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月野 かぐや

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2005年01月13日
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テーマ: たわごと(27607)
昨日の僕は疲れていた。

彼と別れたばかりというのもあり、なんとなく落ち着かない。

もう3年も付き合ってきた彼と別れてきたのだ。

どっちから、というものでもない。
あえて言えば自然消滅、というところか。

出会いは17のころ。
ある掲示板で知り合い、そこからメールのやり取りを始めた。

お互い住んでいる場所はちょっと遠い。が、結局は同じ地方在住。会おうと思えば会える距離。

そこで電話で話もする仲になっていた僕らは春休みを利用して、中間地点で会うことにした。



どちらもその中間地点の駅をよく知っているわけでもないから、適当にそこの近くにある店をネットで調べてそこで待ち合わせ。

写真交換もしていたから、顔ぐらいはわかる。

初めて会う人なのに、それまでのやり取りがきいていて、すっかり話し込んでしまった。

店を出てからどっちも知らない町中を歩き、二人でいろんなものを発見して回った。

すっかり日が暮れ、もう家に帰らなければならないときが訪れた。二人とも名残惜しかった。でもあまり遅くなってもまずいまずいような気がして、僕は後ろ髪をひかれる思いで僕とは違う方向の電車に乗るその子を見送った。

メールでは、楽しかった、また会いたい、という気持ちを確認しあい、それからは一ヶ月に一回の頻度で、一番盛り上がってるときは一週間に一回の頻度で会うようになった。

場所は、僕が高校を卒業するまでは、毎回その中間地点の駅で。お互い知ってる人もいないから気兼ねもしなくて良くて、なんとなくお手軽に非日常が経験できて良かった。二人で知らない町を探索していく快感はお互いをより深く知っていく快感に重なった。

僕は大学に上がりその中間地点に近い所に住みようになった。まだ高校生だった彼の実家は変わらず、中間地点はお互いのところから1時間ちょっとのところに変わった。

はっきりいって、そこはそれまでの中間地点よりずっとドンくさくて、少し楽しみが減ったような気がした。それなりの良さはあるのだが、やっぱり前の中間地点よりは「居住者向け」でたまに遊びに来るだけの人にとってはイマイチ・・・なのだ。

彼とは相変わらずうまくいっていたと思っていたし、大人になるにつれ、電車で1時間とかいう距離がたいしたことないように思え始め、高校生のころは「遠距離」と呼んでいたのもちょっと大げさだったかも、と思うようになっていた。

ある日、まだ高校生である彼と、大学生になりたての僕はその新・中間地点でデートしていた。いつもどおりで、周りから見ればちょっと仲のいい男友達同士にしか見えないかもしれないが、俺らだって人並みに薄暗い公園でキスしたり、とかだってする。



そして、それをきっかけに彼は大学進学のころにさしかかっていたのに、いろいろと悩みだした。もちろんその年は浪人である。

ゲイであることとか、そういうことには踏ん切りがついていた、と思っていたのがどうやらそうでなかったようで、家族関係ともからまり、複雑なアイデンティティー・クライシスに陥り始めたようだった。

僕はちょっとひいた。

それと同時に「ちょっと待てよ」と思った。
じゃあ、俺との付き合いはどういうことになってたんだろう?別にいいけどさ。俺だって親に何も言ってないし。家の親はどういうふうに反応するのだろうか。いや、そもそも親の反応が俺の生き方に影響を与えるのだろうか??



周りから見れば俺らはどっちも「ゲイ」なわけで、そういう意味で悩みも一緒、と思われがちだと感じるが、僕にとっては家族の考えることはあまり大切ではない。だからそこに葛藤は生まれない。そこに一緒に葛藤を感じてほしい、という態度を見せてくる彼に戸惑った。

会うたびに家族がどうの、アイデンティティーがどうの、という暗い話をされて、俺は彼といるのがあまり楽しくなくなった。じゃあ、前はどんな話をしていたのだろう・・・、と思い出そうとしても思い出せないのだが・・・。

そして、そのころのめり込んでいた演劇サークルをだしにして、俺はだんだん彼から離れていった。

それまで朝・昼・晩のメールは欠かさなかったのが、一日に一回になり、一日おきになり、ついには何週間おきかの「元気か?」になり・・・。

そろそろまずいかな?と思い始めたころ、彼が久しぶりに会おう、と言ってきた。

それが昨日。
別に修羅場になったわけでもなんでもなく、お互い今までありがとう、これからも友人として、仲間としてつきあっていければいいな、と言うことぐらい。ひどく淡々としていた。

そんなものなのかもしれない。
(元)彼はもっといろいろと考えてることがあるようだったが、僕には打ち明けられない、と思い始めたのか。

ほんとは話を聞いてあげればよかったのかもしれない、結局は同じ「ゲイ」の男なのだから。もしかしたら僕だって共感できることがあるのかもしれない、と人並みに思いもした。少し僕の努力が足りないのかなぁ、とも。良心の奥が、少しヒリヒリしたような気もしたが、今の僕はそういうやつだ。

結局は一期一会だよな、僕はそうつぶやいて新・中間地点のホームに最後の別れを告げた。






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最終更新日  2005年01月13日 22時26分15秒
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