ガードマンのつづる日常

ガードマンのつづる日常

2011.09.04
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 大宅壮一が「炎は流れる」に間島の 朝鮮族 のことを書いていた。間島とは現在の延辺のことで、ロシア革命の時にロシア以外で最初にソヴィエトを造った地域である。

 そこで出されている新聞をリアルタイムで、それも日本語で読める。






 先日、記者は延吉市西市場東南側の靴修理の売台で奇異な現象を目撃した。 10余りの靴修理店が青一色に“朝鮮族靴修理” という看板を掲げていたが、よく見てみると本物の朝鮮族は一戸しかなかった。 私たち朝鮮族の靴修理技術は他の民族より特別に優秀なわけでもない。 ところが彼らはなぜ一様に“朝鮮族”と靴修理を連結させ、“朝鮮族”という民族性を浮上させているのだろうか?

 記者が“朝鮮族靴修理”という看板を一番最初に掲げたという唯一の朝鮮族・1号靴修理店事業主の張春植氏を探した時、彼は数人の顧客に囲まれた中で靴修理に熱中しているところだった。張春植氏によれば、彼は80年代初めに改革開放の熱風が起き始めると、すぐに二人の子供の勉強の支援をしっかりとやるために職場から決然と去り、延吉市西市場付近で靴の修理を始めた。 彼が靴修理を着実にすっきりと上手にやるため、常連がますます増え、いつも他の売台よりお客が多く、収入も順調に増えた。 自身のイメージをより一層明確に現わすため、彼は8~9年前から“朝鮮族靴修理”という看板を掲げたが、それが功を奏したのか、彼の靴修理業はより一層繁盛した。 それを見たその他の店の他の民族の靴修理事業主は羨み、 2~3年前からは自分たちも“朝鮮族靴修理”という看板を掲げたという。

 周知のとおり、民族を前面に出して企業名称や製品名称を付けることは、計画経済の時代にも存在した。 例えば“民族食堂”、 “民族衣装工場”、“民族楽器工場”等と同じ名称は昔も今も人々にとてもなじむ名称だ。 しかし当時、これらの名称は経済的意味よりは政治的、政策的意味が濃厚であり、経済的機能よりは政治的、政策的機能が中心だったということが出来る。 “朝鮮族冷麺”、“朝鮮族キムチ”、“朝鮮族狗醤”等、私たちの民族の代表的な食べ物を店の看板に明示したのも、計画経済時代には経済性よりは主に民族性、地域性を現わすためのものであった。 私たちの民族の名称が本当に市場経済時代に融合して経済的潜在力と生命力を誇示することになったのは、改革開放以後からだった。 私たちの民族的特性を備えた飲食業、衣装業、美容業などは、すでに延辺州の第3次産業の主力業種としての地位を固めており、国内の大都市でもそのイメージが日増しに高まっている。 これは私たちの民族の伝統的強みと特色を骨子とした各種の産業が、市場経済活動で競争力と浸透力をますます向上させていることを物語っている。

 不思議なのは、近年に新しく現れた私たちの民族の伝統的な強みと特色とは何の関連もない靴修理、引越し荷物運びなどの業種でも、私たち朝鮮族の名称の使用がより大きな吸引力と影響力を誇示していることだ。 これは経済活動の中で私たち朝鮮族の名称と朝鮮民族の伝統的強み、特色の強みがますます光を放ち、"朝鮮族"という名称自体が一つのブランドとして昇格したことを表明する。

 グローバル時代の市場競争は、すでに単純な製品品質の次元の競争から抜け出し、先進的な文化と理念に支えられた高次元のサービス競争に移っている。そして今、多くの事業主は顧客に質の良い製品と共に心理的郷愁や満足感を提供することに勝負を賭け、競争で有利な地歩を占めるために全力を尽くしている。 他の民族の事業主が“朝鮮族靴修理”という看板を掲げることになったのも、まず張春植氏に対する消費者の厚い信頼と肯定から始まったことであり、"朝鮮族"というこのブランドの価値を高く見たためだ。

 張春植氏が多くの消費者の足を引き寄せることが出来たのは、彼にお客さんを王様の如く迎えるサービス態度と顧客の履く靴を自分の靴のように最善をつくして修理する匠の精神があるためだ。“時間と力をもう少しでも多くかけて、靴修理の品質を保障しなければならない。” 張春植氏はいつもこのように語り、そのようにしただけでなく、自分のパートナーや他の靴修理事業主たちにもこのように助言している。

 今、少なからぬ事業主や企業等では外国を盲目的に崇拝し、外来語の名称を濫用している。 このような風潮の中でも相変らず朝鮮民族の名称を使って私たちの民族の伝統と特色に固執するのは、単純な経営行為を抜け出した私たちの民族に対する自負心と誇りの発露であり、私たちの民族の伝統的な経営理念と経営文化に対する継承と実践であるといえる。

 朝鮮民族は、農耕社会の時期から優秀な農夫や機織りの名人を、家門の誉れ、村の自慢、子孫の手本と敬って迎え、このような風土は、引き受けたこと一つ一つを心を込めて、誠意を尽くしてするという、私たちの民族の独特の農耕文化を育成し、何をするにつけても文化を崇め文化的な行為方式を好み、“良心に恥じるような仕事はせず” “人を欺くような仕事をしない” ことを信条とする民族的性格を形成するようになった。 延辺州の朝鮮族食品業者で、まだ典型的ともいえるような違法事件が発生していないのも、まさにこのような脈絡で可能だったことといえよう。

 最も民族的なものこそが、最も世界的であるという。張春植氏と彼の“朝鮮族靴修理部"は、一人一業の小さな雑貨屋だが、彼の店周辺で広がっていることは人々に示唆するところが大きい。 私たちが民族の伝統、民族の特色と強みを活かしてグローバル時代に応じていくならば、どんなことでも新しい跳躍が出来る、この上なく大きな原動力を得られ、したがって世界の人々が好む民族ブランドを創り出すことが出来るようになるだろう。(黒龍江新聞 2011年9月2日)







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最終更新日  2011.09.04 21:53:51
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