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趣味ではじめたジェルネイル、お買い物、mixiのコミュや投稿サイトに送った拙い文章など、大好きなものを記録しています。何かお気に召すものがありましたら、遊びに来てくださいね☆
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2008年05月16日
カテゴリ： ショートショート
勢いついでに、大好きなもの３つめのショートショートを。
３つの決められた単語を使って文章を書いてみましょう、というトピックです。
このときのキーワードは「一億」「班長」「スカウト」でした。
お時間のある方の、暇つぶしにでもなれば
一億積まれたって、あいつとは付き合えないよ。
K君。明るくてスポーツできて、勉強ではいつも学年一位。
班長に委員長、立候補すれば生徒会長。
小学校から中学卒業まで、こなした役職は数知れず。
もちろん先生受けも、女の子受けもカンペキ。
おまけに、男子の人望だってある。
だけどね。
彼だって人の子だ。
太ってて暗くて、牛乳ビンの底メガネな地味子なんか、好きになるはずない。
あたしは、うつむいてぶっとい縄みたいな自分のミツアミを見てた。
恥ずかしくて恥ずかしくて、悲しくて悲しくて。
彼らが大爆笑してる姿が、教室の扉越しに見える。
ますます顔の角度を下げた。
あたしの顔なんか、上げちゃいけないのかもと思って。
そしたら、今度は上履きしか見えなくなった。
上履きと廊下に、雫がほたほたと落ちて、滲んだ。
絶対、きれいになってやる。
むかしむかしのエステのコマーシャルを思い浮かべ、あたしはかたいかたい決心をした。
絶対、坂井真紀になってやる。
そして８年後。
１５歳だったあたしは２３歳になった。
血の滲むような努力と、ほんのちょっぴり（ほんとだよ、ちょっとだよ）人の手と最先端の
技術を借りて、あたしは別人になった。
そして。
「ねえねえ、きれいなおねえさん、ちょっとでいいから話聞いてよ」
「急いでるんで」
「お願い、ほんとちょっとだから～」
うっとおしいキャッチを、あたしは下から睨みつけた。
こんなことも、今じゃ日常茶飯事なの。
……え？！
時間が、凍りついたかと思った。
変わり果てた姿のK君が、そこに、いた。
あたしの態度もおかまいなし、もちろんあたしのことなんか気付きもせずにぺらぺらと
しゃべり続けてる。
なんで、なんでＡＶのスカウトなんてやってるんだろう……？
今こそ、フクシュウの時。
一億積んでも付き合えないと言い切ったあたしに、今の自分の姿を知られたら、
そりゃあプライドが傷つくだろう。
それどころか、同級生の誰にも会いたくないに違いない。
だって、故郷の町からはるか遠い、こんな場所にいるなんて。
ほら、今度こそ顔をあげて。
言うんでしょ、“Ｋ君、中学卒業以来だね。Ｓだけど”って。
とびっきりの笑顔付きで。
だけど、だけど。
意を決して彼の顔を見つめたら、そこにはすがりつくような情けない表情。
昔の自信まんまんできらきらしてたＫ君の面影は、全くなかった。
必死に隠そうとしても出てしまう方言がせつない。
なんか、しらけちゃった。
あたしはふいっとＫ君から視線をそらすと、「待ち合わせしてるんで」とぶっきらぼうに答え、彼氏が待ってるはずの場所までかけ出した。
３つの決められた単語を使って文章を書いてみましょう、というトピックです。
このときのキーワードは「一億」「班長」「スカウト」でした。
お時間のある方の、暇つぶしにでもなれば
一億積まれたって、あいつとは付き合えないよ。
K君。明るくてスポーツできて、勉強ではいつも学年一位。
班長に委員長、立候補すれば生徒会長。
小学校から中学卒業まで、こなした役職は数知れず。
もちろん先生受けも、女の子受けもカンペキ。
おまけに、男子の人望だってある。
だけどね。
彼だって人の子だ。
太ってて暗くて、牛乳ビンの底メガネな地味子なんか、好きになるはずない。
あたしは、うつむいてぶっとい縄みたいな自分のミツアミを見てた。
恥ずかしくて恥ずかしくて、悲しくて悲しくて。
彼らが大爆笑してる姿が、教室の扉越しに見える。
ますます顔の角度を下げた。
あたしの顔なんか、上げちゃいけないのかもと思って。
そしたら、今度は上履きしか見えなくなった。
上履きと廊下に、雫がほたほたと落ちて、滲んだ。
絶対、きれいになってやる。
むかしむかしのエステのコマーシャルを思い浮かべ、あたしはかたいかたい決心をした。
絶対、坂井真紀になってやる。
そして８年後。
１５歳だったあたしは２３歳になった。
血の滲むような努力と、ほんのちょっぴり（ほんとだよ、ちょっとだよ）人の手と最先端の
技術を借りて、あたしは別人になった。
そして。
「ねえねえ、きれいなおねえさん、ちょっとでいいから話聞いてよ」
「急いでるんで」
「お願い、ほんとちょっとだから～」
うっとおしいキャッチを、あたしは下から睨みつけた。
こんなことも、今じゃ日常茶飯事なの。
……え？！
時間が、凍りついたかと思った。
変わり果てた姿のK君が、そこに、いた。
あたしの態度もおかまいなし、もちろんあたしのことなんか気付きもせずにぺらぺらと
しゃべり続けてる。
なんで、なんでＡＶのスカウトなんてやってるんだろう……？
今こそ、フクシュウの時。
一億積んでも付き合えないと言い切ったあたしに、今の自分の姿を知られたら、
そりゃあプライドが傷つくだろう。
それどころか、同級生の誰にも会いたくないに違いない。
だって、故郷の町からはるか遠い、こんな場所にいるなんて。
ほら、今度こそ顔をあげて。
言うんでしょ、“Ｋ君、中学卒業以来だね。Ｓだけど”って。
とびっきりの笑顔付きで。
だけど、だけど。
意を決して彼の顔を見つめたら、そこにはすがりつくような情けない表情。
昔の自信まんまんできらきらしてたＫ君の面影は、全くなかった。
必死に隠そうとしても出てしまう方言がせつない。
なんか、しらけちゃった。
あたしはふいっとＫ君から視線をそらすと、「待ち合わせしてるんで」とぶっきらぼうに答え、彼氏が待ってるはずの場所までかけ出した。
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