
岡崎隠れ家の段
深雪の父秋月弓乃介は安芸の国の家老だったが、主君の愛妾お蘭の方とその一派が苛酷な年貢の取り立てをするなどの悪政をするのを諌めるも聞き入れられず。職を退いて岡崎でひっそりと暮らしている。
深雪は阿曽次郎から一向に連絡がないので、いったいどうしたのだろうと一人気をもんでいる。乳母の浅香が必ず会わせてあげるからとなだめている。
ここへ桂庵が祐仙を宮城阿曽次郎と偽って家を訪ねてくる。祐仙は例の惚れ薬をもってきている。
家に上がって弓乃介と妻操に挨拶することになっても、祐仙はまともなあいさつもできずもじもじするばかり。弓乃介夫婦はなんだかおかしいと思いながらも「娘の事を御存じか。」と質問する。
祐仙は「清水寺でお見かけしていらい忘れられず、近くまであとをつけて・・・」とべらべらとしゃべりだす。桂庵がしゃべるなと顔や身ぶりで合図をするが、舞い上がった祐仙は「もしも婿にしてくれるなら、飯炊き、洗濯なんでもこなし、あんま、けんびき、揉み療治何でもいたします。」
弓乃介は「武士を愚弄するか、これ以上くだらぬことをいうと手討ちにするぞ。」と刀にてをかけたので、二人はほうほうの態で帰っていく。
夫婦は顔を見合わせ、時間の無駄をしたと苦笑い。
ここへ、国元からの急使が到着し殿からの手紙を渡す「国元では悪政のために百姓一揆が頻発し収拾がつかなくなっている。そなたの意見を聞かなかったこちらが間違っていた。帰国して事態収拾のため力を貸してほしい。」
やっと殿がわかってくれたかということで、一家は急ぎ国元に帰ることになり。帰国の準備をはじめる。
そこへ本物の阿曽次郎が秋月家を訪ねてきて、名前を名乗るが、応対に出た下男はさっきの騒ぎをきいていたので、またあのかたり男がやってきたかと「今は忙しいので、相手をしている暇はないさっさと帰ってくれ。」とけんもほろろに追い返すのだった。
明石の浦船別れの段
深雪一家は帰国のため大きな船に乗って、明石の浦で風待ちをしている。
阿曽次郎も小舟にのり帰国のため風待ちをしている。
阿曽次郎の耳に「朝顔の歌」が聞えてくる。あたりを見回すと。大船にいる深雪の姿が目に入る。ここでまた再会した二人。深雪は小舟に乗り移り、二人はひしと抱き合うのだった。
(この間、阿曽次郎の船の船頭は、目のやり場に困ると言う風情で、あっちをむいたり、顔の汗を拭いたりと言う所作が面白い)
阿曽次郎は国元に帰って、伯父の話を聞いたうえ用事を済ませたら、必ず迎えにいくからと約束するのだが、深雪のほうはまた別れ別れになってしまったら、今度いつ会えるかもわからない。
私は絶対離れない、今から一緒にあなたの国元へいきますと必死に訴える。阿曽次郎も二人で一緒にいくつもりになったのだが、親にも知らせず姿が見えなくなったらきっと大騒ぎになるだろうから、一言書き置きでもしておこうということになり、深雪は一旦自分の船に戻る 。
そこで風が吹き出し、深雪の船は出発することになってしまう。離れていく船とどうすることもできない二人、深雪は必死の思いで「朝顔の歌」を書いた扇を阿曽次郎の船に投げるのだった。
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