プレリュード

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2007年09月21日
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カテゴリ: クラシック音楽
今日のクラシック音楽 』 R.ワーグナー作曲 「ジークフリート牧歌」

リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)と言えば「楽劇」というオペラのジャンルに新しいスタイルを確立した作曲家で、楽劇「ニーベルングの指環」や「トリスタンとイゾルデ」、「ニュールンベルグの名歌手」や、楽劇を確立する前の歌劇「さまよえるオランダ人」や「ローエングリン」などの名作オペラを書いて、ワーグナー音楽を好きで愛する人たちを「ワグネリアン」と呼ぶほどの人気のある作曲家であり音楽です。

現在もスイスのルッツェルン郊外にワーグナーの住んでいた家が記念館として保存されています。風光明媚なルッツェルン湖を眺めおろす素晴らしい風景を楽しめる小高い丘に建っています。 在職中にスイスへ行った時にこの「ワーグナー記念館」を訪れたことがあります。


2/13
(ワーグナー記念館)

玄関を入ると素晴らしいらせん階段があります。それを見た時に思い出したのが17人のオーケストラ奏者と指揮するワーグナーが、その螺旋階段に立って「ジーグフリート牧歌」を演奏しているのを想像しました。

2/13
(ワーグナーと17名の楽団員が立った階段)上記2枚の画像は「ワーグナー記念館」資料から転載しました。

ワーグナーは56歳で妻コジマとの間に3番目の子供として初めて長男を授かり、「ジークフリート」と命名してその喜びを表す為に彼はコジマに一曲の音楽を贈ったのです。 その曲が「ジークフリート牧歌」で、贈られた日がコジマの誕生日でした。

ワーグナーの妻コジマは、あの有名な作曲家フランツ・リストと当時の名ピアニストと言われたマリー・ダグーとの同棲中に生れた娘で、伝説的名指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻でしたが、ワーグナーに惚れて彼の許に走ったのです。 



ワーグナーにはバイエルン国王からミュンヘン近くに別荘を提供されるほどの寵愛を受けていました。 その別荘に落ち着いた時に、ワーグナーはビューローの家族を別荘に招きました。 ワーグナーの成功を喜んだ弟子ビューローは、別荘でのワーグナーの身の回りの世話をさせるために、妻コジマと子供二人を先に別荘に行かせたのでした。 それが間違いのもとで、ワーグナーとコジマはビューローが別荘に来るまでにただならぬ関係になってしまっていました。 ワーグナーが51歳の1864年のことでした。

その翌年(1865年)にワーグナーは楽劇「トリスタンとイゾルデ」の初演に大成功を収めます。 初演の指揮は勿論ハンス・フォン・ビューローでした。 そしてビューローがこの初演に情熱を傾けていた頃に、コジマはビューローの子として3人目の女の子を産んでおり、その子に「イゾルデ」と命名しています。 しかし、実の父親はビューローでなく、ワーグナーだったそうです。 何とも皮肉な話です。

楽劇「トリスタンとイゾルデ」は1859年(46歳)に完成されていますが、この時もワーグナーは不倫騒ぎを起こしています。 不遇の時代を支えた豪商ヴェーゼンドンクの妻マティルデと不倫の恋に落ちていたのです。この歪んだ恋が「トリスタンとイゾルデ」を書かせる原動力になったのではないかと穿った見方をしてみたくもなるエピソードです。

長男「ジークフリート」が生まれた時にはワーグナーとコジマの生活は正式な夫婦として成立していなかったのです。

話は「ジークフリート牧歌」に戻ります。

1870年12月25日の朝、目覚めたコジマは部屋の外の物音に気づいて寝室を出ました。 すると寝室に通じる階段には17名の楽団員が並んでいて、ワーグナーの指揮でこの曲の演奏を始められ、これが夫ワーグナーの自分への誕生日(12月25日)の贈り物と知ったのでした。

楽劇「ジークフリート」が作曲されている頃の音楽で、「愛と平和の動機」、「ワルキューレの眠りの動機」、「ブリュンヒルデの叫びの動機」、「活躍するジークフリートの動機」、「鳥の声の動機」など、実にのどかな、幸せな気分に包まれた極上のサウンドが聴く者を酔わせます。

不倫の恋から盗むようにビューローからコジマを奪ったワーグナーでしたが、この恋がなければ「ジーグフリート牧歌」という名曲は生まれなかったでしょう。

愛聴盤  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ウイーンフィルハーモニー

POCG20031  2/14
(グラモフォン原盤 ユニヴァーサル・ミュージック POCG20031 1987年ザルツブルグ・ライブ)

カラヤン




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今日の一花 』         ヒメツルソバ



10/29


10/29
撮影地 大阪府和泉市 2006年10月28日

タデ科 タデ属



春・秋に開花しますが、四季を通じて咲いているようです。
明治中期に日本に渡って来たと言われています。

繁殖力が強く、カーペット状に群生して咲いています。





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最終更新日  2007年09月21日 11時12分24秒
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Re:ワーグナーの不倫の恋~ジーグフリート牧歌(09/21)  
たけぽ2001  さん
ワーグナーにもそんな女性関係があったとは驚きです。
女性は男性の才能に惚れる、なんて言いますが、やはり並はずれた才能のせいでしょうか。
ヒメツルソバはいつも見かける気がします。
可愛らしい花ですね。
(2007年09月22日 00時21分57秒)

ワーグナー邸  
お写真、とても美しく写っていますね。
緑の最も綺麗な時期にいらっしゃったんですね。
私が行った時は、確か外窓の色が赤でした。
あの場所だからこそ、生まれた作品というものがあるように思います。 (2007年09月22日 10時33分46秒)

たけぽ2001さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
たけぽ2001さん
>ワーグナーにもそんな女性関係があったとは驚きです。
>女性は男性の才能に惚れる、なんて言いますが、やはり並はずれた才能のせいでしょうか。


芸術家は人並みすぐれた繊細な神経の持ち主で、世の中の常識を超える精神・神経であれば理解できないことでもないですね。 これは現代でも受け継がれているようですね。 有名人に不倫の恋が多いですね。

>ヒメツルソバはいつも見かける気がします。
>可愛らしい花ですね。
-----

最近は年がら年中咲いているような感じですね。道端や空き地でいつも見かけているようです。 マクロで覗と可愛い表情ですね。

(2007年09月22日 16時14分53秒)

MusikMusiqueMusic!!!音楽留学生の日常さん、ありがとうございます  
とも4768  さん
MusikMusiqueMusic!!!音楽留学生の日常さん
>ワーグナー邸お写真、とても美しく写っていますね。


この写真はワーグナー記念館というHPから無断借用しています。

>緑の最も綺麗な時期にいらっしゃったんですね。
>私が行った時は、確か外窓の色が赤でした。
>あの場所だからこそ、生まれた作品というものがあるように思います。
-----

作曲はやはり環境が変わると音楽にいい影響を与えるようですね。 気分がかわるでしょうか? 人間的な環境にも言えますが、やはり自然・風光も大きな力を与えるようですね。

(2007年09月22日 16時24分02秒)

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