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| 著者・編者 | 沼倫加=著 |
|---|---|
| 出版情報 | オーム社 |
| 出版年月 | 2026年6月発行 |
本書は、宇宙に関する話題を38のテーマに分け、それぞれに算数・数学がどう関わっているかを解説する読み物である。数式を解かせることが目的ではなく、人類が宇宙の姿をどのように測り、説明してきたかを数学の側から追い直す構成をとる。全体を通した主張は、宇宙の理解は約数・比・三角比・指数対数・確率・極限といった小学校から高校までの数学の延長線上にあるということ、そして数学を使いこなせるという自信が宇宙に関わる進路の選択肢を広げるということである。
Part1「星にまつわること」(テーマ1~23)は、身近な対象から順に範囲を広げる。1日や1年の区切りに約数の多い12・24・30が選ばれた理由、公転周期365.2422日から導く うるう年 の補正、 エラトステネス が同位角と比例で地球一周を約45,000kmと算出した方法、三角比による月と太陽の大きさ・距離の測定、5円玉で月の直径を約3500kmと見積もる実験、地軸の傾き23.4度が四季を生む仕組み、万有引力の式変形による地球と太陽の質量の算出、 ケプラーの第三法則 と楕円軌道の離心率、海王星と冥王星の公転周期の整数比(軌道共鳴)、等級を指数対数で扱う星の明るさ、光年と歳差運動による星座の形の変化までを扱う。ベテルギウスの光は約650年前のものだといった具体例が置かれる。
Part2「宇宙空間にまつわること」(24~31)は視点を宇宙全体に移す。天文単位・光年・パーセクと大きな数の接頭辞、素粒子や 宇宙マイクロ波背景放射 といった小さな世界、惑星の直径を地球基準の比で置き換える比較(地球を直径2cmのビー玉とすると太陽は約218cm)、自転・公転や通信の速さの計算、138億年の宇宙史を1年や1日に縮めた 宇宙カレンダー 、隕石が自分に当たる確率と宝くじの比較を扱い、最後に三平方の定理で光速不変から時間の遅れを説明する相対性理論、極限を用いたブラックホールの密度と脱出速度に踏み込む。
Part3「宇宙技術にまつわること」(32~38)は実務との接点を示す。第一~第三宇宙速度と円・楕円・放物線・双曲線の軌道、人工衛星の太陽電池パネルを畳むミウラ折りなどの折り紙幾何、宇宙飛行士選抜で問われる空間把握と論理的思考、質量数の足し算で見る元素合成、半減期を指数関数と対数で扱う年代測定(炭素14は約5730年)、2進法・ノイズ除去・ベクトル・統計による宇宙画像の解析を順に取り上げる。最終テーマでは、研究者だけでなく管制官、プログラマー、宇宙法の専門家、広報や教育普及まで、数学が活きる仕事が幅広く存在することを紹介して締めくくる。
各テーマは数ページで独立しており、図と計算例を伴うため、関心のある項目から読み進められる。扱う数式は中学・高校で学ぶ範囲にとどめられ、計算の過程が省略されずに示される点が特徴である。
著者は、算数・数学の面白さを体験・発見できる機会を提供している 株式会社math channel
代表の横山明日希さんと広報・講師担当の沼倫加さん。
私は、ハレー彗星の位置予報がやりたくて、数学と天文の果てしない世界に足を踏み入れたのであるが、ここで知識を整理しようと思い、本書を手にした。内容のほとんどを習得しているとはいえ、あらためて読み返してみると、この宇宙が、いかに数字にあふれているかと思い知らされる。
宇宙は面白い。ハレー彗星の位置のように、ニュートン力学から導かれる計算を繰り返し、決定論的に未来を予測できることもあれば、ビッグバン理論のように、予測不能な量子的なゆらぎが宇宙を誕生させ、大規模構造を作りだした。
私にとって数学の楽しさは、こうした宇宙の出来事を予測できることと――そして、不確定原理がゆえに、「 あり得ないことはあり得ない 」という無限の可能性を示してくれることだ。
本書に登場する宇宙カレンダーは「 PHPで宇宙カレンダーを作る 」で、惑星の位置予報は「 PHPで惑星の天象を一覧表示する 」「 PHPで惑星の位置を一覧表示する 」で、実際に動くサンプル・プログラムを公開している。お手すきの時にご覧いただきたい。
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