★サンチャゴ巡礼日記

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2003年06月12日
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カテゴリ: サンチャゴ巡礼2002
●サンチャゴ巡礼2002(その13・ジョンさん)

1日あたりの平均歩行距離は30km弱でした。いちばん短かったのは19kmで、この日は午前11時に歩くのをやめています。

いちばん長かったのは5日目、プエンテ・ラ・レイナ⇒ロス・アルコス間の40km。この日の後半はピレネー越えに勝るとも劣らない難所でした。そこでわたしは、とても印象に残る人と会うことになったのです。

この日、28km歩いたところで巡礼宿のある町に到着しました。次の町ロス・アルコスは12km先です。迷った末、歩きつづけることにしました。

この12kmが長かった。一日で最も暑い時間帯にもかかわらず、沿道にまったく休む場所がないのです。木陰すら見当たりません。ひたすら歩いてあと3kmというとき、道端に停めたキャンピングカーからわたしを呼ぶおじさんがいました。

「休んでいかないか。冷たいビールも熱いコーヒーもあるよ」とそのおじさんは誘います。「あやしいおじさんについていってはいけない」というのは海外ひとり旅の鉄則ですが、入れ替わりに2人の巡礼者が休憩を終えて発つところを見ると悪い人ではなさそうでした。

その人はジョンさんというイギリス人でした。
「ここ10kmはなにもないだろう? それで巡礼者に水を飲ませてあげているんだ。もう少ししたら足を傷めた巡礼者がいないかこの車でパトロールに出かけるんだよ」

デッキチェアに座ってジョンさんと向き合い、30分ほど話をしました。年金暮らしのジョンさんは4月から10月のあいだ、この区間のような難所にキャンピングカーを停め、やってくる巡礼者に休む場所を与えたり飲み物をサービスしたりしているのだそうです。


「2時間前に日本人の女の人に会ったよ。日本人に会うのは1か月に1人ぐらいなのに、きょうは君で2人目だ。めずらしいね!」

なんでこんなことをしているのかとジョンさんにたずねました。

「わたしはもう年で、カミーノ(=スペイン語で「道」の意。サンチャゴ巡礼路をさす)を歩くことはできない。そのかわりこうして巡礼者を助けているのさ」

こうして巡礼者といっときの会話を持つことが、あるいはジョンさんの人生にうるおいを与えているのかもしれません。

冷たいコーラは身体に染み入るようなおいしさでした
「来年もカミーノにきます。またお会いできたらいいですね! ありがとう!」
わたしは何度も何度もお礼をいい、ロス・アルコスへ向けて出発しました。





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最終更新日  2005年04月17日 11時37分26秒
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