■電子の小箱
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大阪府高槻市にある、今城塚古墳。今世紀に入ってから、日本最大の家型埴輪を含む即位か葬送の儀式を思わせる大量の埴輪の発見や巨大な石室を支える石組み遺構などが見つかっています。2007年3月に行われた石組み遺構の現地説明会には私も参加しました。その時の様子は、下記リンク先の過去記事をご参照ください。 今城塚古墳現地説明会その1 今城塚古墳現地説明会その2あれから4年。今城塚古墳周辺が歴史公園として整備され先日、待ちに待ったオープンの日を迎えました。 墳丘の周辺の遊歩道と、発見された遺物が展示される施設。歴史公園と言っても、その程度のものだと思っていました。しかし、思ったよりもすばらしかったです。歴史に興味のない人にとってはただの緑地公園なのですが、私たち古代史ファンにとってはたまらなく興奮する公園が出来上がりました。 先ずは埴輪群。発見された場所に、発見されたままの配置でレプリカで復元されています。博物館の展示室で見る埴輪と違って、当時の様子がよくわかります。堀の周囲や墳丘部にずらりと並んだ円筒埴輪は6000個ほどあったと言われています。 この埴輪列の先頭は、馬とこの正装した武人。周囲に並んだ円筒埴輪も含め、これらは全て素焼きの焼き物のようです。お好きな方は、早めに見に行きましょう。間違いなく、悪戯や事故ですぐにあちこち壊れると思います。 武人の後に控えしは、力士たち。手前に写っている影は私ではなく、力士の埴輪の影です。念のため。 家型埴輪の周辺で踊っているような埴輪は巫女だそうです。高床式や入母屋造りの家型埴輪や、鶏の埴輪も並んでいますね。 最大の家型埴輪は高床式の祭祀場でしょうか。大王の居住した家かも知れません。これらは隣接の「今城塚古代歴史館」で、実物や復元されたものを見ることができます。また歴史館内ではCG映像で、これらの埴輪の解説が行われています。 申し遅れましたが、この今城塚古墳はただの前方後円墳ではありません。ほぼ間違いなく、真の継体天皇陵だと思います。宮内庁が管理する天皇陵や皇族の墓、そして陵墓参考地は発掘調査はおろか、学者の立ち入りすら原則として認められていません。しかし継体天皇陵は現在、茨木市にある太田茶臼山古墳が比定されているためこの今城塚古墳は長年の発掘調査に加え、こうして一般にも公開されました。 ついつい興奮して、埴輪群にスペースを費やしてしまいました。次回は、この「いましろ大王の杜」でもっとも驚いたことをたっぷりとご紹介したいと思います。 .
2011.04.13
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