I love Salzburg

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2010.01.21
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一行はさらに東へと進む。 古都デブレツィンへ行くのだ。

ブダペストと違い、オーストリアへの敵意が根強く残っている街だ。

大聖堂広場には、市長以下 オーストリアと組んで儲けている連中が千人近く、黄色い旗を手に集まってくる。
黄色い地に双頭の鷲が縫い付けられた、オーストリアの紋章旗 ― これを振って皇帝夫妻をお出迎えというわけだ。

「おーい、馬車が城門をくぐったぞ!」
「いよいよ、オーストリア皇帝の到着だな。」

フランツ・ヨーゼフは、反オーストリア派の牙城デブレツィンでも、予想外の万を超える人出に驚いていた。


「オーストリア帝国皇帝、フランツ・ヨーゼフ一世陛下のために、ハンガリー語で万歳三唱を致しましょう。」
市長が音頭を取る。
ドイツ語でしないのは、あえて市民感情を考えたのであろう。 市長が音頭を取る。

「エーヤン、フランツ・ヨーゼフ!」
市長の取り巻きの親オーストリア派の人々が黄色い紋章を振りかざし、続けて声を上げる。
「エーヤン、フランツ……」
その時、群衆の中から一人の男が走り出る。 「ハンガリーに独立を!」
男は黄色い巻布を投げ捨てて、赤白緑の色鮮やかな三色旗を振り立てる。

「ハプスブルクはウィーンへ帰れ!」 「帰れ!!!」
今まで歓迎の人波と同化していた独立派の人々は、一斉に黄色い旗と見せかけた巻布を捨て、三色旗を打ち立てる。

即時に軍隊が威嚇射撃を始める。 人々は叫び声を上げながら逃げ惑う。


「やめろ! 市民に発砲してはならない!!」 我に返ったフランツ・ヨーゼフは、すぐ軍隊に射撃を止めさせる。

皇帝はこのまま大多数の市民に背を向け逃げ帰るのか、、、それとも、この親善旅行を弾圧粛正で終わらせ、世界中に自分の統治能力の無さを曝すのか…。
フランツ・ヨーゼフは身動きが取れない。


すると、今まで黙っていたエリザベートが意を決したように一歩前に出た。

そして、辺り構わず羽織っていた濃紺のガウンを脱ぎ捨てた。 群衆はどよめく。


エリザベートは落ち着いた表情で、群衆に対し右手を挙げた。

「エーヤン、ハンガリー!」

美しいハプスブルク家の皇后が文字通り、全身全霊を上げてハンガリーへの尊敬を示したのだ。

~ ミヒャエル・クンツェ著『エリザベート 愛と死の輪舞』より抜粋 ~


*

エリザベート(エルジューベト)の粘り強い勧めを入れ、フランツ・ヨーゼフはハンガリーの独立を認めました。

とはいえ、完全独立という訳ではなく、ブダペストにハンガリー人の政府を開くけれど、外交と軍隊と財政の三つは、オーストリアと組んで行うこと。
そして、ハンガリー国王には改めてフランツ・ヨーゼフが、ハンガリー王妃にエリザベートが戴冠しました。

1867年6月8日。
ブダペストの王宮の丘にある『マーチャーシュ教会』で、ハンガリー歴代王にならって戴冠式が行われました。

エリザベートはその時、ハンガリー民族風衣装を身につけ、ハプスブルク家を快く思っていないハンガリー民衆の心を掴んだといいます。
ミヒャエル・クンツェは、その逸話を元に、ミュージカル『エリザベート』をこう描いたのかもしれません。


そして、この戴冠式のために自身が作曲した「戴冠ミサ曲」を指揮しながら、
ハンガリーが生んだ作曲家フランツ・リストは、「これほど美しい王妃はいないだろう。」と賛嘆したそうです。^^


*

ブダの丘に一際目立つ 高い尖塔を持つマーチャーシュ教会。
残念なことに、その尖塔は現在 修復中で、美しい外観は覆われていました。

ですが、内部の厳かな空間と 見事な主祭壇やステンドグラスに、しばし時を忘れ見入ってしまった私です。^^


私のハンガリー旅行の中で、あの美しいエリザベートの残影が最も強く感じれらた場所がここでした。

というのも、
数々の歴史に翻弄され続けた ブダペストの象徴であるこの教会と、

本来の自分を求めて放浪し続けたエリザベートの、美しさに隠れた哀しくも強い意志が通じるように思えたのです。


2010-01-20 19:22:522010-01-20 19:22:20





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Last updated  2010.01.22 22:14:53
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