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メキシカン・アメリカンな暮らし
お姑ごんと住むには最適な家
お舅ごんと喧嘩をする度に必ずといってもいいほど離婚騒動を起こすお姑ごんだが、いつだったか様子がちょっと違う時期があった。
その時は何やら本気で離婚を考えていたようで、うちに訪ねに来てから数週間経っても、お舅ごんと電話でも話をしたくないと言い張っていたくらいである。
丁度その時期は、私たちはタイミング悪くも引越しの最中だったので、『お姑ごんはこれからどうするのかしら?』と悩んでいる余裕はこちら側には余りなかったのだが、そんなこんなで忙しくしているうちに、結局、お姑ごんまで新地に付いてきてしまう羽目になったという経緯だ。(ーー;)
新地でも私たちは相変わらず家を借りて暮らすことになったのだが、そのうち夫は購入する物件を探し始めた。
借りるよりも、家を買った方がいいという考えからだったらしいが、よくよく夫とお姑ごんの二人の会話を聞いていると、どうやらいつのまにかお姑ごんと同居すること、そして、夫とお姑ごん二人の間で家を購入することが既に決まったようだ。
私抜きで何もかもが決まってしまうのには、もういつものことなのでそうそう驚きもしなかったが、本当にいつのまに決めたのだろうかと不思議に思うばかり、、、。
しかも、家を購入することや、お姑ごんと同居することは、私にとってはかなりどでかい変化だけに、私抜きで物事が決まっていくことに関しては、考えれば考えるほど腹が立ってきたのである。
しかも、幾つもある購入物件候補の中で、お姑ごんからO.k.サインが出た物件を購入するそうで、これまた、『私の存在って一体何、、、?』と不満が募る一方だ。
こうした一連の不満を抑えつつ、夫が気に入っているという家を早速一緒に見に行くことになった。
一体どんな家だったかというと、広すぎず狭すぎずの割といいサイズの家で、
その隣にはゲストハウスが付いているという感じの家だったのだが、意外にも私自身が気に入ってしまったのである。
いや、気に入った、ではちょっと言葉が足りないかもしれない。
『これぞ私の求めていた、お姑ごんと住むには最適な家よ~!!』
と叫んだ程である。(勿論、心の中で、、、。)
ゲストハウスには、小さいながらも綺麗なキッチンや浴室もついていて、
ソファつきのリビングルームまであり、一人用には贅沢なほど、、、。
しかもプライベート隣居と来れば、私のプライバシーも守られて最高である。
私:『この家にしようよ。』
夫:『いいよね、この家。お母さんはこの家好き?』
お姑ごん:『ええ、素敵じゃない。とても気に入ったわ。』
夫:『じゃあ、この家にしようか!』
、、、という調子で皆の意見が一致したのだ。
全員の意見が一致したのは、恐らくこれが初めてのことだったのではないかと思う。
その翌日、私と夫の二人で不動産屋に寄ることになり、不動産屋へ向かう道中、夫は例の物件の話をし始めた。
夫:『ああいった2世帯住居の方がお互いのプライバシーを守れるから、いいよね。な、お嫁1号。特にお母さんのプライバシーは守ってあげなきゃね。』
私:『そうね。そして私のプライバシーも勿論よ。』
夫:『、、、? 何を隠すことがあるの? 俺達夫婦じゃないか。』
私:『貴方からじゃなくて、貴方のお母さんからよ。この前寝室や書類をあさぐられた時にはすごくショックだったし、、、。』
夫:『お母さんはゲストハウスに住むから、簡単には寝室に入って来れないさ。』
私:『、、、? あのさ、ゲストハウスに私が住むつもりなんだけど。』
夫:『へっ!? お母さんはどうするのさ。』
私:『勿論、貴方と住むに決まっているでしょー。私は飼い犬とゲストハウスに住むの。』
夫:『一緒に住まないと夫婦って言わないだろう!?』
私:『大丈夫、大丈夫。同じ敷地内に住むんだから、一緒に住むのと一緒じゃない。』
夫:『、、、意地悪でわざとこんなこと言っているんだろう?』
私:『ううん、本気であのゲストハウスが気に入っているんだってっば!』
夫:『いや、ゲストハウスはお母さんの為のものだよ。お母さんだってプライバシーがあるからね。』
私:『私にだってプライバシーがあるから、ゲストハウスに住む権利はあるはずよね。』
夫:『折角、皆で意見が一致したのに、どうしてこうやって何もかも崩そうとするんだ?』
私:『意見が一致したのはあの家を買うって点でしょ。ゲストハウスに誰が住むかはまだ論議中じゃない。』
夫:『、、、分かった!もう買わない!!』
このちょっとした会話の所為で、夫は憤慨してしまい、その日は結局Uターンする羽目になってしまったのである。
今思えば、私も我侭なことを言ったかもしれないと少し反省するが、お姑ごんとの同居が完全に嫌とか、絶対に拒否したいことという訳ではない。
ただ、お姑ごんが夫と住んで、私が飼い犬とゲストハウスに住んだ方がこれ以上の摩擦は起こりにくいだろうし、事がよりうまくいくという予感は今も変わらないのである。
夫はお姑ごんと18年間一緒に住んでいた訳だし、お姑ごんは息子の世話をすることに生き甲斐を感じているので、3人(プラス1匹)全員にとって好都合だと思うのだ。
それに、例えお姑ごんをゲストハウスに迎え入れたとしても、夫が本家に居る限り、お姑ごんは私たちの部屋にも勝手に入って来るだろう。
それよりも、私がゲストハウスに住んだ方がお姑ごんが私のプライバシーを侵すことも減るような気がするし、同じ敷地内で皆が快適に過ごせるのではないだろうか。
特に、夫とお姑ごん二人で何もかもが決まるという今の状態では尚更のことで、その状態が改善されるまでは、お姑ごんとの同居は私にはどうしても考えにくいのである。
まあ、こんな私の意見も通る筈はなく、丁度、お姑ごんもお舅ごんが心配になってきたのか、ひたすら謝るお舅ごんに懇願されて、結局帰っていくことになった。
お姑ごんが離婚する意思を変えた為、私の気持ちが変わるのを待っていた夫も結局はあの家を買うのを取り止めることになったのである。
お姑ごんとの同居話がひとまず遠のいて、不謹慎ながらも正直ほっとしているところだが、いずれまた同居話は出るだろう。
また、夫とお姑ごんとの間で色々なことが決定されていくようであれば、その時もまた、キッチンも浴室も付いていて、小さいながらも一人用には贅沢なゲストハウス付の家が見つかりますように、、、と私は密かに願っていたりする。
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