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プラス君の日記
【訃報-娘が亡くなりました。(4)】
娘が亡くなりました。
5月9日の夜から夜中にかけてのことを書きます。《
【訃報-娘が亡くなりました】
【訃報-娘が亡くなりました。(2)】
【訃報-娘が亡くなりました。(3)】
》
続きです。
娘の死を親戚に連絡するのをどうするのか?
自分には姉が一人いるので、電車での異動の途中に携帯電話で姉に連絡しました。(その時はまだ死亡していたとは確認できていなかった。)自分の実家には姉から電話してもらうようにしていました。
妻の方も実家は母親が一人で暮らしているため、夜遅くに孫の死亡連絡をするとショックで具合が悪くなってしまうのではないかとおもい、隣に住んでいる妻の従兄弟へ連絡しました。
妻の従兄弟との話しで、もう夜遅いので翌日の朝にその従兄弟から直接話しをしてもらうことになりました。
そんな遣り取りを、夜中の救急病院の外で携帯電話でしていました。
警察が現場検証をしたいと言ってきたので、自分は娘と一緒に病院に残り、妻と上の娘は警察の方と一緒に一度自宅に戻ることになりました。
妻と上の娘が自宅に帰ると、娘は処置室から霊安室に運ばれました。
「れいあんしつ」という言葉を「冷暗室」と思っていた私は「霊安室」という文字を見て、「あっ、やはりそうですよね。」と妙に納得しました。
霊安室はそれぞれ部屋が分かれており、そこにベッドが置かれ、お線香が焚けるようになっていました。
看護婦さんがお線香をあげてくれました。
娘を自宅に帰らせるか?そのままその霊安室から葬祭場へ連れて行くか?
方法は色々とあるようでした。
いずれにしても、移動させるには霊柩車が必要で、葬儀屋さんに頼まなければなりません。
病院で人が亡くなると、葬儀屋さんを紹介してくれるという話しは聞いたことがありました。
看護婦さんは、霊安室内に置いてあった、葬儀屋さんの一覧表を見せてくれました。
市内の葬儀屋さんが20件以上書いてありました。
何時電話しても対応可能なのですね。24時間営業です。
遺体を移動した葬儀屋さんにお葬式もお願いしなければならないのかと、看護婦さんに訊ねたところ、移動したからといって必ずしも葬儀を頼まなければならないことはないと言われました。
取り敢えず、自宅に帰してあげたい。自分の家の自分の布団に寝かせてあげたい。
そう思いました。
時刻は夜中の1時を回っていたと思います。
霊安室の隣に和室の待合い室があり、そこに公衆電話と電話帳がありました。
どこの葬儀屋さんに連絡したらよいのか?迷っていたところ、電話帳に葬儀についての無料相談のフリーダイヤルがあり、そこへ電話してみました。
声の感じでは30代前半位だけど、低く手落ち着いた感じの人が応対してくれました。
自分自身、まさかこの年で娘の葬儀をしなければならないとは思っても見なかったので、わからないことをいくつか質問しました。
結局、今回の移動と葬儀とは別に考えることにして、自宅近くの葬儀屋さんに車の手配をお願いしました。
1時間は掛からずに車を病院の方に回してくれるということになりました。
その間、私は霊安室で娘と二人でおりました。
娘の寝ているような顔を見ながら、彼女に話しかけました。
「なんで親よりはやく逝っちゃったんだよ。そういうのが一番親不孝なんだよ。
まだ、16年しか生きていないじゃないか!
自分の半分もいっていないよ。
なにやってんだよ。まったく。」
彼女の顔を見ながら話しをしていると、涙がこぼれ落ちてきました。
良く自分は120歳まで生きると言っていましたが、120歳まで生きるなどと言わずに、70歳とか80歳にしておけば、後その50年分や40年分生きることができたのではないかと、バカみたいことが頭に浮かびました。
娘の16年と半年の人生は本当に幸せだったのだろうか?
我が家に生まれ、私と妻の子供で嬉しかったのだろうか?
二つ違いの姉と一緒に生活して、楽しかったのだろうか?
父親が転勤族だったために、幼稚園を2度、小学校も2度変わり、辛くなかっただろうか?
霊安室でなんども彼女の名前を呼びました。
でも、返事はかえってきません。
顔だけ見れば本当に寝ているようでした。
二人だけの時間が過ぎて、1時間弱で葬儀屋さんの車がきました。
霊安室は反対側の扉を開けると外に通じており、そこから車で遺体を運びだすことができるような作りになっていました。
看護婦さんには、「葬儀屋さんの車が来たら内線電話で連絡してください。お見送りさせて頂きたいので。」と言われていたので、連絡して来てもらいました。
葬儀屋さんは二人組で、手際よく娘をストレッチャー(担架)に乗せ、ずれ落ちないようにベルトで固定し、車に乗せました。
私も娘の隣の座席に座りました。
夜中の2時過ぎに病院を出て自宅に向かいました。
この時間帯は車も殆ど通っていなくて、雨が上がったばかりで、霧のようなもやのような湿った空気の中を車が走っていきました。
車の中で葬儀屋さんが、管理人さんは夜でもいるのですか?と聞いてきました。
狭いエレベーターの場合、エレベーター室内の奥側の扉を開けることにより、ストレッチャーがそのまま入れるようにすることができるそうです。(このことは知りませんでした。)
うちのマンションの場合、管理人さんは日中しかいないため、当然、エレベーター内の奥扉を開けることができなかったため、ストレッチャーを斜めにして何とか10階まで運びました。
前日の夜から数時間後の夜中の3時頃に、自宅に戻ってきました。
葬儀屋さん二人と妻と私とで、ストレッチャーに乗っている娘を布団に降ろしました。
北側を頭にして寝かせ、その隣にロウソクやお線香、お線香立てなどを置く台を設えました。
葬儀屋さんはドライアイスを準備してくれており、遺体が傷まないように処置をしてくれて、帰りました。
「お帰りなさい。 痛かったでしょう。 辛かったでしょう。
もう家に帰ってきたんだから、安心して寝ていていいんだよ。」
妻が涙を流しながら声をかけ、お線香を供えました。
私も上の娘もお線香を供えました。
妻は娘の隣に布団を敷き、私はそこと部屋続きになっているリビングのソファで寝ることにしました。
《次へ》【訃報-娘が亡くなりました。(5)】
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