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トマ・ピケティとエマニュエル・サエスの論文から「米国所得の
TOP層1~10%の長期推移」をみた。
アメリカでは、ウオール街占拠運動という、貧困所得層のデモ
が起こった。
しかし、昔のイデオロギー運動を背景とした「資本家VS労働者」
のデモではない。
貧困所得層という一部の限界的な生活者ではなくて、かなりの
低所得者層が米国の社会で生み出されていたのである。
本日の、読売朝刊の「フランシス・フクヤマ」氏(米政治哲学者)
の寄稿文では、1974年から2007年までの間に、米国人口の
最富裕者層1%の所得が総所得に占める割合が9%から23.5%
に増加し、さらには、 0.01% の最上位富裕層(15,000世帯)では、
総所得に占める割合が1%から6%に跳ね上がった問題を取り上げ
ている。
第二次世界大戦直後には、大戦中は富める者から戦費を調達した
ために、貧富の差は極めて薄くなったものである。
1970年代以降は、貧困を薄めるために女性(妻)が大量に進出して
家計を助けたこと、低所得者層への住宅ローン補助があり、2000年代
にはアジアからの低金利資金に支えられた「サブプライムローン」を
利用して住宅が購入できた。
ところが、2008年~09年の金融危機で住宅バブルは破裂した。
こうした、破局は金融のみではなくて、情報革命による高機能機器
の発達が「低技能職種を容赦なく破壊したこと、中国、バングラデシュ
などの膨大な数の低賃金労働が、米国などの高所得な国で行われて
いた仕事を、僅かのコストで代替した。
戦前との変化は、米国政府が2000年代を通じて金融部門の病的
拡大を放置したことであり、金融危機前夜には全産業の利益の40%
を金融部門が占めた。
人口の 0.01%の最上位富裕層 には巨額な役員報酬を受け取る
企業家など、スポーツ界・アート界のスーパースターのほかに、ヘッジ
ファンド運用者、投資銀行家、債券トレーダー、キャピタルゲインなど
の金融部門の比率が異常に大きい。
莫大なボーナスを取り去り、経済全体の弱体化に寄与したのである。
税の累進化がそれを矯正するどころか、前大統領時にはキャピタル
ゲイン課税を引き下げている。
伝統的な米国民のうち共和党員には特に、自由を優先する気風が
残っており、不平等の蔓延化に歯止めがかかっていない。
現・オバマ大統領はこのような不平等を是正するべく、金融規制など
を打ちだしているが、米国民の大多数は危機的な不況の到来に気づ
いていない。
ポピュリズム といって 衆 偶 政治 に結びつけようとするが、民衆の意見
は少数なら無視できるが、大衆となってからでは制御が利かなくなる。
なぜなら、民主政治では結局のところは「過半数が制する」のだから。
暴動や、反政府デモは避けるべきであるが、 「我々は99%!」でなく
とも、 「過半数の選挙結果」を待てば、みんなのための政治ができる。
(参考資料)
米国の税引き後個人所得の所得階層別シェア(%)と
その指数(1979年=100)
DATA:米議会予算局(CBO)調査報告資料
(2011/10/25)からの報道等。
「五分位」以外の階層別は小生の任意の識別法である。
| 所得層区分 |
1979年 |
2007年 |
|---|---|---|
| 上位層 (81%~100%) (五分位の第五位) A群 |
43%( 100 ) |
53%( 200 ) |
| 内・最上位 1%(99%超) AAA |
8%( 100 ) |
17%( 375 ) |
| <内・上位のうち最上位AAAを除く 富裕層>(AA,A,A-) |
35%( 100 ) |
36%( 165 ) |
| 内・次の4% (96%以上~99%) AA |
12% |
|
| 内・次の5% (91%以上~95%) A |
10% |
|
| 内・次の10% (81以上~90%) A- |
14% |
|
| 中位(21%~80%) (五分位の第二、三、四位) B群 |
50%( 100 ) |
43%( 140 ) |
| 中位の上(61%~80%) (五分位の第四位) B+ |
20% |
|
| 中位の中(41%~60%) (五分位の第三位) B |
14% |
|
| 中位の下(21%~40%) (五分位の第二位) B- |
9% |
|
| 下位層 (1%~20%) (五分位の第一位) C群 |
7%( 100 ) |
4%( 118 ) |
| 合 計 |
100%( 100 ) |
100%( 162 ) |
伸び率格差が開いた原因は、富裕層の税引き前の所得で、
政府による所得の移転をしない段階での所得の伸びが高かっ
たためである。
この段階での、1%の最高位層(AAA)が1979年には、全所得
の50%を占めていたのが、2007年には60%を占めた。
また、所得移転を享受している下位層への移転額については、
1979年に下位層が移転額の50%を受けたのが、2007年に
は35%に低下した。
その大きな理由は、所得移転で、低所得層に限らない、老人
向け社会保障や失業保険給付の支出が増えたためである。
累進課税制度から別の税制に変更されたことなども不平等を
促進した、と言うことらしい。
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