。
こちら側が期待したい夢のような展開には絶対持っていかないのである。


『でもね、本当に鷲鼻なのよ、こーんな風に。生まれてくれる赤ちゃんも鷲鼻よ、きっと!』

などと要らぬ言葉をつけ加えてキャラキャラ笑い、周りに集まってきた小舅や夫も一緒に笑う始末。

さっきのお姑ごんに思わず同情しそうになった阿呆らしさもあり、私も負けずに、小舅や夫に向かって、『彼女の鼻が鷲なら、貴方たちの鼻だってオオハシ(Tucan)そのものよ。』と言ってやったのだが、言われた当人たちも『Tucan、Tucan!』とお互いを指差しながら笑っている有様である。

それでも、自分の子どもの鼻をオオハシのようだと言われたお姑ごんの笑顔には多少引きつりが見られ、Tucanと口にしてしまった私はちょっと後悔したのだが、それからというもの他人の鼻に関しての評論をお姑ごんから聞かなくなった。


それが結果的には良かったのだろうか、それともやはり悪かったのだろうか、それは私にも分からないが、ともかく、私の中にあった、「人にされて嫌な事は人にしない」の教訓はどこへやら、、、。
叩かれるだけの嫁にはなりたくない、という自己主張の方が強くなってきた所為なのかもしれないが、この一家にまみれるうちにいつのまにか「やられたらやりかえす」の自己防衛がついてしまった自分に驚くやら、反省するやらである・・・。(ーー;)




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