ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jan 7, 2024
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カテゴリ: 映画、テレビ
「(堕)天使」(評価 ★★★☆☆ 三つ星)

 英国の大衆音楽歌手ロビー・ウィリアムズさんを取材した番組をネットフリックスで鑑賞。
 若い時から歌唱集団テイクザットで一世風靡、やがて脱退し独り立ちしてさらに成功、衰退、麻薬におぼれ、そして再起という波瀾万丈な半生を振り返る。
 全四回、各回およそ50分。

 いまいち。
 せっかくご本人に直接取材していろいろと突っ込んで語ってもらってはいるのだけれど、ご自宅しかも寝室で寝そべりながらだらだらしゃべっているという印象。泥沼を抜け出し幸せな生活を送ってるはずのウィリアムズ氏の容貌もむしろだらしない。下着姿だし。おそらく、妻や子どもとの家庭的な側面を視聴者に見せつけるための演出なのかもしれないが逆効果。ただの落ちぶれた中年男っぽく見えてしまう。

 興味深かったのは、自分の求める音楽に関する葛藤。他人の作った曲で「歌わされた」曲が予想外に売れ、自分のやりたい音楽、自信作を世に出すとなかなか売れない。大衆歌謡業界における職業歌手としての居場所がわからなくなる。
 欧州のほかの国では人気があっても、肝心の母国英国では大衆新聞紙にコテンパンに酷評される。
 巨大な米国市場に乗り込むも米国では思ったように売れない。



 ぼくとしては、このヤク中時代についてもっと取材してほしかった。やがて再起できましためでたしめでたしという美談としてではなく、しっかりと彼の黒歴史を細かく赤裸々に語っていただきたかった。
 ご本人が無理なら、妻あるいは関係者の客観的な洞察も聞いてみたかった。特には制作人/作曲家ガイ・チェインバーズさんや付き人ジョナサン・ウィルクスさんあたりが適任なはず。

 とにもかくにも、こうゆうドキュメンタリーは作るのがほんとに難しい。ご本人のキャラ以上に、取材する側の手腕が問われる。
 ぼくの評価は三つ星どまり。
 なお、日本の芸能人でも過去に罪を犯し干されてしまった人が何人も思い浮かぶけれど、時を経て今、忖度なしに客観的なドキュメンタリー映画としてどこかの映画会社に制作してほしいとも思う。

 それにしてもウィリアムズさん、実力のあるお方なのは間違いない。ぼくもときどき彼の「Angels」という曲を演奏することがある。てか、歌曲としても非常に難曲で歌いにくそう。歌詞も何がなんだかわかりにくいし。よって、確かにこちら米国ではあんまし知られてない。

 彼が2001年だかにロンドンのロイヤルアルバートホールで開催したフランク・シナトラ特集音楽会のDVDは見応えがあった。てか、彼の良さのみならずシナトラの良さを再認識できた。





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最終更新日  Jan 16, 2024 11:55:04 PM
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