徒然日記

パクリ屋なのか？

１０月に新規取引の申し込みがあって、二回納品した。
三回目の注文が来た時に、「あれ？変な感じ」
納品先の倉庫が変わった。
注文数がどんどん増える一方。
大体、新規の顧客はみんな「こういう商品が欲しい」「工場を見学させてくれ」などと、打ち合わせと称して一度は必ずウチに来るのに、今回のＱ社は「どうぞ」と言っても言葉を濁して来ない。
その会社の登記簿を調べると、創業から３０年以上経っているが、二ヶ月前に事務所の移転・役員全員交換。さらに２年前にも同様に事務所の移転と役員総取替え。
パクリ屋なのか？
このご時世、新規顧客は喉から手が出るほど欲しい。
でも、ウチみたいな小さなところは一回パクられたら、大打撃だ。
通常の取り引きが何年か続いた後での倒産と、最初から取り込み詐欺を働くつもりのパクリ屋とでは、同じ「倒産」でも、全然違う。
夫は悩みに悩んだ末に「取り引きご辞退申し上げる」と言った。
もちろん「アンタ達、パクリ屋っぽいから、あぶないからやりたくないよ」なんて言えないから「弊社の力不足で御社のご要望にお応えする能力がありません。申し訳ありません」とひたすら頭を下げるのみだ。
舅は「そんな意気地のないことでどうする！商売なんかやめちまえ」と夫と私を「そこに座れ」から始まって「ああ情けない」「オマエらなに考えてるんだ」私にも「オマエの親だって掘っ立て小屋みたいななんにもないところからあそこまでしたんだから、少しは親を見習って働け」などと言う。っつーか、怒鳴る。夫が建前としてＱ社に言った「弊社の生産が間に合わない」というの真に受けてるのか？私が工場で夜中まで働けばたくさん製造できて取り引き続行できたのにと思ってるのか？アホか？舅はもう杖なしでは歩けないし、一人では何も出来ない。内臓だけは丈夫で健康だ。
罵詈雑言ってこういうことだな。早く死ねファッキンシットジジイ。と心の中で呟く。まぁ、こんなことではもう泣いたりしなくなっちゃったワシ。
問題のＱ社は二回納品分の売掛金を１１月末に支払うと約束した。
のだが！払ってくれないんだよね。
一部を言い訳程度に支払ってくれた。
再三集金に行っている。
でも、行く度に「ね、払ってるでしょ？払う気はあるんだから、ウチも大変なのよ」・・なんだよ、訴えられないための言い訳の為にちょっぴりだけ払ってるんじゃん！？
で、ジジイは「こうやって払う誠意があるんだから、この人たちはいい人だ。オマエらが変なんだ」と言いやがる。
外ではいくら粘っても上手くあしらわれて空振り。
内では「オマエは大きな間違いを犯したんだ」とジジイに言われる。
夫君、禿げちまいますよ。
今日も「集金に行ってみる」と言うので、なんだかかわいそうになって「一緒に行こう。私は車の中で待ってるよ。駐車違反とられると困るもんね」とついていった。（かわいそうだからついて行くっていうのは男のプライド傷つけちゃうからさ）車の中で、なだめ・励まし・同調し・なぐさめ・・・。
今日ももちろん空振り。受付嬢（これも先週代わった。そうそう、社長も先月変わっちゃったのよ。やっぱ変だよね）が「今日は外出していて戻りません」と言ったそうだ。
「このまま年明けに逃げちゃうのかもな」と夫はポツリと言った。
信号で停まったら、隣のカップル二人乗りのバイクの後輪に彼女のバッグがくっついて、こすれて切れて、今にも車輪に絡まりそう。でも二人とも笑顔で楽しそう。
「ああ、今日はクリスマスイブだもんね。いいなぁ」と思っていたら、夫が窓を開けて「あぶないよ。バッグが車輪に触ってる」と言ったら、バイクの二人は、きょとんとした顔をしてた。
こんな状況でも親切なのね。だから尊敬できるけど、それが商売には仇なんだよ。

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