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2006.08.27

9月1日防災の日を前に『朴烈と金子文子･デッチ上げられた第2の大逆事件』

テーマ：韓国！(17924)

カテゴリ：在阪フィールドワーク=戦前戦後史

9月1日が近づいてます。関東大震災の教訓を生かしての記念日です。全国で防災訓練が行われ、その模様が一日中、報道されるでしょう。
その関東大震災での、朝鮮人虐殺の歴史研鑽は国家として80年以上たった今も行われていません。
具体的な事件内容は今更、述べずともいいと思います。関連事件の特集が韓国のKBSTV、8.15スペシャルで放映されたので、私なりに簡単に載せてみます。

　大正十二年九月、関東大震災。この際の白色テロルは凄惨でした。震災の混乱のなか、大杉栄・伊藤野枝夫婦の虐殺事件があり、同時に朝鮮人の大量虐殺もあった（「朝鮮人が井戸に毒を入れる」というデマで、二千六百余名もが殺害される）。このとき皇太子（後の昭和天皇）爆殺謀議をでっち上げられ、大逆罪に問われたカップルがありました。世に言う「朴烈・金子文子事件」です。。

　朴烈と金子文子への大逆事件は、関東大震災後の、日本の官憲と民衆による朝鮮人・中国人らへの大虐殺に対して、朝鮮人も悪いと印象づけ、虐殺を正当化するために作り出され、虐殺をした民衆は国家に対する絶対的な信頼と忠誠心を持ち、竹槍や農具を武器に朝鮮人や中国人、行商の部落民をも襲いました。
人々が心に描いたのは、褒美として天皇から下される虐殺行為の報償として金鵄勲章をもらえると思い込んでいました。(隣組、連合自治会、町内会によって構成された津自警団)
事件以降、大量虐殺の事実を外国からの批判をうけるや、政府は、「朝鮮人暴動のデマを事実としてでっちあげる」などの方針を出しています。朝鮮人虐殺事件に関する記事差し止めを解禁した10月20日に、権力は朴烈と金子文子を起訴しました。

下の詩は金子文子の獄中書記です。

誰がために思ひ悩むか愁ひげに
首うなだれて咲く
コスモスの花

　手足まで不自由なりとも死ぬといふ
　只意志あらば
　死は自由なり

　　ギロチンに斃れし人の魂か
　庭に躑躅の
　赤きまなざし

大正十五年七月二十三日払暁、獄中に繋がれること三年、宇都宮刑務所にあって縊死。享年二十二歳、

ときに鉄格子に麻糸を結わえ縊れた文子は「赤きまなざし」に何を視たろう。いっぽう、『獄中手記　何が私をかうさせたか』（昭六）に「私は朴を知つている。朴を愛している」「死ぬなら一緒に死にませう。私達は共に生き共に死にませう」と呼びかける愛しい人は。

二人の弁護を引き受けたのは「朝鮮版シンドラー」とも呼ばれる故布施辰治（ふせ・たつじ）弁護士でした。

（『婦人公論』一九二三年十一月十二月合併号）
関東大震災のなかで日本の人々が朝鮮人虐殺の狂気に走ったことについて、「試みに、朝鮮及日本に於て発行せられている日刊新聞の、朝鮮に関する記事をごらんなさい。そこにはどんなことが報道せられていますか。私は寡聞にして、未だ朝鮮国土の秀麗、芸術の善美、民情の優雅を紹介報道した記事を見たことは殆どないと云ってもいいのであります。そして爆弾、短銃、襲撃、殺傷、―あらゆる戦慄すべき文字を羅列して、所謂不逞鮮人 ― の不法行動を報道しています。それも新聞記者の事あれかしの誇張的な筆法をもって」と書き、「この日常の記事を読んだならば、朝鮮とは山賊の住む国であって朝鮮人とは猛虎のたぐいの如く考へられる」。だから自警団が作られ虐殺が遂行されたのだ。（『婦人公論』一九二三年十一月十二月合併号）。