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1945年の広島への原爆投下直後に「黒い雨」が降った地域は,国が指定した「大雨地域」より広かったことが,広島市がまとめた「原爆体験者等健康意識調査報告」で明らかになりました。 強い放射能を含んだ「黒い雨」が降った地域は広範囲なのに,政府は「大雨地域」のみを被爆者援護法の「健康診断特例区域」に指定し,それ以外は放置してきました。 そのため未指定地域で「黒い雨」をあびた住民は苦しめられてきました。 政府の措置が実情に合わないことが明らかになった以上,これまでの措置を抜本的に見直し,被爆者救済を拡大すべきです。 広島市は2008年6月から11月にかけて被爆体験調査を実施しました。 2002年に市民10,000人を対象にした被爆実態調査を行いましたが「科学的根拠がない」といって政府から拒否されたため,今回は大規模かつ綿密な聞き取り調査を行ったものです。 同市とその周辺地域の約37,000人に調査票を送り,約27,000人が回答した調査内容を詳細に分析しています。 調査報告で「黒い雨」を体験した住民が,爆心地や「健康診断特例区域」だけでなく,未指定地域でも多数にのぼっていることが明らかにされました。 被爆者健康手帳も健康診断受診者証も受けていない800人以上が,未指定地域で「黒い雨」を体験したことを証言しています。 その結果,多くの人たちが爆心地から離れた未指定地域で,原爆投下を知らずに強い放射能を含んだ「黒い雨」を浴び,触れたり,口に含んだりしたことが明らかになりました。 「黒い雨」が降った地域は政府の指定区域の6倍ともいわれます。 爆心地に近い「大雨地域」だけを「健康診断特例区域」にするという政府の説明は通用しません。 調査報告は「降雨時間」に焦点をあてたことが特徴です。 その結果,未指定地域でも「黒い雨」が相当な時間降り,さらされた可能性があることが多くの証言で明らかになりました。 「黒い雨」は強い放射能を含んでいます。 数時間「黒い雨」をあびれば,放射能の影響を強く受けます。また「降雨時間」を度外視した政府の対応は問題です。 見過ごせないのは調査報告が,未指定地域での「黒い雨」体験者が,「放射線による健康不安」のために,「心身健康面が被爆者に匹敵するほど不良」であったと指摘していることです。 「健康診断特例区域」に指定もせず,何の対策も採らなかったために,「健康不安を増大させていた可能性がある」と調査報告は述べています。 政府の責任は重大です。 被爆者援護法の「健康診断特例区域」に指定されれば,公費による健康診断や障害の程度によって被爆者健康手帳の交付にも道が開かれます。 「黒い雨」体験者の高齢化が進んでいるだけに,指定地域の拡大は待ったなしです。 長妻昭厚生労働相は野党議員に対して,広島市の調査報告がでれば「重く受け止める」と約束していました(3月9日)。 政府が「健康診断特例区域」の指定地域を「黒い雨」全域に拡大し,「黒い雨」で被爆した人々が被爆者援護を受けられるようにすることが緊急に求められます。
Apr 9, 2010
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オバマ政権は4月6日,今後5~10年のアメリカの核政策の基本指針となる「核態勢見直し(NPR)」報告を同政権として初めて発表しました。 非核保有国に対して核兵器を使用しない「消極的安全保障」を強化することや「非核攻撃への抑止力としての核兵器の役割を引き続き小さくする」ことを表明。 核兵器を通常兵器と同様に使うとしたブッシュ前政権の方針からの転換をはかりました。 公表された報告は核戦略の「5つの重要な目標」として,(1)核拡散と核テロを防止する(2)国防戦略における核兵器の役割を縮小する(3)縮小した核戦力レベルで戦略的な抑止と安定を維持する(4)地域における抑止力を強化し,同盟諸国を安心させる(5)安全で確実,有効な核兵器備蓄を維持する,ことを提示しました。 核攻撃の抑止について「通常兵器の能力を強化し,核兵器の役割を縮小する」方針を明記しました。 しかし核兵器の「先制不使用」は宣言しませんでした。 一方で,核兵器の使用を「アメリカないしは同盟国の死活的利益を守るという極端な状況」にのみ検討するとしました。 あわせて「消極的安全保障」の強化を明記しましたが,その対象を核不拡散条約(NPT)に加盟し,核不拡散義務を順守する国に限定していますが,イラン,北朝鮮,シリアなどを除外しています。 「核の傘」をめぐって,欧州や太平洋で前進配備の核兵器の数を削減していると強調し,通常戦力の前進配備やミサイル防衛システムへの依存を強めていくと指摘しました。 オバマ政権の「核態勢見直し」(NPR)報告は,核不拡散条約(NPT)に従う非核保有国に核兵器を使わないことを明示するなど,ブッシュ政権時の2002年報告とは転換を示しました。 一方で核兵器依存体質は根強く残っています。 オバマ政権のNPRをめぐっては,「核兵器のない世界」という構想をどう具体化するかもかかわり,政権内部で「綱引き」がありました。 そのためNPRの公表が当初予定より1ヶ月以上遅れた経緯もあります。 核兵器の使用目的をめぐって,NPRは「核兵器の役割を縮小する」として,核兵器に依存しない国防戦略を構想。生物・化学兵器による攻撃にも通常兵器で反撃する方針を打ち出しました。 また新しい核兵器の開発に着手しないことを表明しました。 「核実験を行わない」とし,包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期批准を目指す方針を盛り込みました。 しかしゲーツ国防長官は4月6日の記者会見で「生物兵器による破局的被害の可能性があるなら,アメリカは(通常兵器で反撃するという)政策を修正する権利を留保する」と言明しています。 核兵器の使用を排除しているわけではありません。 今月14日にアメリカの核兵器政策についての公聴会を開く下院軍事委員会のスケルトン委員長は4月6日,「NPRは今日のアメリカの安全を保障し,将来の脅威を抑止する枠組みを示している」と声明で指摘しています。 NPRが大陸間弾道ミサイル,(原子力)潜水艦搭載の弾道ミサイル,重爆撃機という攻撃能力の「3本柱」を保持していることに満足の意を表明しました。 オバマ政権の核政策について,アメリカン大学核問題研究所のピーター・カズニック教授は「核兵器廃絶という最優先事項を,自分の生きているうちは無理として,次世代へと先送りする限り,戦略核の削減に取り組んでも正しい方向への小さな一歩にとどまる」と指摘します。 というのは,今回のNPRには核兵器を廃絶するという方向性は盛り込まれていません。 核政策でのオバマ政権の「変化」を現実のものとしていくには,廃絶を求める世論と運動が不可欠になっています。
Apr 8, 2010
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オバマ大統領は4月5日,アメリカ紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで,非核保有国に対しては核兵器を使用しないことなど,ブッシュ前政権からの核戦略の転換を表明しました。 また「核兵器にますます重点を置かないようにし,通常兵器の能力が抑止力として機能するようにする」と表明。 生物・化学兵器には核兵器でなく,通常兵器で反撃すると述べました。 インタビューは,オバマ政権がアメリカ政府の今後5~10年にわたる核戦略の指針「核態勢の見直し」(NPR)報告を4月6日に発表することに合わせて行われました。 オバマ氏は,「核不拡散条約(NPT)を順守する非核兵器保有国には,核兵器を使用しないという消極的安全保障を実施する」と表明。 一方,北朝鮮やイランのように核兵器開発を続ける国は例外としています。 ブッシュ前政権は2002年のNPRで,「テロや大量破壊兵器への対抗」として,非核保有国に対しても,核の「先制使用」がありうることを打ち出していました。 同紙(電子版)はオバマ政権のNPRの抜粋を紹介しています。 「アメリカは引き続き,非核攻撃の抑止において核兵器の役割を小さくする」,「アメリカは新型の核弾頭の開発を行わない」とする一方,生物・化学兵器による攻撃に対し核兵器を使用しないという戦略については,見直す「権利を留保する」としています。 オバマ大統領がアメリカ紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで明らかにした新たな核戦略は,ブッシュ前政権から転換したものとなっています。 ブッシュ政権は2002年1月の「核態勢見直し」(NPR)報告で,核兵器を通常兵器と同様に使う方針を打ち出し,ことにイラクや北朝鮮,中国など7ヶ国に対する核兵器使用を想定。 「核抑止」ではなく,核による先制攻撃を行うという構えを明確にしました。 これに対し,オバマ氏はインタビューで「核不拡散条約(NPT)を順守する非核兵器保有国には,核兵器を使用しないという消極的安全保障を実施する」と言明しました。 ブッシュ政権が否定した「消極的安全保障」を再び採用することを強調しました。 また「核兵器にますます重点を置かないようにし,通常兵器の能力が抑止力として機能するようにする」とも述べています。 新たな通常兵器の開発を前提に,核兵器に頼らない防衛戦略を描いています。 オバマ氏は昨年4月の「プラハ演説」で「核兵器のない世界」をめざすと表明しています。 4月6日に発表される新しいNPRはそれを受けたものですが,オバマ氏のインタビューから新戦略の「力点」がうかがえます。 ひとつは,NPTを軸とした「核不拡散体制」の強化です。 先にロシアとの間で合意した第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約について,オバマ氏は軍縮努力を「世界に明確に示す」ものだと強調。 それによって非核保有国の拡散防止努力を促そうとの意図を示しました。 ふたつは,米ソ冷戦時代のような核対決よりも,核開発を進める北朝鮮・イランのような「孤立した国家」や,テロリストによる核保有を脅威と位置づけていることです。 そのため一定の核軍縮措置をとりながらも,核兵器を「抑止力」として引き続き活用する点は変わりありません。 さらに「核兵器のない世界」の実現が自分の生きている間にはできないとの見解を改めて表明しています。 残念ながら,本当に核兵器を廃絶するという姿勢は見られません。 世界の反核運動がオバマ氏をはじめとする各国首脳に,いまこそ核兵器廃絶に踏み出すよう強く求めることがますます重要になっているといえます。
Apr 7, 2010
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米価の下落が日本農業を暗いものにしているなか,下落の大きな要因になっているミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米を今後も輸入し続けるのかどうかが,あらためて問われています。 鳩山由紀夫政権は,MA米の輸入政策を見直さず,旧政権と同様に年間77万トンにのぼるMA枠の全量を輸入する姿勢をとっています。 農業者をはじめ,食料自給率の引き上げを望む大多数の国民にも背を向けた姿勢です。 MA米は,1994年に制定された世界貿易機関(WTO)協定で,それまで輸入割合の小さかった品目に輸入機会を提供するものとして設定されました。 しかし,その全量を輸入するよう義務づけられたわけではありません。 ところが,自民党・公明党連立政権はそれを「義務」だと言い張り,国内に需要がないにもかかわらず,大量に輸入し続けてきました。 赤松広隆農林水産相は,全量輸入について「(WTO協定上)規定されているわけでもないし,約束があるわけではない」(4月1日の参議院農水委員会での答弁)と言明しました。 それにもかかわらず,同相は「国際約束」論を持ち出して,MA米の全量輸入を続けるという姿勢をとっています。 農林水産相の頭にはアメリカの圧力があるのではないか,と考えずにはいられません。 赤松農林水産相は昨年10月に訪米し,カーク米通商代表(USTR)と会談した際,MA米の全量輸入を達成すると約束したことが伝えられました。 MA枠の全量輸入が続くなか,2007年度は輸入量が70万トンにとどまりました。 コメの需給が国際的にひっ迫し,価格が上昇したことが理由でした。 ところが,アメリカ政府はこれにまで非難を浴びせてきました。 USTRが作成した『貿易障壁報告』2009年版は,2007年度の未達について日本の制度運営の「弱さを露呈した」と強調しました。 2008年度には「全量達成されると期待している」とし,日本の輸入入札過程を「厳密に監視し続ける」と高飛車な態度を示しました。 政府は2008年度,77万トン全量を輸入しました。 USTRは3月末に公表した2010年版の『貿易障壁報告』で,「日本がWTOの輸入量約束を満たし続けることを期待する」とクギを刺しています。 赤松農林水産相はMA枠77万トンの全量を「国際的な約束としてきちんと守っていることの方が,結果的には日本の農業を守ることになる」などとして,全量輸入に固執しています。 政策の転換を求める国民に対しては,「こうした約束そのものは政権が代わっても守っていかざるを得ない」と開き直る始末です。 政府は先月末,食料自給率を現在の41%から10年後に50%に引き上げるとした新しい「食料・農業・農村基本計画」を決定しました。 それを果たすには,農政の抜本転換が不可欠です。 コメは国内で自給が可能な唯一の農作物です。 それにもかかわらず,米価は生産費さえまかなえず,耕作放棄が拡大しています。 MA米が国内の市場を圧迫しているのです。 国内に需要のないMA米の輸入を中止することこそ,農政転換の筋道です。
Apr 6, 2010
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2008年9月から横須賀基地(神奈川県)を母港にしているアメリカ原子力空母「ジョージ・ワシントン」について,岡田克也外相が「放射能の管理を必要とする作業が艦内で行われている」と初めて認めました(3月16日)。 原子力空母の放射能「管理」作業は昨年以来,常態化しています。 岡田外相の見解は,「放射能の管理を必要としない通常のメンテナンス」を行っているというこれまでのごまかし説明では通用しなくなったため,新たなごまかしでアメリカ軍の作業を追認するのが狙いです。 「ジョージ・ワシントン」は昨年に続き今年も1月から定期修理を行っています。 日本人は排除され,アメリカ・ワシントン州にある海軍造船所からやってきた分遣隊約600人が横須賀港内で原子力空母の作業にあたっています。 この分遣隊は放射能「管理」を任務とする特別の専門集団です。 放射能の「管理」が必要な作業というのは,原子炉本体ではなくてもその周辺で放射能の汚染が予想される作業だということです。 空母艦内とはいえ横須賀港のなかでの作業です。 汚染の危険がないという保証はまったくありません。 空母内での放射能管理作業を認めたのは,原子力潜水艦の日本寄港を認めたときの日米両政府のとりきめに照らしても重大です。 1964年に日米両政府が交わした外交文書「エードメモワール」は,原潜の「燃料交換及び動力装置の修理」は日本の領海内で行わないこと,港内では放射性物質が「原子力潜水艦から搬出されることはない」と明記しています。 しかし,寄港して短期間で出港をくりかえす原潜と違って,原子力空母は1年の半分は横須賀基地に停泊します。 そのため「動力装置の修理」や艦内にたまった放射性物質の艦外搬出・処理が必要になったといわれます。 原子力空母の母港化を機に,「エードメモワール」違反をただすこともせず,アメリカいいなりに,日本の領海・港湾内で放射能管理作業を認めるのはとうてい許せません。 「エードメモワール」が修理をしないと明記している「動力装置」は,「原子炉」を含む推進システムのことです。 「動力装置」は放射能にさらされる可能性があります。 そのため,原潜寄港反対の運動が高揚し,アメリカ政府は「日本国民の懸念を承知している」といって「原子炉」だけでなく「動力装置」そのものを修理しないと約束せざるをえなかったのです。 岡田外相の見解は,絶対に通用しません。 放射性物質の「陸揚げを伴わない」からといって,空母から別の艦船に移し,処理してもいいというのも,「エードメモワール」に反する,ごまかしにすぎません。 ごまかしにごまかしを重ね,なしくずし的に原子力空母の修理に道を開くのを,政府はやめるべきです。 政府が原子力空母の放射能「管理」作業を認めたのは,日米軍事同盟を絶対視し,原子力空母の横須賀母港化をこれからも維持するためです。 日本はアメリカ原子力空母に立ち入りもできず,安全規制を適用することもできません。 横須賀市民と首都圏の住民を本気で守るなら,政府は原子力空母の母港をきっぱり返上すべきです。
Apr 5, 2010
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イスラエルによる入植地活動の継続は,中東和平推進を掲げるオバマ政権にとって障害となっています。 そうしたなかアメリカの“親イスラエル派”からも,イスラエルに対して公然と批判の声があがっています。 イスラエルは,バイデン・アメリカ副大統領が同国訪問中の3月9日,東エルサレムで1,600戸の住宅を建設すると発表しました。 エルサレム市当局はネタニヤフ首相とオバマ氏との会談(3月23日)直前に,同地での住宅20戸の建設を最終承認しています。 クリントン政権で駐イスラエル大使を2度務めたユダヤ系アメリカ人のマーティン・インディク氏は3月21日放送のアメリカ・CNNテレビの番組で,ネタニヤフ氏はアメリカを「手玉にとっている」と指摘しています。 アメリカ外交専門家の主流派に苛立ちが広がっていることをうかがわせました。 アメリカで強大な影響力をもつ親イスラエル・ロビー団体「米国イスラエル広報委員会」(AIPAC)は3月21~3月24日,首都ワシントンで集会を開催しました。 全米から7,500人に及ぶ“活動家”が詰め掛け,アメリカ政府高官,民主・共和両党の議会指導者などがこぞって参加し,権勢を誇って見せました。 席上,クリントン国務長官は「新住宅建設は,相互信頼を損ない,交渉を危機にさらす」と言明しましたが,ネタニヤフ氏が「エルサレムは入植地ではなく,われわれの首都だ」と公言して喝采を浴びたのとは好対照でした。 そうした状況を反映して主要メディアも二分しています。 ワシントン・ポスト紙が「ネタニヤフ政権を攻撃して,和平プロセスはすすむのか」(3月16日付社説)とオバマ政権を批判すれば,ニューヨーク・タイムズ紙は「むしろ問題は,ネタニヤフ氏が本当に和平妥結に自国を導くだけの意志があるのかどうかだ」(3月27日付社説)と反論しています。 親イスラエル・ロビーもいまや一枚岩ではありません。 クリントン政権の政策顧問を務めたジェレミー・ベン・アミ氏がAIPACに対抗して2008年に結成した親イスラエル・ロビー団体「Jストリート」は,先のクリントン氏の演説を支持。 「イスラエルは,アメリカとの関係を損なうような過激な入植活動家を放置すべきではない」とする意見広告をニューヨーク・タイムズ紙に掲載しました。 同団体などが3月17~3月19日に実施した世論調査では,ユダヤ系アメリカ人の60%が,両国関係を損なったのはイスラエルによる東エルサレムの住宅建設計画発表だと回答しています。 アメリカがイスラエルを批判するのは正しいと答えた人も55%にのぼっています。 アメリカが後ろ盾になって,無理やり建国したイスラエルが今となってはアメリカの脅威になっているのは,何とも皮肉なことですが,やはり軍事力では何も解決できないことを象徴しています。 中東和平を推進しようとするアメリカが,武力ではなくどのように進めていくのか注目をしております。
Apr 4, 2010
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改正雇用保険法が,4月1日施行されました。 失業した時に失業給付を受けられるなど公的なセーフティーネットである雇用保険に加入する要件が緩和される前進面があるものの,自民党公明党連立政権により相次ぐ改悪が行われた同制度を根本的に転換するためには,なお大きな課題を残しています。 これまで,非正規労働者は,1週間の所定労働時間が20時間以上あり,6ヶ月以上の雇用が見込まれていなければ,雇用保険に加入できませんでした。 法改正により,31日以上の雇用見込みがあれば加入できるようになり,新たに255万人の非正規労働者が加入対象になると見込まれています。 また,事業主から雇用保険料を天引きされていたにもかかわらず,事業主の責任により保険の未加入となった人がさかのぼって適用されるのは,これまでは2年まででしたが,給与明細等の確認で2年を超えてもさかのぼって適用が可能となります。 しかし,大きな課題が残っています。 今回の改正は,保険の加入要件のみで,失業給付を受ける要件(離職前の2年間で12ヶ月以上,倒産・解雇の場合は離職前の1年間で6ヶ月以上の被保険者期間)は従来通りであることです。 このため,保険に加入はできても,実際に失業しても手当を受け取れないという事態が生まれます。 自民党・公明党連立政権下で給付日数や給付水準の切り下げが行われ,「自己都合」による離職者に対しては給付日数を最高300日から180日に切り下げるなど,給付水準や受給資格に格差が導入されています。 これらの改善は残されたままです。 もともと日本では,失業手当を受給できない失業者の割合が77%にものぼっています(ILO=国際労働機関調べ)。 厳しい受給要件のため,失業手当がもらえなかったり,失業手当の日数が短いためにすぐに切れてしまう人が多いためです。 雇用情勢が悪化するもとで緊急にやるべきことは,現行法で90日の延長ができる「全国給付」の適用です。 これは政治がやる気になればすぐにでもできることです。 しかし,鳩山内閣は相変わらず背を向けています。 やる気さえあればやれる「全国給付」の速やかな延長を求めるとともに,失業手当の給付期間の大幅な延長,給付水準の引き上げなど,制度を抜本的に拡充を鳩山内閣は一日も早く実現すべきです。
Apr 3, 2010
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政府は4月2日の閣議で,「機密費の情報公開に関する質問主意書」(3月25日付)に対する答弁書を決定しました。官房機密費(内閣官房報償費)の使途を全面公開するという鳩山由紀夫首相の約束を事実上棚上げにする一方で,1年間かけて使途等を検証し,「できる限りの透明性の確保を図る方策」を検討するとしています。質問主意書では,官房機密費のすべての支出の「チェック」と公開を約束した首相答弁(3月23日,参議院予算委員会)と,「(使途の開示可能な範囲を)1年間かけて検討し,判断したい」とする平野博文官房長官答弁(3月10日,衆議院内閣委員会)との不一致を指摘しています。そして内閣として支出先や金額,使途等を記録し,情報公開を行う考えがあるのかとただしていました。また,外交機密費(外務省報償費)が「官邸の外交用務」に使われていたとする政府の答弁書(2月5日閣議決定)について,自ら「残された文書」を調査したと認めた岡田克也外相発言(2月5日の記者会見)に言及しています。関連するすべての行政文書の開示を求めた市民の請求に対し,文書の「不存在」を理由に拒否した外務省の対応との矛盾を追及していました。今回の答弁書は,一切の行政文書を同省は「保有していない」と断言しています。「報償費という経費の性格上,お答えすることはできない」などと,一切の開示を拒否しました。支出のチェックと全面公開という鳩山首相の国会答弁での約束を,首相自身の名による答弁書で後退させました。また,外交機密費が首相官邸に「上納」されていた事実を示す文書の保有も否定するなど,鳩山政権は自民党・公明党連立政権と同様「上納」の事実を認めず,その解明に取り組む姿勢がないことがはっきりしました。機密費問題の実態解明を求めます。主党も国民に約束したことを次々と翻すことばかりやっていますが,国民からの信任を得られなくなる日が遠くない将来に確実にやってくることを忘れてはいけません。
Apr 2, 2010
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鳩山由紀夫首相の政治資金疑惑にかかわって,政治資金収支報告書の虚偽記載で起訴された元公設第一秘書の初公判が開かれました。元秘書は起訴事実を認め,検察は禁固2年を求刑して裁判は即日結審,次回4月22日の公判で判決が言い渡される予定です。検察側は冒頭陳述で,鳩山首相の母親からの提供資金などが「個人献金」と偽装されていた構図は明らかにしました。しかし,虚偽記載が明らかになったのは,母親の提供資金などのごく一部です。疑惑の全面的な解明には,鳩山首相自身の国会などでの説明がいよいよ必要になっています。元秘書の起訴事実は,鳩山氏の資金管理団体「友愛政経懇話会」や選挙区の関連政治団体「北海道友愛政経懇話会」の会計事務の担当として,献金していない人などの名義を使った虚偽の「個人献金」を,政治資金収支報告書で届け出たというものです。検察は冒頭陳述で,元秘書が管理していた鳩山氏の政治資金には,「友愛政経懇話会」への実際の寄付やパーティー収入のほか,鳩山氏の国会議員としての文書通信交通費の一部や鳩山氏の個人資産などがあったが,それでは足りないので2002年ごろから鳩山氏の母親から月1,500万円を「自由に使える資金」として受け取るようになったと指摘しました。政治資金収支報告書の作成はまず支出額を決めた上で,鳩山氏らの寄付が上限額を超えないようにしながら,手元の名簿などで個人の寄付やパーティー収入を大幅に水増ししたとしています。元秘書が虚偽記載した政治資金収支報告書は,時効にならない2008年までの5年間で「友愛政経懇話会」で約3億5,900万円,「北海道友愛政経懇話会」で約4,200万円にのぼります。政治資金の収支を明らかにし,国民の「不断」の監視と批判の下に置く政治資金収支報告書の作成で,長期に,しかも巨額に上る虚偽を働いたことは,まさに重罪に値します。しかも,これですべての疑惑が解明されたわけではありません。母親の提供資金だけでも年間1億8,000万円,5年間では9億円,2002年からの7年間では12億6,000万円にのぼります。鳩山氏の個人資産もあります。虚偽記載され,報告書を偽ったといわれる金額の2倍近くが,文字通り“使途不明”です。鳩山首相は再三国会で追及されても,裁判中だと,その使い道を明らかにしていません。元秘書が追及を受け,法廷で明らかにされているのはあくまでも「氷山の一角」です。鳩山氏に近い議員へ裏金としてわたっていたというマスメディアの報道もあります。そうした疑惑を含め,政治資金をめぐる疑惑に全面的に答えるのは鳩山氏の責任であり,たとえ裁判は結審してもあいまいにすますわけにはいきません。発足以来半年あまりを過ぎた鳩山政権への支持率が急落している大きな原因が,鳩山氏や小沢一郎民主党幹事長の政治資金への疑惑と不信にあるのは明らかです。政治資金をめぐり疑惑をもたれた政治家が自ら答えるのは政治の大原則です。自浄能力を発揮できない政治家や政党は国民の支持を失います。鳩山首相はこの事態に,厳しく向き合うべきです。
Apr 1, 2010
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日本,中国,韓国の3ヶ国による首脳会議が12月13日開かれました。 3ヶ国首脳会議はこれまで東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3ヶ国との首脳会議(ASEANプラス3)の際に開かれてきましたが,今回初めて単独で開かれたものです。 開催国を変えて毎年開くことも決まりました。 一方,ASEANは12月15日にインドネシアで外相会議を開き,「ASEAN憲章」の発効を宣言します。 日中韓とASEANそれぞれの協力拡大の動きがあいまって,東アジア全体での平和をめざす地域協力を前進させる努力が望まれます。 アメリカ発の世界的な金融・経済危機が広がる中,今回の首脳会議では,韓国のウォン安をはじめとして経済問題が中心的に取り上げられ,日中韓の通貨スワップ(交換)を拡大することなどが合意されました。 同時に,3ヶ国首脳は「未来志向で包括的な協力を探求する」ことを表明し,政治,地域協力,文化,環境など広範な分野での交流拡大を確認しました。 日中韓3ヶ国の協力関係を発展させることは北東アジアの平和にとって不可欠です。 3ヶ国には共通する課題も多く,互いの協力を拡大する必要があります。その枠組みとして,3ヶ国首脳会議が単独で定期的に開かれることになったのは当然の流れです。 こうした協力関係の拡大にとって,これまで日本政府の政策が障害をもたらしたことを直視し,その転換をはかることが求められています。 そのひとつは,日本が過去の侵略戦争を真剣に反省し,二度と戦争を起こさないことを対外政策の基本にすえることです。 1999年以来,「ASEANプラス3」の機会に開かれていた日中韓3ヶ国首脳会議は2005年,小泉純一郎首相(当時)が靖国神社への参拝を強行したことで中断に追い込まれました。 今回の3ヶ国首脳会議は「未来志向」をうたい,歴史認識を問うことはありませんでした。 しかし,麻生太郎首相自身も「靖国」派政治家の一人として,特異な歴史観を披歴したことが首相就任以前にはたびたびあります。過去の侵略戦争への反省なくして,3ヶ国の協力を前進させることはできません。 日中韓3ヶ国がASEANとの関係をそれぞれ拡大する中で,日本はアメリカとの同盟関係を基軸として対ASEAN関係の拡大を主導する姿勢をとり,他の国々に懸念を与えてきました。 アジアにおけるアメリカの利益を擁護する姿勢をとり,アジアでの自主的な経済的,政治的共同の動きを妨げてきたのです。 アメリカがアジアでの自主的な取り組みを妨害したことは,1990年代後半に起きたアジア通貨危機にあたっての動きを通じても周知の事実です。 この間の世界的な金融危機は,経済面でもアメリカの一国支配が崩壊に向かっていることを浮き彫りにしています。 日本は世界の経済的,政治的な構造的変化を踏まえて,旧態依然とした政策を転換し,東アジアの自主的な平和の地域共同体づくりに貢献すべきです。
Dec 14, 2008
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麻生太郎首相が臨時の記者会見で追加景気対策「生活防衛のための緊急対策」を発表しました。 緊急対策は,大銀行を応援するために公的資金の投入枠を10兆円追加,悪評の定額給付金,設備投資減税,住宅ローン減税など,発表済みの対策の寄せ集めです。 首相はルール違反の期間・派遣社員切りをやめさせる踏み込んだ対策も,大銀行が先頭に立つ中小企業への貸し渋りを厳しく是正する姿勢も示しませんでした。 社会保障削減の見直しは,「ぎりぎりまで努力してもらいたい」と“希望”を述べただけです。 「3年後に消費税引き上げをお願いしたいと過日申し上げた。この立場は全く変わっていない」 年の瀬に不安を強める国民が切実に求めている雇用や中小企業の資金繰り,暮らしの対策は,政治の責任で一刻も早く実行する必要があります。 ところが,国民の願いに応える中身もないのに臨時の記者会見まで開き,首相がもっとも力を込めてアピールしたのは消費税増税の決意です。 与党税制大綱も数年後の消費税増税を盛り込んでいます。 麻生首相は「100年に1度の金融危機」の「大津波」で,「経済の悪化は予想を超えるものとなっている」と述べています。 生活防衛や内需拡大を強調しながら,暮らしと家計を痛めつけて内需に冷水を浴びせる消費税増税を打ち出すのは支離滅裂です。 消費税増税が,どれほど家計と内需に打撃を与えるかは,税率を3%から5%に引き上げて不況に転落した1997年の経験で明らかです。 麻生首相も「5%に上げたときは(景気悪化で)逆に税収が落ちた」と認めています(参議院財政金融委員会,12月11日)。 首相は「景気が軌道に乗ったとき」が増税のタイミングだと述べています。しかし1997年4月の増税は,バブル崩壊後の不況から実質2.9%成長まで回復したところで実行されました。 政府も月例経済報告で「景気は回復の動きを続けている」(1997年3月)としていました。にもかかわらず,消費税増税で家計消費・内需が一気に冷え込み,1997年度,1998年度と連続でマイナス成長に陥りました。 これは政府統計がはっきり示している事実であり,政府にも否定しようがありません。 それでも消費税増税を強行しようという経済財政諮問会議の議論は,ひどい混迷状態です。 1997年の増税は「景気がほぼピークに近いところ」,つまり景気が落ちる直前だったから失敗したので,今度は「成長率が加速している局面で」増税すべきだというのです。 1997年4月の増税前が「景気のピーク」になったのは,上昇していた景気が消費税増税という巨大なハンマーでガツンとたたき落とされた結果にすぎません。 規模がいくら大きくても,国民の深刻な被害に真剣に手を差し伸べようとしない「対策」では役に立ちません。その上,麻生内閣の消費税増税の“決意表明”です。 国民の不安をますます強める消費税増税は断念すべきです。 年間5兆円の軍事費,年間7兆円の大企業・大資産家向け優遇税制にメスを入れ,これ以上庶民に負担を押し付けずに財源を生み出す道に踏み出すことが何よりも求められます。
Dec 13, 2008
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参議院財政金融委員会で可決された新金融機能強化法修正案は,10兆円規模の公的資金を金融機関に投入し,最終損失は国民の税金で穴埋めするものです。 深刻な景気悪化で国民が塗炭の苦しみに見舞われるなか,バクチのような投機に明け暮れた金融機関の救済を最優先で行うことに一片の道理もありません。 年の瀬に向けて実体経済は,急速に悪化しています。 「派遣切り」などで失業する非正規労働者は,厚生労働省の調査でさえ30,000人を超え,大企業の正社員の解雇も急激に広がっています。また民間調査機関の東京商工リサーチが12月8日に発表した全国企業倒産状況では,今年の上場企業倒産は戦後最多を更新しました。 今ほど,政治の姿勢と責任が厳しく問われる時はありません。 ところが,麻生太郎首相は「貸し渋り,貸しはがしが雇用の問題につながっていく。早急に金融強化法案を成立させていただきたい」(12月5日の衆議院予算委)と述べ,何よりも金融機関の救済に固執しました。 一方,民主党も「郵政民営化凍結法案とセットでないと採決に応じられない」と実質審議を回避し,政局をめぐる駆け引きの道具にしてきました。 そのため参議院での実質審議はわずか16時間余。 悪化する中小企業の資金繰りをめぐる議論もほとんど行われませんでした。民主党のこうした態度の背景には,同党が公的資金投入に異論はなく,大本で法案に賛成していることがあります。 鳩山由紀夫幹事長は「(金融強化法案の)改正案自体は必要だと考えている。採決をいたずらに引き延ばすつもりはない」(NHK,11月30日)と公言しました。 不動産などの投機にのめりこんだ金融機関の責任を厳しく問うどころか,投機的運用で生まれた巨額の損失のツケを国民の税金で救済する道理はありません。 とくに,農林中央金庫は総資産61兆円のうち,リスクの高い有価証券などの資産運用が60%を占めたため,多額の損失を出しています。 また,公的資金の投入が「資産運用で失敗しても,損失は税金で救ってくれる」という金融機関の体質をつくり,さらに投機にのめりこませることになります。 また銀行業界が,この12年間で84兆円も中小企業への貸し出しを減少させており,公的資金の投入を受けた金融機関が中小企業貸し出しを増やしていないことを浮き彫りになっています。 麻生首相が「中小企業の資金繰りも12月,1月に窮することはない」(11月27日)などと楽観論をふりまいている間にも,中小企業の資金繰りは悪化の一途をたどっています。 東京商工リサーチ調査では,企業倒産の原因で「運転資金の欠乏」(前年同月比37.2%増)が著しく増加しています。 政府が「中小企業融資の円滑化」を本気でいうのであれば,金融機関への指導の抜本的強化や,中小企業への信用保証を部分保証から100%保証に戻すなど,実効ある対策が何よりも不可欠です。
Dec 12, 2008
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御手洗冨士夫日本経団連会長(キヤノン会長)は12月9日の記者会見で,最近の目に余る大企業の派遣労働者,期間労働者などの解雇について,経営者にとっても「苦渋の選択」などと述べました。 これまで6年間も増収増益を続け,来年3月期決算でも,利益幅こそ少し減るとはいえ,まだ巨額な利益予想をしているのに,なにが「苦渋の選択」でしょうか。 この師走の寒風のなか,職場を失い,寮からも追い出されたならば,いったいどうやって年を越せばよいのか。 「苦渋の選択」などという空々しい物言いを聞くと,日本の財界は「大企業の社会的責任」をいったいどう考えているのか,と問いたくなります。 日本の大企業が史上最高の利益を謳歌してきた2003年3月期から今年3月期までの大企業(資本金10億円以上)の経常利益を集計すると,実に160兆円にも上ります。 ちょうどこの時期,まさに“大企業の繁栄”と表裏の関係で,“ワーキングプア”という言葉が広がったのは偶然ではありません。 “大企業の繁栄”を,そのもっとも下積みの部分で支えてきたのは,劣悪な労働条件に耐えて,昼夜を問わず働いてきた,幾百万の派遣・期間などの非正規労働者にほかなりません。 その派遣・期間労働者を解雇することは,ワーキングプアの“ワーキング”さえ,奪ってしまうことになります。 試算してみると,トヨタが解雇を発表した3,000人の解雇をしないためには年間90億円,トヨタの創業者豊田家2人の株式配当(22億円)の約4年分,今期のトヨタの営業利益(連結予想)6,000億円のうちのわずかに1.5%を吐き出せばよいのです。 また,御手洗冨士夫会長のキヤノン関連の1,700人の雇用維持のためには,同社がため込んでいる剰余金3兆3,000億円のわずかに0.1%を回せばすむのです。 世界経済の趨勢は,今回の金融危機を契機に大きく変わろうとしています。 経営の目標を目先の利益におくアメリカ流の株式資本主義への反省は,財界サイドからもあがりはじめています。たとえば武藤敏郎大和総研理事長は,こう述べています。 「日本はこれまで,アメリカを模範にやってきた」「しかしいま,お手本だったアメリカ自体が変わろうとしている。日本も,アメリカに追随するだけの政策は変更を余儀なくされると思うが,まだギアチェンジができていない」。「欧州のように,公的部門が雇用や社会保障でそこそこ力を発揮するモデルに収斂していくような気がする」(「朝日」11月7日)。 ここで武藤敏郎氏は,雇用や社会保障の公的な責任にしかふれていませんが,欧州モデルの基本的特徴は,雇用や社会保障にたいする「企業の社会的責任」を明確にしていることです。 派遣や期間労働者を切り捨てていくリストラは,短期的には企業利潤を増大させる効果があるかもしれません。しかしそれは,長期的にみれば,日本の労働力の供給条件そのものを掘り崩して,将来の労働生産性の低下,経済成長の低迷をもたらします。 目先の利益ばかり優先させる経営のあり方は,日本企業の発展のためにもなりません。 財界は,盛んに「少子高齢化による将来の労働力不足」を強調しますが,そうであればなおさら,企業の発展のためにも,労働力の維持・育成を経営戦略の基本にすえて,経営の厳しいときにも,歯を食いしばって雇用維持を最優先にすることが必要でしょう。 FRB(米連邦準備制度理事会)のグリーンスパン前議長は,その回顧録『波乱の時代』のペーパーバック版に新たに追加した「エピローグ」(今年6月執筆)のなかで,アメリカの経営者たちが“バブル的繁栄”の「ユーフォリア」におちいっていたので,金融危機を防ぐことができなかったなどと弁解しています。 ユーフォリアとは,景気循環の繁栄局面の頂点で,資本が陥る「陶酔境」の局面をさしています。 ユーフォリアに入ると,資本は,自らの繁栄に目がくらんで,現実に累積している矛盾がみえなくなり,長期的な視点を見失ってしまいます。 ちょうど2年ほど前の本欄でも,財界の長期的な政策提言「御手洗ビジョン」をとりあげて,史上最高の利益が続くにつれ,日本の財界・大企業の経営者は,一種のユーフォリア状態におちいっている,労働者・国民の労働実態や生活実態の苦しみがまったく見えなくなっていると指摘したことがあります。 「ユーフォリアに落ち込んだ資本は,決して自ら目覚めることはありません」,「歪んだ現実認識を変えさせることができるのは,労働者と国民のたたかいしかありません」 すでにお知らせしたように,いすゞ自動車では,解雇通告を受けた期間・派遣社員が立ち上がり,解雇撤回・正社員化を求めて,労働組合を結成しました。 この勇気ある行動は,全国の非正規労働者を大きく励まし,たたかいが広がっています。 日本の財界・大企業の経営者よ,いいかげんユーフォリアから目を覚ませ。現実を直視して,日本の将来を見据えた経営をおこなえ。これは,国民の切実な声です。
Dec 11, 2008
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世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)で,農業交渉の大枠のたたき台となる議長案(第四次案)が発表されました。 同案は日本にいっそうの市場開放を要求し,日本農業の壊滅につながるもので,農業者と国民に危機感を与えています。 7月に決裂した交渉は農産品でも非農産品でも依然として根強い対立を抱えたままで,今回も閣僚会合の日程さえすんなり決まらない状況です。 無理を承知で市場開放を各国に押し付けるWTO事務局のやり方には根本的な反省が求められています。政府は議長案を拒否するとともに,公正な貿易ルールづくりに尽力すべきです。 議長案は,関税大幅引き下げから除外できる「重要品目」の数を全品目(1,332品目)の「原則4%」としています。「8%」との日本の主張からかけ離れたもので,乳製品や砂糖,コンニャクも関税が大幅に引き下げられ,壊滅的な打撃を受けます。 「6%」まで認める場合,低関税での輸入量を増やす代償措置を求めています。 日本のミニマムアクセス(MA=最低輸入機会)米の輸入量は現行の年約77万トンから114万トン超に増えます。唯一自給が可能なコメ生産が受ける打撃ははかりしれません。 日本の食料自給率は40%と先進国中最低です。 食の安全をめぐる問題などを通じて,自給率を抜本的に引き上げる必要があるという点で国民的な合意があります。政府も最近,自給率50%以上をめざすことを表明しました。 政府には日本農業を破壊する提案を断固拒否する責任があります。 ドーハ・ラウンドの交渉は,立ち上げ時にも枠組み設定にあたっても決裂や中断を重ねてきました。新自由主義的な貿易自由化路線が各国で貧困を拡大し,公正で秩序ある経済発展を妨げてきたからです。 昨年来,世界的な投機が食料の異常な高騰を招き,途上国をはじめ世界の人びとの生活を脅かしています。 国連食糧農業機関(FAO)は12月9日,食料価格の高騰で世界の飢餓人口が今年は4,000万人増加し,9億6,300万人に達したと警鐘を鳴らしています。食料生産を他国まかせにすることは許されず,各国が農業生産を高めることこそが求められています。 WTO事務局はアメリカ発の金融危機を貿易自由化に弾みをつけるテコに使い,7月に決裂したばかりの交渉を復活させようとしています。 しかし,いまやるべきはWTO協定による市場原理主義がもたらした事態を検証し,抜本的に見直すことであって,妥結を急ぐことではありません。 政府が工業品の輸出拡大を優先させて農産物の市場開放要求に応じてきたことが,自給率の異常な低さをもたらしました。今のラウンドでも日本だけが自動車産業の関税撤廃を求めるなど,輸出優先の姿勢は変わっていません。 政府の姿勢はこの点でも厳しい批判を受けています。 内需をないがしろにした輸出頼みの経済がもつ脆さが,世界的な金融危機のなかで日々明らかになっているからです。 日本農業を強化し,自給率を抜本的に向上させることは,内需を基礎にした経済への転換にとって柱のひとつです。
Dec 10, 2008
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防衛省は12月9日までに,在日米軍の再編経費として2009年度予算案に約1,000億円を計上するよう要求する方針を決め,財務省と事前調整に入りました。 2008年度予算(191億円)の約5倍で,防衛省は軍事費(防衛関係費)とは「別枠」として扱うよう求めています。 約1,000億円のうち約400億-500億円は,在沖縄米海兵隊の移転を口実にした,グアムでの司令部棟や隊舎の建設費などです。2008年度予算では調査費(約4億円)が計上されていますが,建設費の計上を要求したのは初めてです。 アメリカ領の軍事基地建設費を外国政府が負担する例は過去にありません。 このほか『普天間基地(沖縄県)に代わるキャンプ・シュワブ沿岸部(同)での新基地建設費』,『厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)への空母艦載機部隊の移転費』にそれぞれ数百億円の計上を要求。 再編計画への協力の度合いに応じて自治体に支給する「再編交付金」は約100億円(2008年度予算は62億円)を求めます。 2009年度から土地造成工事などが本格化することから,巨額の費用計上を求めることになりました。 在日米軍再編を担当した米国防総省幹部は再編経費の総額が3兆円に上ると明言しています。防衛省は今後も巨額の再編経費を計上し続けなければならないことから通常の軍事費とは「別枠」扱いにすることを要求。 これに対し財務省は難色を示しているとされます。 それにしても,不景気,財源不足で消費税増税と騒いでいる割には,1,000億円もの税金でアメリカのために基地を造って差し上げようというのだから防衛省・日本政府は太っ腹です。 自国民が失業や貧困で苦しんでいるのに,日本政府は他国の戦争の拠点である基地を造ってあげようというのだから,アメリカ政府としては「日米同盟が大事」というのは当たり前です。 しかし「沖縄県民の負担軽減」と言っていたのに,麻生首相は「安全保障のため」と本音を言ってしまう始末...。でも国民あっての政治であり,国民あっての安全保障ではないのでしょうか。 安全保障よりも仕事をくれという非正規雇用の方々の想いを国はどのように受け留めているのでしょうか。
Dec 9, 2008
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日本が朝鮮半島や中国への侵略戦争に続いて,1941年12月8日マレー半島やハワイを攻撃,アメリカやイギリスなどを相手にいわゆる「太平洋戦争」を始めてから67周年を迎えました。 一連の戦争でアジア諸国民と日本国民に甚大な被害を与えた侵略戦争と植民地支配の罪悪は消えてなくなりはしません。 それどころか小泉純一郎元首相の靖国神社参拝や最近の田母神俊雄前空幕長の言動など戦争を肯定し美化する動きがあとを絶ちません。侵略の誤りを問い続けることは,日本がその反省を生かし世界平和の前進に役割を果たすうえで不可欠です。 1931年に日本が中国東北部で引き起こした「満州事変」とその後の日中全面戦争,さらには「太平洋戦争」まで,15年間にわたった日本の戦争で,アジア・太平洋の国々では2,000万人以上が犠牲になりました。 台湾や朝鮮半島ではそれ以前から日本が植民地化を進め,日本式の名前を強制し,無理やり日本に連行するなど,民族の尊厳を踏みにじってきました。 小泉首相の「靖国」参拝をほめたたえた「靖国」派の人びとや田母神前空幕長は,日本の戦争は「自衛」のため,「アジア解放」のためだったとか,日本が侵略国家だったというのは「濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)」だといいます。 しかし,朝鮮半島や中国はもちろんアジア各地への日本の侵略が,領土と権益の拡大を狙ったものだったことは明らかです。 「太平洋戦争」開戦の1年以上前に当時の政府と軍部できめた方針には,中国はもちろん東南アジアから太平洋の島々,インドやオーストラリアまでを,日本の「生存圏」として支配する意向が書き込まれていたのは有名です。 「自衛」などという口実は一切通用しません。 日本は敗戦後,日本の戦争犯罪を追及した東京裁判を受け入れ,憲法前文に「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」ことを明記して再出発しました。 過去の戦争を肯定し美化することは,こうした反省を反故(ほご)にし国際社会と国民への約束を踏みにじることにもなります。 戦争を放棄した日本が,戦後もアメリカとの軍事同盟にしばられて戦争支援を求められ,政府がそれに応えてきたのは,こうした原点に背くものです。 それでも戦後の日本が少なくとも自ら戦争を起こすことはなく,一人の戦死者も出さなかったことは,国際的にも高い評価を得てきました。日本が選んだ戦後の再出発が正しかったことを浮き彫りにしています。 今年は東京裁判から60年目になります。「靖国」派は,この東京裁判さえ「勝者の裁き」の一言で葬り去ろうとしますが,国際的に通用するものではありません。 東京裁判では裁かれなかった「強制連行」や日本軍「慰安婦」などの問題での謝罪や補償,名誉回復を含め,日本が侵略戦争への反省を誠実に貫くことこそ重要です。 日本が世界に先駆け推し進めてきた戦争放棄の流れはいま世界に広がっています。戦争を肯定する逆流を許さず日本と世界の平和のため力を尽くすことが何よりも重要です。
Dec 8, 2008
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中南米22ヶ国が参加する「リオ・グループ」がキューバの加盟を承認しました。 「(同グループは)より豊かで,強化された」と議長国のメキシコ外相は述べています。中南米諸国は自立した地域づくりを進める中,アメリカによるキューバ孤立化の押し付けを拒否し,アメリカに中南米との道理ある対等な関係の構築を迫っています。 アメリカで来年1月に発足するオバマ次期政権は世界とどんな関係を築くのか。それをみるうえで,アメリカが「裏庭」とみなしてきた中南米との関係見直しは大きな意味をもっています。 対キューバ関係がその課題のひとつです。 キューバは来年1月1日,革命から50周年を迎えます。 歴代アメリカ政権は一貫してキューバを敵視し,キューバの体制転覆を企ててきました。意にそぐわない政権を認めないアメリカ政策は,キューバの民族自決権を踏みにじる内政干渉であり,国連憲章に反したものです。 いまなお干渉の最大の道具となっているのがキューバへの経済封鎖です。 アメリカ議会が1996年に制定した「ヘルムズ・バートン法」はあらゆる禁輸措置を法制化し,強化しました。欧州諸国など第三国にも禁輸を強制し,国際法違反と批判されてきました。 正式名称(「キューバ自由民主連帯法」)が示すように,キューバの「体制転換」を目的に掲げています。 ブッシュ政権は8年の任期中貿易や渡航,送金の制限などの措置を強化してきました。アメリカ政府内に「自由キューバ支援委員会」を設置し,「キューバの体制転換を急がせる」措置を推進しました。 ブッシュ大統領自身,「アメリカが実施している(対キューバ)政策のすべてはキューバ国民に表現の自由の機会を与えるためのものだ」と公言してきました。 しかし,こうした路線によって国際的に孤立化したのは,キューバではなくアメリカの方でした。国連総会が17年間連続で対キューバ経済封鎖の解除を求める決議を採択していることがそれを示しています。 今年は決議賛成が185ヶ国と過去最多になりました。 対米自立化を強めてきた中南米諸国はキューバとの関係を緊密化し,キューバを国際社会の一員として全面的に迎え入れることが域内の平和構築に重要だとみています。 アメリカが影響力を行使してきた米州機構(OAS)へのキューバ復帰を求め,オバマ次期政権に経済封鎖の解除を求める声を強めています。 欧州連合(EU)も2003年以来の対キューバ経済制裁を解除し,関係正常化へと動いています。関係の見直しを求める声はアメリカ国内でも上がっています。 アメリカ・ブルッキングス研究所の報告は渡航や送金の自由化,「テロ支援国」指定の解除,外交接触の強化,国際機関へのキューバ加盟に反対しない,などを提案しました。 キューバに「体制転換」を求めながらも,封鎖が国際関係の悪化をもたらす中,従来の強硬路線を転換せざるをえないとの判断にたつものです。 アメリカには,中南米はもちろん世界各国と主権の尊重や平等互恵を基礎にした新たな関係を築くことが求められています。 対キューバ経済封鎖をどうするのかがオバマ次期政権に問われています。
Dec 7, 2008
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日本の保育制度の改悪を狙う政府内の動きが大詰めを迎えています。 「これが通れば全国20,000ヶ所の保育所は騒然となる」(全国保育協議会副会長)との懸念の声もあがる,その中身とは。 制度改悪の論議を進めているのは,厚生労働省の社会保障審議会少子化対策特別部会(大日向雅美部会長)です。今月中旬にも結論を出すとして,議論のペースを上げています。 いまの保育制度では,国の最低基準を満たす認可保育所(公立・私立)への入所を希望する人は市町村に申し込み,市町村が優先度の高い順に入所を決定しています。 児童福祉法第二四条の市町村の保育実施義務に基づく仕組みです。 保育料は,同一市町村内の認可園では公立・私立とも同額。収入に応じて払う応能負担です。この制度のもと,日本の保育は大きく発展し,地域に根付いてきました。 特別部会は,これを根本から変え,利用者と事業者が直接契約を結ぶ方式を導入する方向で結論を出そうとしています。 具体的には,『市町村が保育の必要度を認定』,『保護者は指定された事業者の中から保育所を選び,入所を申し込んで,サービス内容や保育料についての契約を結ぶ』,『料金はサービスに応じた応益負担』,『市町村は,定員以上の申し込みがあった場合の調整など限定的に関与するだけ』といった仕組みになる案などが議論されています。 直接契約になれば,保育は国や市町村が国民・住民に保障する「福祉」ではなくなります。保護者は,商品を買うように保育サービスを買わなければなりません。 保育の「市場化」を拡大するものです。 特別部会の議論で目立つのは,市町村の保育実施義務を基礎とした現行の制度への攻撃です。 「保育所に意見を言っても『市の決定だから』と言われ,一対一の向かい合った会話ができない」,「市町村に保育所をどんどんつくる責任を持たせても現実的ではない」など,“市町村が責任を持つ仕組みでは,多様な保育ニーズへの対応も,スピード感を持った供給量の拡大もできない”という主張です。 しかし,国や市町村の公的責任を後退させることは,保育の安心感を崩すものです。 保育所を増やすことが急がれることは確かですが,そのためには,国や市町村の保育の実施責任を明確にし,整備計画を立て,財源をつけることこそが必要です。 保育の「市場化」が加速されれば,劣悪な事業者の参入を防げず,質が低下する恐れがあります。企業立の保育所ハッピースマイルが,親会社の倒産で一斉閉園した事件も起きたばかりです。 特別部会では,そうしたことを防ぐための「質の担保・指導監督」も論点として示されましたが,詰めた議論はされていません。 むしろ,委員からは「保育サービスを受けられていない人がいる中で,受けている人たちの質を下げるなというのは,公平性の確保の点で,議論として通らない」などの露骨な発言も出ています。 これに対し,反対の声が大きく広がっています。「現行保育制度の堅持・拡充を求める」国会請願署名は,2006年以降,3年連続で衆参両院で採択されています。 11月24四日には東京・日比谷野外音楽堂での全国大集会が2,800人の参加で成功。全国保育団体連絡会が9月から取り組んでいる5,000,000署名は,11月26日現在で1,500,000人分を超えています。 全国保育協議会,日本保育協会,全国私立保育園連盟の保育三団体も,「直接契約導入反対」の態度を鮮明にしています。 これらの声を押し切って制度改悪に踏み切るのか,特別部会の姿勢が問われます。
Dec 6, 2008
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34年ぶりに53万人の就業者減となった12月5日発表の11月のアメリカ雇用統計から,景気後退のなか同国の企業が労働者に犠牲を押し付ける雇用削減をすすめたことが,浮き彫りとなりました。 雇用統計発表のちょうどその日,アメリカ経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは,一面トップで「企業がレイオフを促進」との見出しで,これまでの企業の人員削減の動きを報じました。 同紙は,今年に入ってから10月までに120万人の雇用が失われたと述べ,製紙会社や企業用事務用品メーカーなどのリストラを例示して,「雇用削減は住宅,金融分野を超えて経済の各分野に及んでいる」ことを指摘しました。 11月の雇用統計はこの指摘を裏付けるものとなりました。 昨年来低迷が続いてきた建築関係で82,000人,製造業で85,000人と雇用減少が続いているのに加えて,就業者減は小売り,ビル管理,会計など幅広い分野に及んでいます。 小売り関係では11月は91,000の就業者減でしたが,自動車販売で24,000,衣料品関連で18,000,スポーツ・音楽・書籍など趣味の部門でも11,000と,人減らしは分野を問いません。 銀行証券関連では,11月は20,000人の雇用を削減。 これは9月の13,000人,10月の19,000から増加傾向にあり,金融危機のなかでのリストラがさらに進行していることを示しています。 今年の就業者減は1月以来11ヶ月連続ですが,1月から7月までは50,000~60,000どまりでした。それが8月に八万を超えると,9月は400,000人台,10月300,000人台とケタ違いになりました。 11月はついに1ヶ月で500,000人を超えました。オイルショック直後の1974年以来,34年ぶりのことです。 12月に入ってからも12月2日に電話会社AT&Tが12,000人,さらに12月5日には自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が2,200人の人員削減を発表するなど人減らしの流れはとまりません。 各分野に広がる大幅な雇用削減は企業収益の悪化を労働者にしわ寄せしているものです。これは消費停滞へとつながり,実体経済をいっそう弱体化させています。 ウォール・ストリート・ジャーナル(12月5日付)では,「来年終わりには失業率が8%台に突入する」と予測しており,1年前に景気後退期に入ったアメリカ経済がいっそう悪化することが懸念されています。 今回はアメリカの雇用削減の実態を紹介しましたが,これは新自由主義万能路線で突き進んできたアメリカの経済政策が,アメリカのみならず全世界の実体経済に悪影響を与え,その分野はすべての分野にわたっています。 それをさらに推し進めようとする『構造改革』路線を自民党・公明党はこれまで通り,妄信してやめようとしません。 国民生活を守るためにも,『構造改革』路線をきっぱりとやめ,大企業やアメリカのための政治ではなく『国民のための政治』を取り戻さなくてはいけません。
Dec 5, 2008
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来年は,障害者自立支援法に規定された「3年後の見直し」の年にあたります。 政府も障害者の運動と野党の国会論戦におされ,「法の抜本的見直しを検討する」と言明してきました。矛盾と問題だらけの自立支援法は,部分的な見直しで済ませるのではなく,きっぱり廃止し,障害者の権利を真に保障する新しい総合的な福祉法制度をつくるべきです。 野党国会議員団が毎年実施してきた「影響調査」でも,自立支援法の矛盾は明瞭です。 今年8月の調査では,負担増を理由に福祉サービスの利用を抑制・断念した障害者は205人(在籍者比率3.4%)にのぼり,「行事への参加,外出等が激減した」(北海道・知的通所施設)など,「自立破壊」の深刻な実態が改めて浮き彫りになりました。 施設・事業所の経営も危機的です。 97%の事業所で報酬が減収になり,利用者サービスの後退や賃金カット,非正規・パート化など労働条件の深刻な切り下げを余儀なくされています。「このままでは事業所を閉鎖するしかない」との悲痛な声も寄せられました。 障害者自立支援法は,自民党・公明党連立政権が「構造改革」路線にもとづき社会保障費削減のために強行したものです。国会の法案審議でも,障害者の実態把握もおこなわず,ずさんな制度づくりが大問題になりました。 財政効率優先で人権保障の視点を欠落させたこの法律は廃止し,一から作り直すべきです。 自立支援法は,政府が批准を予定している国連の「障害者権利条約」(今年5月発効)に照らしても,根本的な見直しが求められています。同条約は,障害者にたいして同年齢の市民と同じ権利を差別なく保障することを謳っています。 ところが自立支援法は,障害者が生きていくために必要な最低限の支援を「益」とみなして負担を課すという立場です。障害を「自己責任」とみなし,国の責任を放棄する自立支援法は,条約の趣旨に真っ向から反しています。 障害者自立支援法を廃止するとともに,憲法と「障害者権利条約」の理念にもとづき,すべての障害者の権利を保障する新しい総合的な福祉法制度をつくる必要があります。 新しい法制度のもとで,応益負担の廃止,事業所報酬の改善,障害程度区分認定の根本的見直しなど問題点を解決する政策方向こそ,自立支援法の矛盾と問題点を根本的に解決できる道です。 10月31日,東京・日比谷野外音楽堂に6,500人もの障害者・家族らが参加した集会のスローガンは,「もうやめようよ!障害者自立支援法」でした。政策は障害者・家族の願いとも一致します。
Dec 4, 2008
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機械的な「歳出削減」路線を続けるのか,それとも一時凍結するのか。 「2009年度政府予算編成の基本方針」の決定をめぐって,政府・与党内は大揺れとなりました。 なかでも大問題となったのは,小泉純一郎首相時代の自民党・公明党連立政権が決めた「社会保障費の自然増分を毎年2,200億円削減する」路線を続行することの是非でした。 「骨太方針」で同路線を確認した2002年以降の7年間の社会保障費削減によって,医療や介護などに最低限必要な予算すら確保されず,各地で「医療崩壊」,「介護難民」などの悲惨な事態が作り出されました。 日本医師会など医療団体など多くの国民から,削減方針の撤廃要求が出されていたにもかかわらず,政府は,11月末の経済財政諮問会議でも,2009年度の予算編成で削減路線を「堅持する」案の了承をしていました。 ところが「予算編成の基本方針」の閣議決定を翌日に控えた12月2日になって,自民党内から,いっきに異論が噴出します。 首相を支える立場であるはずの細田博之幹事長が「骨太方針を変えて,向こう3年間は景気回復にあてるべきだ」と政府方針の凍結を公言。最高決定機関の総務会として凍結を求める異例の事態となったのでした。 背景にあるのは,「このままでは選挙がたたかえない」という強い危機感です。各種世論調査では,麻生内閣の支持率は急落です。 12月1日の「日経」では10月調査と比べて17ポイントも低下する31%。党内にショックが広がりました。 しかし,社会保障費の削減路線は小泉「構造改革」路線のシンボル的な存在です。 小泉政権以降の歴代政権は「構造改革路線の継承」を掲げてきただけに,「改革」の旗を降ろすわけにもいかず,かといって選挙を目前に雇用や社会保障での国民の切実な声も無視できないというジレンマを抱えています。 路線変更は,党内対立を招くという指摘もあります。 こうしたなかで,凍結を求める動きはトーンダウン。麻生首相は12月2日,削減路線を「堅持する」と明言しました。ただ,12月3日閣議決定された「予算編成の基本方針」では「堅持する」との表現を「維持しつつ」に修正したうえ,「(財政出動を)状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行う」と書き込みました。 削減路線をそのままにして,別枠で雇用対策などを財源で手当するという姑息な手法です。 「2,200億円の削減」については,たばこ税増税による財源を社会保障費の削減幅の縮小にあてる方向が検討されています。 政権の政策の中心である「予算編成の基本方針」をめぐって,政府・政権党が右往左往すること自体,麻生政権が末期的な段階になっていることを露呈しています。 2,200億円削減路線は,2008年度予算でもすでに破たんしています。 当初,国の予算を1,000億円削減した分を大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合などに肩代わり負担させる方針でしたが,この法案は成立が困難な状況になっているためです。 行き詰まっている抑制路線に固執し続けることに,まったく道理はありません。
Dec 3, 2008
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建材用亜鉛メッキ鋼板の価格カルテルの摘発に続いて,シャッター3社が価格カルテルを結んだり,談合を繰り返したりした疑いで,公正取引委員会の立ち入り検査を受けました。 利益のためなら業界ぐるみで不正に手を染める体質が厳しく問われていますが,なかでも鉄鋼業界は再三,カルテルや談合で公取委から行政処分や告発を受けるなど,問題は根深いものがあります。 メッキ鋼板をめぐる価格カルテルを結んでいたとして,独占禁止法違反で公取委が11月11日に告発したのは,新日本製鉄と住友金属工業が出資する「日鉄住金鋼板」,新日鉄が最大株主の「日新製鋼」,「淀川製鋼所」の三社です。 『JFE鋼板』もカルテルに加わりましたが,最初に自主申告し,告発を免れました。 鉄鋼業界の独禁法違反行為は,目に余るものがあります。 今年6月には,土木工事用鋼管杭・鋼矢板のカルテルで新日鉄やJFEスチールなど3社が約20億円の課徴金命令を受けたばかりです。 新日鉄など6社が,203年12月に冷間圧延ステンレス鋼板の価格カルテルで排除勧告を受けて以来,鉄鋼業界のカルテルや談合の摘発は,5件にのぼります。(表参照) ステンレスカルテルでは,2005年3月,日新製鋼約16億円,新日鉄約12億8,000万円など6社で総額約67億7,000万円の課徴金納付命令を受けました。 旧日本道路公団などの鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合では,新日鉄,JFEエンジニアリングなど鉄鋼会社を含む44社が総額129億円の課徴金納付命令を受けています。 さらに東京ガスと大阪ガスが発注する鋼鉄製ガス導管工事をめぐる談合では,昨年末,新日鉄,住友金属など4社が総額7億円強の課徴金納付命令を受けています。 まさに“鉄の団結”といった状況ですが,5月-6月には,業界ぐるみで,鋼材試験データ偽造が発覚しました。これには,新日鉄の子会社「ニッタイ」,JFEスチール,日新製鋼,淀川製鋼所などが含まれています。 毎回,顔を出している新日鉄グループの総帥,三村明夫同社会長は「経済財政諮問会議」(議長=麻生太郎首相)のメンバーです。消費税増税などを議論するより,談合・カルテルを繰り返す業界体質の改善が急務ではないのか。 今回,カルテルが摘発されたメッキ鋼板は,住宅の屋根などに使われるもので,販売にあたって,「1キロあたり10円の値上げ」を合意しているように,板金店などの零細企業や消費者に負担を押し付けることになるだけに,検察当局の徹底的な調査解明が求められています。
Dec 2, 2008
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アメリカのブッシュ政権が内外の世論を無視して強行したふたつの戦争が,同政権の退陣と歩調を合わせるように転機を迎えています。 イラクではアメリカ軍の撤退期限を定めた地位協定が承認されました。アフガニスタンでも,対話による和平実現の障害となっている外国軍の活動に批判が強まっています。 イラクの米軍地位協定は,多国籍軍の活動を認めた国連安保理決議が今年末に期限切れとなるのに伴い,米軍駐留を今後3年間認めたものです。 アメリカは撤退期限の明示に反対しましたが,協定はイラク側の主張を入れ,アメリカ軍が2011年末までに完全撤退するとしています。イラクのマリキ政権とアメリカとの交渉は,早期の外国軍撤退と主権回復を求めるイラク国民の世論を背景に進められ,野党議員も協定を国民投票にかけることを条件に多くが賛成に回りました。 国民投票の行方や協定の現実的な効力には不明な点があります。 しかし,イラクを他国への攻撃基地にしないこと,家宅捜索にはイラク側の同意を必要とすることなどを盛り込んだ協定は,外国軍の撤退こそがイラク国民の意思であることを示しています。 一方,アフガンでも,和平を実現するためには武装勢力タリバンとの対話を通じて,政治解決を図るしかないとする主張が強まっています。実際,アフガン政府とタリバンとの間では,対話をめぐる接触がいろいろなチャンネルを通じて行われていることが伝えられています。 カルザイ大統領はさらに,現地を訪問した国連安保理代表団に対し,国際社会がアフガン戦争の「終結時期」を明示するよう求めました。 その背景には,外国軍の活動が和平への深刻な障害になっていることがあります。アメリカ軍・北大西洋条約機構(NATO)軍は「誤射」や「誤爆」で一般市民に多大な犠牲を強いています。アフガン政府の再三にわたる空爆の中止要請も踏みにじられてきました。 アフガンNGO調整事務所のサイード・ラヒーム・サター氏は日本国際ボランティアセンター(JVC)が都内で開いたシンポジウムで,「誤爆」による一般市民への被害を告発し,アフガンでは旧ソ連軍の侵攻以来戦争が30年近く続いており「戦争はもう十分だ」と語りました。 同氏は対話による和平実現の重要性を強調し,日本をはじめ国際社会がその方向でこそ支援するよう訴えました。 ブッシュ政権の8年間が示しているのは,世界規模での「対テロ戦争」という路線はテロ問題を解決できないばかりか,主戦場とされたイラクとアフガンに出口のない戦争をもたらしたという現実です。 アメリカ大統領選で有権者はこの路線を拒否する明確な審判を下しました。オバマ次期政権には,この国民的審判にもとづいた「変化」が求められています。 日本政府は,イラクから航空自衛隊を撤退させる一方で,アフガン空爆を支援する給油活動を継続しようとしています。それは,アフガン国民が進めようとしている和平に逆行する道です。 対話を通じた和平実現への国際支援を求めるサター氏らの声に耳をふさいで,アメリカへの軍事協力に励むことは許されるものではありません。
Dec 1, 2008
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自動車や電機などの大企業が,輸出の落ち込みや景気の後退を理由に,大量解雇を始めたことが大きな社会問題になっています。 大儲けを上げ高い配当を続けていて,今すぐ倒産するわけでもない大企業が,もともと低賃金で身分不安定な派遣労働者や期間労働者を切り捨てるような大量解雇を強行するのは,社会的な役割をかえりみない無法で不当なものです。 しかもそのやり方は,現在の労働法規や裁判所の判例さえ踏みにじる違法なもので,断じてまかり通らせてはならないものです。 大企業が企業の都合だけでいつでも労働者を解雇していいものでないのは明らかです。 短い期間に雇用契約を更新する期間労働者や契約労働者など「期間の定めのある労働契約」については,労働契約法でも,「やむを得ない事由がある場合でなければ」,「契約期間が満了するまで」解雇「できない」と明記(第17条)しています。 不当な「首切り」解雇に反対する労働者のたたかいを背景に,裁判所の判例や労働関係の法律も,整理・解雇への規制を盛り込んできました。 企業が経営上の都合を理由に労働者を解雇する場合,最高裁など多くの裁判所の判例は,(1)人員削減の必要性,(2)解雇回避の努力,(3)人選の合理性,(4)労働者との十分な協議,の4要件を満たさない限り,無効となることが確定しています。 この「4要件」は,労働契約法でも第16条に「客観的に合理的な理由」を欠き「社会通念上相当であると認められない」解雇は「無効」という内容になっています。 こうした法律や判例に照らせば,来年3月期に6,000億円もの利益を見込んでいるトヨタ自動車の大量解雇が,「客観的に合理的な理由」を満たしているといえないことは明らかです。 「解雇回避の努力」や「労働者との協議」も十分尽くされているとはとてもいえません。解雇は無法なだけでなく違法であり,直ちに中止すべきです。 整理・解雇の4要件は,正社員など正規の労働者だけでなく,期間労働者や派遣労働者など,非正規の労働者にも当然適用されるべきものです。 生産を拡大するときは正規労働者を減らし,賃金の安い非正規の労働者を増やして大儲けしておいて,景気が悪くなれば非正規の労働者をいの一番に切り捨てるなどというのは,法律的にも道義的にも許されません。 期間労働者を,契約期間中も含め全員解雇するなどというのは,野党議員がいすゞ自動車にも申し入れたように,明確に法律に違反しており,直ちに撤回すべきものです。 いま働いている労働者だけでなく来年採用が内定していた学生も同じです。採用を内定した段階で,労働契約を結んだものと扱われます。 大企業の違法な採用内定の取り消しは許されません。 もちろん,違法でなければいいというものではありません。 いま重要なのは,大企業に無法・違法な解雇をやめさせ,大企業の横暴勝手をただすとともに,国民の生活と雇用を守ることです。 政府は日本経団連などに雇用対策を「要望」するとしています。「要望」にとどめず,大企業を指導して雇用を守る実効ある措置を取ることが政府の責任です。
Nov 30, 2008
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経済財政諮問会議が11月28日,税制の「抜本改革」の大枠を取りまとめ,政府税制調査会も答申を麻生太郎首相に提出しました。 政府が年内に取りまとめる「中期プログラム」の税制「改革」の骨格が浮かび上がっています。 経済財政諮問会議は,「消費税を軸に」社会保障の財源を確保すると同時に,国際競争力の強化のために「法人実効税率の引下げ」を進めるとしています。 消費税を増税して庶民に負担を押し付け,法人税を減税して大企業に奉仕する自民党・公明党連立政治の本音が,はっきりと示されています。 “消費税増税は社会保障の財源のため”という説明は口実にすぎないことが,あまりにも見え透いた方針です。 麻生太郎首相が財政の「中期プログラム」をつくると表明した記者会見(10月30日)で,唯一具体的にのべた中身は「3年後」の消費税増税だけでした。 「中期」の税制「改革」の方針を固める以上,企業献金の見返りに財界が要求している法人税減税を明記せざるを得ない。本音があらわになるのは時間の問題でした。 何より,経済財政諮問会議で「中期プログラム」の原案をまとめる主要メンバーは,トヨタ自動車や新日鉄の会長です。これでは,オオカミに鶏小屋の番をさせるようなものです。 他方で政府・与党も,貧困と格差の拡大に対する国民の批判を無視できません。 「中期プログラム」に「所得再分配機能の強化」を盛り込む方向です。政府税調は「審議で多くの意見があった」課題として,格差問題を踏まえた税制の「所得再分配のあり方の見直し」を答申に明記しています。 それなら,大企業はすべてを転嫁でき,逆進性が強い消費税の増税に頼るべきではありません。 内閣府の試算によると,現行の消費税率5%では,所得に対する税金と社会保険料の負担率は,かろうじて最低所得層より最高所得層のほうが高くなっています。 しかし,消費税率を10%に引き上げた場合,負担率は逆転して最低所得層のほうが重くなります。 自民党・公明党連立政府が狙っているように消費税率を10%に引き上げるなら,税金と社会保険料の所得再分配機能は,ぼろぼろに崩れます。 麻生太郎内閣は,消費税が「社会保障給付に充てられること」によって,所得再分配が強化されると主張していますが,これは大きなごまかしです。 予算の上では消費税は今でも社会保障に使うことになっています。 「社会保障給付に充てられる」という建前は何も変わらず,消費税を増税すれば所得再分配が弱まるだけです。 形の上では消費税は社会保障に使われることになっていますが,実態は違います。1989年の消費税導入,1997年の増税以降も社会保障は改悪に継ぐ改悪でした。 一方で法人税率は消費税導入前の42%から現在の30%まで一貫して引き下げられてきました。 国民が払った消費税は大企業の減税に費やされたも同然であり,「中期プログラム」によると今後の消費税増税分からも巨額が大企業減税に回ることになります。 「庶民に増税,大企業・大資産家に減税」の逆立ち税制を正すことこそ必要な財源をつくると同時に所得再分配を立て直す道です。
Nov 29, 2008
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政府は11月28日,イラクでアメリカ軍を支援している航空自衛隊の撤収を決めました。浜田靖一防衛相の撤収命令を受けて,航空自衛隊は来月下旬にすべて帰国します。 政府はイラクの治安が「改善した」ことを撤収理由にしていますが,無法な戦争支援に反対する日本国民の声が日増しに大きくなるとともに,国際社会,とりわけイラクとアメリカの国民がアメリカ軍・多国籍軍撤退の要求を強めていることが背景になっているのは否定できません。 イラク戦争支援の誤りは明白です。 政府は無法な戦争支援をいっさいやめるべきです。 政府は少し前まで,航空自衛隊の「任務を継続する」(7月29日,石破茂防衛相=当時)といっていました。 しかし,アメリカ軍・多国籍軍への撤退要求が強まるとともに,外国軍のイラク駐留を根拠づけた国連安保理決議が12月で終了することが確定的になり,アメリカがイラクと取り決めた米軍駐留のための地位協定も自衛隊の駐留継続の根拠にならないため,撤収に追い込まれました。 そもそも「イラク戦争」は,世界の圧倒的多数が開戦に反対していたのに,フセイン政権が大量破壊兵器をもっているとウソをいってアメリカが強行した国連憲章違反の先制攻撃戦争です。 大義も道理もない無法な戦争に,NATO(北大西洋条約機構)加盟国を含む世界の多くの国が戦争協力を拒否してきたのは当然です。 戦争放棄の憲法を踏みにじっていち早く開戦を支持し,イラクから軍隊を撤収させる国が相次ぐなかで最後まで戦争支援を続けた日本政府の態度は,まったく道理が立たず,文字通り醜悪の極みです。 アメリカ軍は無法な戦争で何十万人ものイラク国民の命を奪い,何百万人という難民をつくりだしました。戦争のため人道復興事業も遅れ,イラク国民はいまもって苦しんでいます。 アメリカ軍の蛮行に怒りをつのらせ,イラク国民の圧倒的多数がアメリカ軍・多国籍軍の撤退を強く求めているのは,当たり前です。 このアメリカ軍の非人道的な無差別殺戮を支えているのが日本の戦争支援です。航空自衛隊のアメリカ兵・軍事物資の空輸支援は,アメリカ軍の戦闘力を補充し,無差別攻撃の継続につながっています。 無差別殺戮に手を貸したことに目をつぶるわけにはいきません。 名古屋高裁が自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟で,アメリカ軍への航空自衛隊の空輸支援が憲法にもイラク特措法にも違反するとの判決(確定判決)を言い渡したことも撤収への力となりました。 侵略戦争を美化する論文で更迭された田母神俊雄前空幕長が「そんなの関係ねえ」と言い放ったように,判決を無視し,撤収を拒否してきた政府は,その態度が厳しく問われます。 政府はイラクから航空自衛隊を撤収させる一方で,アフガニスタン「報復戦争」支援の拡大を狙っています。臨時国会を延長してまで,新テロ法延長法案を強行成立させようとしているのはその一歩です。 戦争支援の拡大をめざせば,アメリカが求めるアフガン本土へのヘリ部隊派遣や戦費負担にも道を開くことになるのは,明らかです。 イラクから航空自衛隊を撤退させるだけでなく,あらゆる戦争支援をやめ,政治的・平和的解決のために力を尽くすことこそ重要です。
Nov 28, 2008
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雇用を維持する体力は十分あるのに,大量の「派遣切り」「期間工(期間従業員)切り」なんて,大手自動車メーカーの人減らし計画に怒りが広がっています。 例えば,3,000人の「期間工切り」を計画しているトヨタ自動車は,配当のわずか3円分,創業者の豊田家の2人への配当4年分だけで3,000人の期間工の雇用は維持できます。 大手自動車メーカー7社の公表分だけでも,10月以降の「非正規労働者切り」計画は9,000人を超します。 各社は,「減益」などを口実にしていますが,2008年度の営業利益は,7社合計で1兆7,200億円を見込んでいます。雇用を守る体力は十分にあります。 自動車産業全体でみると大企業(資本金10億円以上)の内部留保は,1987年度の約7.5兆円から2008年9月末の約22兆円に3倍化。労働者の賃金は抑え込む一方,株主への配当は,20年で6倍に急増させました。2008年度も高い水準のまま,推移することが予想されています。 トヨタ自動車の場合,期間工の日給は約10,000円。二交代制の手当を含め年収約300万円(残業代を含めない)です。年間90億円あれば3,000人の雇用を守ることができます。 90億円は株主への2008年度の中間配当総額2,037億円の5%分にもなりません。 トヨタの発行株式数は30億株超です。1株当たり1円の配当で約30億円。たった配当3円分を雇用に回せば,期間工3,000人を減らす必要はありません。 また,豊田章一郎名誉会長と豊田章男副社長だけで1,600万株近く保有しています。トヨタの年間配当が1株当たり140円だった2007年度に,2人だけで22億円を超す配当を手にしたことになります。 その4年分程度があれば,3,000人の雇用は守れます。 トヨタでは,8年間で配当を5倍化。株式保有者の80%がトヨタのグループ企業や信託銀行,生命保険会社など機関投資家です。 儲けを労働者に還元し,雇用を守ることこそ優先すべきです。配当がでるのは労働者あってのことであり,労働者を切り捨ててまで配当を出すのはその企業の企業価値を切り捨てているのも同然です。 株主重視の企業政策も見直す必要があるといわざるを得ません。【参考】配当 株主に対する利益の分配のこと。一般に現金で支払われる現金配当のことを指します。保有する株数に応じて分配されます。企業の利益の変動や経営判断によって金額は変わります。 配当を年2回に分けて行う場合は,半年の段階で支払われる配当のことを中間配当と言います。
Nov 27, 2008
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財政制度等審議会(会長・西室泰三東京証券取引所会長)が,2009年度予算に関する建議(意見書)を取りまとめました。 アメリカの金融投機のバブルが崩壊し,「外需・輸出頼み」の日本経済は深刻な景気悪化に直面しています。 家計を犠牲にして一部の輸出大企業を応援し,バブルで膨らんだアメリカの過剰な消費に依存する,「構造改革」の根本欠陥があらわになっています。 景気悪化から暮らしを守り,内需主導の経済へ体質改善を図ることは来年度予算の大きな課題です。しかし,財政制度等審議会が強調したのは「構造改革」への固執です。 意見書は小泉内閣の「骨太方針」(2006年版)を維持するよう求めています。また,政府・与党が年末に決める「中期プログラム」で,消費税増税を意味する「安定財源の確保」を明確にするよう要求しました。 2006年版の「骨太方針」は社会保障の自然増を毎年2,200億円も削る一方で,グアム基地建設を含む米軍再編のための3兆円もの出費を“聖域”扱いにしました。 社会保障費の抑制を掲げながら,税制では社会保障の財源を口実にした消費税増税,国際競争力の強化の名目で大企業・大銀行向けの減税を狙っています。内需の要である家計を痛めつけて大企業に奉仕し,アメリカいいなりに軍事費を積み上げる財政運営の方針です。 こんな本末転倒のやり方が,先進国の中でもアメリカと並んで低い水準の社会保障を一段と後退させてきました。 その結果,「医療崩壊」,「介護難民」,「年金空洞化」など,暮らしを支えるはずの社会保障が生活を壊し,切実な不安を生み出しています。 内閣府の調査によると生活不安を感じている人は過去最悪の70%に達しています。 年金改悪や後期高齢者医療制度の導入,定率減税の廃止や高齢者増税など,家計には息もつけないほどの負担増と給付カットです。 ところが,大企業には法人税率引き下げで4兆円,連結納税制度と研究開発減税で1兆円,合わせて年間5兆円の減税です。 1997年の消費税増税など9兆円の負担増以来,低迷が続く家計消費を「構造改革」がしんから冷やし,外需頼みの体質に輪をかけたことは明らかです。 求められているのは「構造改革」と「骨太」路線の抜本転換にほかなりません。 財政制度等審議会は先進国最悪の財政赤字を吹聴しています。しかし,「骨太」路線に固執すれば,不況をいっそう深刻化・長期化させ,税収の落ち込みと「景気対策」の歳出増を招いて,財政赤字も増やす悪循環に陥ります。 国と地方の借金は,1996年にはGDP(国内総生産)の94%でしたが,消費税増税を強行した1997年以降は急上昇し,2005年には170%を突破しました。くらしを痛めつける負担増の数字合わせは完全に破たんしています。 「構造改革」の旗振り役の財界が多数の委員を送り込むような財政制度等審議会の出る幕ではありません。 11月15日のG20(金融サミット)で麻生太郎首相は,世界に向かって「外需依存度の大きな国における自律的な内需主導型成長モデルへの転換」を提案しました。 外需から内需への抜本転換がもっとも必要なのは日本です。麻生太郎首相は自分の言っていることすらわからなくなってしまったのでしょうか。
Nov 26, 2008
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これまで1世紀にわたって世界一の自動車企業として君臨してきたGM(ゼネラル・モーターズ)が,経営破たんの危機に瀕しています。 GMの株価は,1時は1ドル台にまで急落し,トヨタの時価総額の30分の1以下になり,来春には手元の運転資金が枯渇,本社ビル売却まで検討していると伝えられます。 GMの救済それ自体はアメリカの国内問題ですが,同時に,21世紀の産業政策や大企業の経営のあり方,市場と競争政策のあり方にかかわる重要な意味をもっています。 アメリカ議会は今月18日,19日両日に,GM,フォード,クライスラーのビッグ・スリーを救済するための法案をめぐる公聴会を開きました。 GMのワゴナー会長は,経営危機の原因について「販売の急減と金融危機」をあげ,経営戦略の失敗を認めようとしませんでした。 たしかにアメリカの新車販売は,10月には前年比31%減,とくにGMは45%減となり,これはもう一種の“自動車恐慌”ともいえる不振ぶりです。 もともとアメリカの自動車販売は,住宅販売と同様,消費者ローンに深く依拠してきました。そこへガソリン高騰,環境重視による低燃費志向が加わり,急激な信用収縮によって,GMの得意とする大型車の販売に急ブレーキがかかりました。 しかし,GMの経営不振の背景には,短期的な利益を追求し,経営者と株主への利益配分を最優先するアメリカ流経営の行き詰まりがあります。 そのために,欧州や日本,中国,インドなどの新興国も加わった激しい新車開発競争に敗北したのです。 著名な自動車産業アナリストのマリアン・ケラーは,すでに『GM帝国の崩壊』(原著は1989年)のなかで,巨大化したGM経営の病根を指摘しています。 GMの場合,医療保険などの企業負担の債務が経営を圧迫しているともいわれますが,これはアメリカの社会保障制度の不備の影響です。 GMの救済をめぐっては,新たに「救済法」を制定して公的資金の低利融資で経営を立て直すか,既存の「破産法」を適用して再建するか,このどちらかの選択が問われています。 いずれを選んでも,資産の売却,工場閉鎖,労働者への過酷なリストラなどによる「再建計画」を提出するよう求められます。 しかし,それだけでは,とりあえず株主と経営者を救済するだけで,アメリカの自動車産業を真に立て直すことはできないでしょう。 GMが復活するには,21世紀に求められている自動車産業の再生めざして,労働者の雇用や労働条件,地域経済を守りながら,経営のあり方の根本的変革が必要でしょう。 いまのところアメリカ国内の世論は,政府がGMを救済することには,反対論が大勢のようです(注1)。アメリカ議会でも,民主党提案の救済法案にたいして共和党から反対意見が続出し,結論を12月に持ち越しました。 救済法案に反対する共和党の論拠は,国家財政で特定の企業や産業を救済すれば,競争の論理,市場の論理に反するということです。 「新自由主義」の産業政策論からすれば,これは筋の通った主張です。 いま問われていることは,GMが破産した場合のアメリカ経済への深刻な影響と,「新自由主義」の市場任せの産業政策のどちらを選ぶか,その“選択”といえるでしょう。 もしアメリカが自動車産業の救済という産業保護政策を国内で選択するならば,WTO(世界貿易機関)の貿易交渉などで,他国の「保護主義」を批判し,「市場原理主義」を押しつけてきた貿易政策も根本的に見直すことが必要でしょう。 自国は「保護主義」で,他国には「市場原理主義」を強要するというのでは,まったく筋が通らないからです。 いずれにせよ,アメリカの自動車産業を再建するためには,当面の公的資金の支援の問題としてだけでなく,これまでのアメリカの産業・貿易政策のあり方を,より長期的視点から根本的に再検討することが必要でしょう。 世界でいちばん読まれている経済学教科書といわれるJ・E・スティグリッツ教授の『入門経済学』(第2版)では,第1章で「自動車産業と経済学」をとりあげ,「経済学者にとっては,自動車産業は経済学に含まれるほとんどの分野を説明するための出発点の役割を果たす」と述べています(注2)。 GMが開発・発展させたモデルチェンジなどのマーケティング手法,投資収益率などの会計手法,分権化などの組織手法などは,今日にいたるまで,大企業の経営手法の模範として定着してきました。 P・F・ドラッカーがGMを調査して書いた『会社という概念』,A・D・チャンドラーがGMとフォードを比較した『競争の戦略』,GMの経営者だったA・P・スローンの『GMとともに』などは,経営学の古典的著作になっています。 20世紀には,発展する大企業のための「経営学」の素材を提供したGMは,21世紀のいま,没落の淵から再生の道を探る大企業のための「経営学」の素材を提供しているかのようにみえます。(注1)アメリカ民間調査会社ラスムッセンの調査では,救済反対が48%,賛成が35%という(「日経」11月24日付)。(注2)スティグリッツは,2002年の第3版では,第1章を自動車産業でなく,「コンピューターとインターネットの発展」から書き始めている。
Nov 25, 2008
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憲法九条の改悪に反対するという1点で4年前に始まった「九条の会」の3回目の全国交流集会が,11月24日東京都内で開かれました。 運動は点から線,そして面へと年ごとに発展し,草の根の「会」は全国で7,294に広がっています。昨年の交流集会から1年間に,493の「会」が増えたことになります。 交流集会での呼びかけ人のあいさつと各地域・分野の報告には,憲法を学ぶ多彩な取り組みを通して,思想・信条や党派,宗派など,立場の違いを超えて賛同者を広げてきた,草の根の運動への確信がみなぎっていました。 「九条の会」は,作家の大江健三郎氏や評論家の加藤周一氏らの呼びかけで始まった運動です。 今回の交流集会では,全体会と分散会のほかに,アフガニスタン情勢と日本政府の対応についての「特別報告」と「職場九条の会」分科会が設けられました。青年分科会も前回に続いて開かれました。 交流集会を通して語られたのは,青年や保守の人々,首長,経営者,宗教者など各分野への「九条の会」の広がりと,その輪をさらにもう一まわり,二まわり大きくするための工夫や努力です。 各分野の「会」は,それぞれ独自に活動を強めながら,地域の「会」とも協力し合い,相乗効果を発揮していることが紹介されました。 宮城県では今年2月,元白石市長ら県内16人の元市町村長が加わって「九条改憲こそ住民の安全・安心を脅かす。政党政派にとらわれず平和憲法を守る」と,憲法九条を守る首長の会が結成されました。 全国の首長ら約1,800人に「呼びかけ文」を送り,賛同が多数寄せられているというと,会場からどよめきがおきました。 札幌のグリーン九条の会は10月に結成されたばかり。経済の視点から平和を考えると社長3人が世話人になり,“決して先頭に立たない,ついて行く”と始めたユニークな活動が沸かせました。 「職場九条の会」の分科会では,金融や公務,医療,建設などさまざまな職場の活動が報告されました。 北海道の室蘭・鉄鋼九条の会には元社会党市議や新日鉄の管理職らが参加しています。9」の付く日に宣伝や学習などをおこなう「9の日行動」は定着し,毎号戦争体験を掲載して180人を超える会員に届けている会報は,「今度は誰だろう」と待たれています。 建設人九条の会は,映画「釣りバカ日誌」の建設会社社長役の俳優にまで賛同を働きかけています。 全国での「九条の会」の広がりで,全小学校区単位で「会」をつくった自治体も生まれています。 この1年間,露骨に改憲策動を進めた安倍晋三内閣は倒れ,マスメディアの世論調査でも憲法守れの声が改憲派を上回っています。「九条の会」の草の根の運動は,明文改憲や解釈改憲の危険な策動を阻む大きな力となっています。 呼びかけ人の澤地久枝さんは,「『会』に参加する顔ぶれや人数は大きく広がり重層的になった。やたらなことでは崩されないし崩させてもならない」と発言しました。 全国各地に広がった「九条の会」を文字どおり小学校区単位,職場単位につくり,改憲に向けた巻き返しを許さないことが重要です。
Nov 24, 2008
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政府は月例経済報告で景気認識をさらに下向きに修正しました。10月は600億円を超す貿易赤字で,金融危機の震源地・アメリカや欧州だけでなく,アジア,中国向けも減少に転じています。 若者の雇用や家計に犠牲を押し付けて,一部の輸出大企業を応援する外需だのみの経済運営の行き詰まりが,ますます浮き彫りになっています。 いよいよ「外需頼みから内需主導へ」日本経済の抜本的な体質改善を図らないといけない時期に来たと言えるかもしれません。 特に重大なのは,不況がくらしと家計に襲いかかっているときに,大企業が先頭に立って労働者を大量解雇しようとしていることです。 いすゞ自動車は1,400人の派遣・期間従業員を一気に解雇する方針を明らかにしました。契約期間が残っていても雇用を打ち切る横暴極まるやり方です。トヨタ,日産,マツダ,スズキ,キヤノンなども相次いで派遣・期間社員の削減を発表しています。 アメリカ発の金融危機は「濡れ手で粟」の「カジノ資本主義」の破たんです。国民が貧乏くじを引かされるいわれはありません。政府は「カジノ資本主義」の破たんのツケを国民に回すような,大企業の身勝手を許さない断固とした対応を取るべきです。 大銀行が率先して進めている貸し渋り・貸しはがし,大手製造業の下請け単価たたきをやめさせることも急を要します。 銀行に中小企業への貸し出し目標・計画を出させて厳しく監督すること,信用保証制度を全額保証に戻すこと,下請検査官を大幅に増員し立ち入り検査を強化することなど,実効性のある具体策が急がれます。 外需頼みから内需主導へ切り替えるため,雇用の安定と社会保障の拡充,農林漁業と中小企業の応援による地域経済の再生が重要になってきます。 「使い捨て」自由の不安定雇用を蔓延させた規制緩和,社会保障の抑制路線を逆転させ,国民の所得と生活の安心を取り戻すことは内需の安定になによりも不可欠です。 何より,低所得層ほど打撃が大きく,内需に冷水を浴びせる消費税増税に断固反対し,食料品の非課税で家計を応援するとともに,軍事費の浪費にメスを入れ大企業・大資産家向けの7兆円減税を元に戻す財政政策が求められます。 暮らしと営業を守る政策の財源をつくるとともに,崩れた所得再分配の仕組みの再建にもつながるからです。 2期連続減少となった7月-9月のGDP(国内総生産)で家計消費(名目)は291兆円,GDPの57%を占めます。消費を1%増やすだけで貿易赤字の1.8兆円を補って余りがあります。 直面している不況は自民党・公明党連立政府の大企業・大銀行応援や1年限りの迷走する「給付金」では解決できません。 破たんした「カジノ資本主義」に追随する「構造改革」路線は,抜本転換する必要があります。暮らしを守り,外需頼みから内需主導に切り替えて経済危機を打開するため,これまでの経済政策の転換が求められます。
Nov 23, 2008
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クラスター爆弾の「規制」案を議論していた特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW,締約国108ヶ国)の政府専門家会合と締約国会議は,なんの合意も得られないまま,先週閉幕しました。 会議が決裂したのは,アメリカなどの保有国がクラスター爆弾に固執したからです。CCWは来年も議論するといっていますが,非人道兵器のクラスター爆弾の禁止は急務の課題です。 CCWのほかで,ノルウェーなどの有志国連合が作成(5月)し,来月3日オスロ(ノルウェー)で署名式が行われるクラスター爆弾禁止条約を発効させ,広げることが重要です。 有志国連合が作成したクラスター爆弾禁止条約の眼目は,クラスター爆弾の使用,開発,製造,取得,貯蔵,保有をすべて禁止することです(アメリカなどは不参加)。 一部の保有国に押されて「例外」を設けたとはいえ,子弾の数は10個未満,目標識別機能,自己破壊,不活性の装置などの要件をすべて満たすものだけに限っています。 爆弾の大部分をなくすことになります。 しかし,アメリカをはじめとしたクラスター爆弾保有国がCCW政府専門家会合にもちだしたのは,多くの「例外」をつくり,爆弾を事実上野放しにする案です。アメリカの主張にそった議長文書案はそれを示すものです。 日本の外務省でさえ,議長文書案の「例外」がクラスター爆弾禁止条約の「例外」より「ゆるやか」だと認めています。 アメリカのクラスター爆弾に関する新政策の中心は,不発弾として残る割合が1%以内なら認めるというものです。 また2018年まで現存の爆弾の移転も認め,不発なら自分で爆発しないようにする装置をもてば市民の被害を「減らせる」などといっています。 1%以内ならいいという主張は特に重大です。 1つの親爆弾に200個,あるいはそれ以上の子弾を詰め込んだものもあります。その親爆弾を何千個も何万個もおとせば,何万個も何十万個もの子弾がばらまかれます。 その1%なら何百個も何千個にもなります。それを拾い上げたり,踏みつけたりすれば爆発し,いたいけな子どもや働く民間人の多くを殺傷するのです。 保有国の手前勝手な言い分を認めるわけにはいきません。 CCWの場を使って,クラスター爆弾禁止条約の成果を台無しにしようとするアメリカなど保有国の態度に全面禁止を願う諸国が反発したのは,当然です。 保有国はCCWの場を使ってクラスター爆弾を温存させるくわだてをやめ,国際社会がつくりあげたクラスター爆弾禁止条約に歩み寄るべきです。 日本政府の責任はとくに重大です。 クラスター爆弾禁止条約に署名するといいながら,やっていることはクラスター爆弾の温存をはかることばかりです。 CCWの会合でアメリカから,クラスター爆弾の新政策について説明を受けても反対せず,鵜呑みにしました。しかも,現有の爆弾を処分する代わりに,来年度予算の概算要求に73億円を投じて「新型」クラスター爆弾を調達しようとしています。 こうしたこととクラスター爆弾禁止条約に署名することとは両立しません。 日本政府は,禁止条約に署名する以上,新型爆弾の調達計画を中止し,全面禁止のために率先して力をつくすべきです。
Nov 22, 2008
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金融バブル,住宅バブルによって演出されたアメリカの好景気のもとで,アメリカむけ輸出を急増させてきたトヨタや日産など日本の自動車メーカーが,輸出が不振になるといって,いっせいに非正社員の「首切り」計画を発表しています。 これまでトヨタなど自動車メーカーは,非正社員を低賃金で酷使し,大儲けしてきました。 たとえば,トヨタ本体の正社員の平均賃金は830万円です。期間社員は,220万円~250万円です。期間社員は正社員と同じ生産ラインで働いています。 トヨタが期間社員などを大々的に導入したのは2003年からです。2008年までに,トヨタ本体で8,000人から18,000人へと2.2倍以上に増やし,トヨタグループ全体でも,40,000人から87,000人へと,2.1倍以上になっています。 そのなかでトヨタグループは,経常利益を大幅に伸ばしました。 内部留保(隠し利益)は,2003年度の9兆5,000億円から2007年度の13兆9,000億円へと,1.5倍近くも増やしています。非正社員の汗と涙で積み増しした内部留保です。 こんなに内部留保を増やしながら,その最大の“源泉”となってきた期間社員を減益が見込まれるといって,放り出すようなやり方は許されるものではありません。 派遣や期間社員などの非正社員を正社員化すれば,雇用が安定・拡大し,内需を拡大することにつながります。 それは,「内需主導での経済成長」にとって不可欠の課題です。 労働総研の試算では,正社員になりたいと考える派遣社員など363万人の非正社員を正社員化すれば,5兆円近くの消費需要を増やし,GDP(国内総生産)を0.8%押し上げます。 選挙目当ての2兆円のばらまき「定額給付金」のGDP押し上げ効果は0.1%といわれていますから,その8倍もの効果があります。 非正社員の正社員化は,経営者がやる気になればできることです。 段ボールメーカーのレンゴーが1,000人の派遣労働者を正社員化する方針を打ち出しました。 レンゴーの経営指標をみると,経常利益は,100億円,内部留保は1,200億円です。社員(10,000人)1人当たり内部留保は1,200万円です。派遣社員(1,000人)を正社員化することによって,社員1人当たり内部留保は1,100万円に減少します。 レンゴーは,「安定生産継続に向け正社員にすることで要員を確保する」として,「人件費は年間数億円増える見通しだが,士気向上で生産効率向上につなげる」としています。 トヨタの連結子会社レベルで非正社員の正社員化をしても,レンゴーと比較して,経営になんの問題もないことは,経営指標が示しています。 トヨタグループ全体の内部留保は13兆9,000億円です。社員(316,000人)1人当たり内部留保は4,400万円です。レンゴーの4倍近くです。派遣・期間社員など非正社員(87,000人)全員を正社員化しても,社員(403,000人)1人当たり内部留保は3,450万円もあります。 経営が危うくなる危惧はまったくありません。 非正社員の正社員化をはかる財源は,トヨタの例にも見られるように大企業には十分あります。 労働総研の試算では,363万人の非正社員を正社員化するために必要な賃金増加額は,8兆円ですが,大企業の内部留保228兆円の3.5%をはき出せば可能です。 日本の大企業は今こそ,雇用を守る社会的責任をはたすべきです。
Nov 21, 2008
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アメリカ発の金融危機はいよいよ実体経済に波及し,日米欧同時不況の様相を濃くしています。国内でも雇用の削減や消費の低迷が大問題になっています。 ところがそんな時に,自民党,民主党両党が,迷走を続けています。 麻生太郎首相と自民・公明の与党は,選挙の“目玉”として打ち出した「定額給付金」をめぐって迷走し,逆に国民からも総スカンを食って,第二次補正予算案提出のめどさえ立ちません。 一方,民主党は,国会での党首討論を避け続けた小沢一郎代表が,突然,自民に党首会談を持ちかけ,補正予算案を提出しなければ参院での法案の採決には応じないと言い出す始末です。 会期の大幅延長も取りざたされています。国民の暮らしそっちのけの「政局」優先の対応に,マスメディアからも批判が上がっているのは当然です。 麻生内閣は政権を発足させて以来,自民党・公明党連立政権の延命を最優先の党略にしてきました。当初狙った早期解散の目論見が崩れ,「給付金」でも所得制限などをめぐって迷走したあげく,結局は地方に丸投げしました。 臨時国会の会期があと10日ほどになっても,補正予算案を提出するともしないとも確約できません。 これに対し民主党は当初,早期解散のためには反対法案でも審議に協力するという態度を取り,第一次補正予算に賛成,インド洋での自衛隊による給油を延長する法案などの衆院通過にも協力しました。 ところが麻生太郎首相が解散に踏み切らず思惑が破たんすると,今度は突然「対決」を言い出す首尾一貫しない態度です。 政府が補正予算案を提出しなければ給油延長法案の採決に応じないというのは,予算案の中身を問題にしない点でも,関係のない給油延長法案の採決に絡める点でも,二重に道理がありません。 麻生太郎首相は「政局より政策」といい続けてきましたが,自民党と民主党はいずれも「政策より政局」を優先し,「迷走同士のぶつかり合い」を演じているのが今の事態です。 民主党が「政局」を最優先するのも,結局は自民党と基本政策で対決軸を持たない同質・同類の党だからです。 経済政策でも,大企業の利益優先を正す立場はありません。 今回の「カジノ資本主義」の破たんによる経済悪化のツケを国民に押し付ける大企業の雇用の切り捨てや下請け中小企業への圧迫,大銀行による貸し渋り・貸しはがしなどをやめさせることは一刻の猶予もありません。 消費が低迷し,輸出も落ち込んで日本経済はすでにマイナス成長に転落しています。外需頼みから内需主導へ日本経済の抜本的な体質改善も不可欠です。 世界的な金融危機や日本経済の危機について徹底した審議を求めるとともに,雇用,中小企業,農業など国民生活のあらゆる分野で暮らしを守ることが急務になっています。 それができないのであれば,国民の運動・世論で麻生太郎内閣を追い詰めて,解散・総選挙を実現し,国民自身が政治の中身を変えていく道を開くしかありません。
Nov 20, 2008
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さいたま市で元厚生省(現厚生労働省)事務次官の夫婦が殺害されて見つかり,東京・中野区でも元同省次官の妻が刺され大けがを負いました。 警察では2つの事件の関連性も視野に入れ,捜査を進めています。 被害者が元厚生省次官とその家族だからというだけで,厚生官僚を狙った「テロ」とは断定できません。しかし連続殺傷事件には,犯行の手口や2人の元次官がいずれも年金行政に携わっていたなど共通点もあります。 凶行は許されないことであり,「テロ」かどうかを含め徹底した捜査と真実の追及が不可欠です。 厚生労働行政は,いわゆる「消えた」年金記録の問題やお年寄りを差別する後期高齢者医療制度の導入などで国民の批判を浴びてきました。 しかし,行政を批判することと,当時の担当者を暴力で傷つけることとはまったく性格が違う問題です。暴力による「テロ」は言論による正当な批判を無意味にする点でも,絶対に許されないものです。 これまでも政治家や高級官僚,財界人などを狙ったテロ事件が繰り返されてきました。昨年4月には伊藤一長長崎市長が選挙中に銃撃され死亡する最悪の民主主義破壊事件もおきています。 連続殺傷事件を徹底捜査するとともに,再発を防ぐため,無法な暴力の根を絶つことが不可欠です。
Nov 19, 2008
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国内総生産(GDP)が2期連続でマイナスに落ち込みました。 物価上昇が家計を圧迫すると同時に所得が減って消費が増えず,企業の設備投資の減少が続いています。内需が低迷するとともに,低調な輸出が輸入を下回り,貿易が成長率の足を引っ張りました。 与謝野馨経済財政相は記者会見で,「景気の状況はさらに厳しいものとなるリスク(危険)が存在する」と述べています。 財界やマスメディアは大企業の利益が減ると騒いでいますが,景気悪化で最も深刻な被害を受けるのは,内需の大半を占める庶民の家計であり中小零細企業です。 物価上昇や大企業の人減らし・リストラは庶民の家計を直撃し,低所得層ほど生活費に食い込んで暮らしを脅かしています。 トヨタが減益だといっても,まだ6,000億円もの利益を見込んでいます。中小企業は原料が高騰しても価格に転嫁できず,親企業・銀行には締め付けられ,存続そのものが危機にさらされています。 不況は庶民や中小零細企業など弱い立場であればあるほど,より過酷な打撃を与えずにはおきません。景気悪化は経済に極めて逆進性の強い被害を及ぼします。 とりわけ今回の不況では,アメリカ発の金融危機が本格化するはるかに以前から,家計は冷え込み続けてきました。 派遣や請負など不安定な雇用が若者・女性の2人に1人まで広がり,大企業は労働分配率を大きく引き下げています。家計には増税や社会保障の改悪が押し付けられてきました。 中小企業は上からは大企業の下請け単価たたき,下からは国内需要の低迷に挟み撃ちに遭っています。 さらに自民党・公明党連立政府が昨年10月に強行した,中小企業の資金繰りの“命綱”である信用保証制度の改悪によって,早い段階から貸し渋りに苦しめられてきました。 内閣府の調査によると,既に今年6月の時点で,生活不安を感じる人が70%を超えて過去最悪になっています。信用調査会社の帝国データバンクによると,中小企業の倒産件数は3月,7月,10月と最多を更新しています。 こんな状況にもかかわらず,財界をリードする大企業が先頭に立って,派遣や期間社員の大量解雇に動いています。大銀行が率先して中小企業への貸し渋りに走っています。 大企業は最高益を過去5年にわたって連続で更新し,2000年以降に57兆円も内部留保を増やしました。 その一方で派遣や期間社員は正社員の半分以下の賃金で働かされ,貯金さえできず,多くは解雇されれば路頭に迷うしかない若者たちです。 何のための政治か,その根本責任にかけて,これら大企業・大銀行の身勝手を絶対に許してはなりません。 景気悪化から暮らしと営業を守る上で,見過ごせないのは麻生太郎首相が明言した3年後の消費税増税の方針です。 不況の逆進的な影響で最も深刻な被害を受ける庶民と中小企業を,最も逆進性の強い税金の増税によって将来まで痛めつけることになるからです。 庶民の家計と中小企業は内需の主役です。 大企業・大銀行の身勝手を許し,消費税増税に頼る姿勢では外需頼みの脆弱な経済を変えることはできません。
Nov 18, 2008
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発足から1ヶ月半たった麻生太郎内閣の,国民にとって見過ごせない動きのひとつが消費税の増税です。 「3年後には引き上げをお願いしたい」とか,「2年後には法案を出す」とかの首相の発言には,国民の反対にもかかわらず消費税増税を推し進める,恐るべき執念がこめられています。 見過ごせないのは,そうした動きに連動して,巨大な部数を持つ全国紙の論調から消費税増税反対がすっかり姿を消したことです。 例えば,麻生太郎首相が「3年後」の増税を明言した,10月30日の追加経済対策発表にあたっての各紙の社説(主張)がそうです。 「朝日」は「恐れず負担増を語ったのは歓迎」,「読売」は「消費税引き上げの勇断」,「毎日」は「従来になく踏み込んだ」,「日経」は「『言い訳』で終わらせてはならない」,「産経」は「意味は大きい」…。 そろいもそろって歓迎し,増税をけしかける立場です。 その5日後の11月4日,政府の「社会保障国民会議」が消費税の大幅増税を持ちだした際の各紙の論調も同じです。 「朝日」は「社会保障の財源問題に正面から取り組む姿勢を示(した)」と評価し,「読売」も「消費税以外に財源はない」との前提で「議論を提起した」と持ち上げます。 「産経」も「消費税率増の具体案示せ」と前のめりで具体化を迫っています。3日遅れで社説を載せた「毎日」も,増税に肯定的な評価です。 政府と自民党の税制調査会は先週から,消費税の増税を含む中期的な「税制プログラム」の検討を本格化させました。 それについても「読売」は「増減税のメリハリが重要だ」,「日経」は「消費税の将来像を明確に示す時期にきている」と,消費税を含む増税の検討を督促しています。「毎日」も「消費税上げは前提でない」というだけで,増税反対ではありません。 全国にさまざまな立場の多くの読者を持つ全国紙が,そろいもそろって消費税増税を支持するというのは異常です。 少なくとも,消費税増税のように読者・国民の間で意見が分かれる問題については両者の意見をきちんと伝え,消費税以外の財源の選択肢も示して判断材料を提供することが,言論・報道機関としての役割というべきものでしょう。 「朝日」が消費税増税支持を鮮明にしたのは,昨年末から今年初めにかけ「希望社会への提言」のタイトルで連載した社説「消費増税なしに安心は買えぬ」(昨年12月9日付)以来です。 2月には同じシリーズのなかで,年金問題の財源は「税と保険料を合わせて」まかなう考えを打ち出します。 相前後して「読売」は4月に「年金改革 読売新聞社の提言」と題し,消費税を目的税化した「社会保障税」の創設を提案します。「日経」もそれに先立つ1月,社内に設けた「研究会報告」の形で,基礎年金は全額消費税でと提案します。 「読売」の案でも,「日経」の案でも,消費税の税率はいまより5%引き上げて10%にするという大変な負担増です。 いったいこれらの全国紙は,「提言」など文字通り「社論」として,消費税増税を進めるつもりなのか。もちろんだからといって,多様な意見を伝える報道機関としての役割を投げ捨てていいということにはなりません。 麻生太郎首相や全国紙は消費税以外に社会保障の財源はないように言いますが,逆進性が高い消費税は社会保障の財源には不適当で,5兆円に上る軍事費やムダな高速道建設,政党助成金などにメスを入れ,大企業や大資産家向けの行きすぎた減税を正せば,社会保障を含め国民のための財源は十分まかなえます。 アメリカのオバマ次期大統領でさえ,中堅所得層向けの減税は大企業への行きすぎた減税をやめることでまかなうと提案しています。 その気になれば,巨大な組織を持つ日本の全国紙にも,こうした対策はすぐ思い浮かぶはずです。軍事費の増額を要求したアメリカや広告主である大企業に遠慮して,消費税以外の財源対策が言い出せないのだとしたら,言論機関として情けないことです。 大企業はまだまだ大儲けを続ける一方,国民の生活苦は深刻さを増しています。 全国紙もそろそろ,広告主などの縛りから抜け出すときではないでしょうか。
Nov 17, 2008
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世界の20ヶ国・地域(G20)首脳が会したワシントンでの金融サミットが,アメリカ国発の金融危機への対策と危機の再発を防ぐ措置について協議しました。 銀行など金融市場参加者が高い利益を求めてリスクを軽視してきたことが危機につながったと分析し,金融への規制強化に合意しました。 投機の抑制につながり,マネーの暴走がもたらした「カジノ資本主義」の害悪を認めたものです。 あり余るマネーが血眼で行き先を探し,金融だけでなく原油や穀物など人びとの生存にかかわる商品まで投機の餌食になりました。 異常な価格高騰で,途上国では食料を求める人びとの暴動が起き,先進国でも国民を生活苦が襲っています。マネーの暴走は金融危機を引き起こし,中小企業の倒産と失業増など経済の悪化が世界的に進んでいます。 サミットの「宣言」は,「すべての金融市場,商品,参加者が適切に規制され,監督の対象となる」と指摘しています。 サブプライム(低信用層向け)ローンを組み込んだ「毒入り」証券に太鼓判を押した格付け会社,危険を覆い隠すオフバランスなどの会計手法,小さな借り入れで大きな儲けを生み出すレバレッジ手法,巨額の役員報酬などへの規制や検討が課題になります。 投機を煽る要因にメスを入れようとするもので,迅速な実施が求められます。 サミットの成果は,金融機関の活動を市場原理に委ねるとするアメリカ流「新自由主義」の破たんが明らかになり,方向転換が避けられなくなったことの表れです。 昨年のハイリゲンダム(ドイツ)や今年の北海道での主要国(G8)サミットでは,欧州諸国が規制の強化を求めたにもかかわらず,アメリカや日本の反対で実りませんでした。 今回の金融サミットでも,欧州諸国がより強い規制を打ち出したのに対し,アメリカは「自由市場原理」を掲げて抵抗しました。 対立は「宣言」にも反映されています。 ヘッジファンドについて,ファンドが「私的」との理由で規制策を打ち出すにいたりませんでした。それでも,全体として踏み込んだ規制策を示すことに,アメリカも反対できませんでした。 経済危機への対処の枠組みが,中国やインド,ブラジルなどの新興国が発言権をもつG20へと様変わりしたことが反映しています。 国際通貨基金(IMF)や世界銀行は大国中心で途上国の発言権を保障せず,アメリカ流の規制緩和と金融自由化を各国に押し付けてきました。アメリカ発の金融危機はその改革を不可欠にしています。 途上国がIMFなどにより大きな発言権を持つことが確認されたことは,これら国際金融機関の改革につながるものです。 合意は来年3月末までの緊急措置と今後の検討課題も示しており,改革の加速が求められます。 日本は当面の対策には関心を寄せていますが,改革には後ろ向きです。それでも麻生太郎首相が,アメリカ側に立って規制に反対してきた従来の姿勢の修正を迫られたことは明らかです。 新自由主義的な政策が立ち行かなくなったことを直視し,政府は「カジノ資本主義」への追随を抜本的に転換すべきです。
Nov 16, 2008
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政府の宇宙開発戦略本部(本部長・麻生太郎首相)の専門調査会が,宇宙航空研究開発機構(JAXA)を動員した軍事開発研究の推進を検討していることが11月12日,衆議院内閣委員会の質疑で明らかになりました。 JAXAは,日本の宇宙科学研究や開発利用を実施する独立行政法人。JAXA法第4条は,研究開発を「平和の目的に限り」行うと定めています。 戦略本部事務局が11月4日の専門調査会で,今後の人工衛星利用の課題として「防衛利用にかかる今後の研究開発活動において,宇宙機関との連携について検討」するとした問題で,野党議員は「宇宙機関」が何を指すのか質問しました。 丸山剛司・内閣審議官が「主としてJAXA」と説明。 河村建夫官房長官は,宇宙基本法によって日本の宇宙開発は「非軍事」から「非侵略」に拡大したとの政府の立場を述べたうえで,「専守防衛の中で,JAXAのあり方の見直しを検討している」と答えました。 JAXAが軍事利用のための宇宙開発を進めることは,JAXA法に合わないし,憲法九条を踏みにじるものです。 これまで日本の宇宙開発は,1969年の国会決議によって「非軍事」に限定されてきました。月探査機「かぐや」や小惑星探査機「はやぶさ」などによる宇宙科学の成果は人々の夢やロマンをかきたて,国民生活に密着した宇宙利用も進んでいます。 こうした活動を担ってきた宇宙航空研究開発機構(JAXA)を,軍事研究に動員することは言語道断です。 今回の動きは,軍事利用に公然と道を開く狙いで自民党・公明党・民主党の各党が5月に強行した宇宙基本法を具体化したものです。 同法により,宇宙開発戦略本部が宇宙基本計画の策定を進めており,ミサイル防衛のための早期警戒衛星導入など,宇宙軍拡の意図を露骨に示しています。同法には「情報の適切な管理」が盛り込まれています。 JAXAの研究開発に「軍事」を持ち込むことになれば,研究成果が“機密のベール”に包まれ,自由な研究が制約されたり,科学者・技術者が身元調査や思想調査をされたりするのではないかと心配の声もあがっています。
Nov 15, 2008
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今夏の原水爆禁止世界大会から開始された新しい国際署名「核兵器のない世界を-2010年核不拡散条約(NPT)再検討会議にむけて」に共感が広がっています。 2000年のNPT再検討会議で,核兵器廃絶の「明確な約束」に核保有国も合意してから8年。 この実行を妨害してきたブッシュ大統領が内外政策への強い批判にさらされて退場に向かう一方,「核兵器のない世界」を掲げたバラク・オバマ氏が大統領選挙で勝利しました。 今度こそ核兵器廃絶への確かな道を開こう,NPT会議に向けた大きな運動をおこそうとの声が高まっています。 バラク・オバマ氏が「変革(チェンジ)」の目玉として打ち出した政策のひとつも核兵器問題でした。オバマ氏自身も,民主党の政策綱領も,「核兵器のない世界」の追求と,包括的核実験禁止条約の批准など核軍縮の進展を掲げました。 なかでも注目すべき点は,「核兵器のない世界の方がよりアメリカにとって安全であり,核兵器廃絶という目標を核政策の中心にすえる」(政策綱領)と明言したことです。 一方,「核兵器が存在する限り,我々は強力な核抑止力を維持する」とも述べています。 しかし最強の核保有国が,他国の核兵器を理由に核抑止力が必要だとしたら,核兵器廃絶の展望は生まれません。 自らは安全保障を理由に強大な核兵器を持ちつづける一方,核拡散阻止を口実に核使用をも選択肢とする先制攻撃戦略をうちだしイラク戦争を強行するという,いわば最悪の核抑止政策を進めたのがブッシュ政権でした。 この路線からの真の転換を世界が求めていることは,今秋の国連などでの議論をみても明白です。 軍縮・安全保障問題を扱う国連総会第一委員会の討論で新アジェンダ連合の代表は,特定の国の核兵器保有が世界の平和と安全を強化するという見解に同意しない,それは核兵器の使用や新たな核保有の危険を作り出すと批判しました。 潘基文・国連事務総長も講演で,核抑止ドクトリンの危険を指摘し,国連憲章をはじめ政治的な意志の力によって,国際的な平和と安全保障への新たな一歩を踏み出すことをよびかけました。 核抑止・核固執と決別し,まさに“核兵器廃絶を中心にすえる”ことが求められているのです。 日本の原水爆禁止運動の一貫した主張が世界の流れになり,核大国の中枢にも影響を与えています。 核保有国が核兵器廃絶の「明確な約束」の実行を決断し,「核保有国をはじめすべての国の政府がすみやかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し,締結すること」という署名の要求は,この新しい状況にかみあったものです。 この実現の決定的な力は,原水爆禁止世界大会で国連や政府の代表が強調したように,草の根の運動にあります。 NPTのもとで核兵器を持たないことを誓約し,核保有国に核兵器廃絶の約束の実行を求めている圧倒的多数の国の努力と,世界諸国民の運動とが大きく合流してこそ,可能性を現実にすることができます。 NPT会議に向けてのさまざまな努力と連帯し,草の根で支える力として,すでに内外から大きな賛同と期待が寄せられている署名運動の成功が重要です。
Nov 14, 2008
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政府による奨学金制度の見直しをうけ,日本学生支援機構(旧日本育英会)が奨学金の滞納者情報を信用情報機関に通報する仕組みを来年度から導入する方針を決めました。 返還が数カ月遅れると“ブラックリスト”に載せられ,銀行でローンを組んだりクレジットカードの作成が困難になります。 「延滞率の高い大学名の公表」や「回収業者への成功報酬付与」も検討しています。これらは政府が「骨太方針2006」(2006年7月決定)で打ち出した奨学金の「有利子上限(3%)の撤廃」や「回収強化」の具体化です。 奨学事業を金融事業に変質させるものです。 奨学金とは,憲法の「教育を受ける権利」にもとづいて,経済的な理由で学業をあきらめる若者をうまないためのものです。営利を目的に,返済能力のある人だけに融資する金融事業とは,目的も貸し出す対象も全く異なります。 「世界一高い」学費のために,4年間の学生生活には,約900万円が必要です。 一般の家庭にとって過重な負担であり,奨学金は欧米諸国のように返還の必要のない給付制とすべきです。ところが日本は貸与制で,卒業後何百万円もの借金を背負わせています。 若者の2人に1人は低収入の非正規職についています。多くの若者にとって,すぐに返還するのは困難です。こうした奨学生に,返還を猶予するのでなく,数カ月遅れたことで制裁するとは,非情というほかありません。 こんなことがまかり通れば,進学意欲をもつ若者が,奨学金を借りることさえ躊躇せざるをえなくなります。 返済する見通しや条件を持つ者しか借りられないのでは,奨学金ではありません。 政府は滞納増を口実にしていますが,それは奨学生の急増(10年で2.6倍)によるもので,単年度の返還率は94%,繰り上げ返済も含めれば100%を超えており,機構の業績悪化や奨学生のモラル低下があるわけではないのです。 しかも返還が遅れている理由をみると,低所得が45%,無職・失業が24%など,経済的困窮が圧倒的です。 現行の奨学金にも,災害,傷病,失業や失業に準ずる理由による生活困窮の場合は,返還を猶予する制度があります。この要件を満たしながら,未申請のために,無用な取り立てに追われている奨学生が少なからずいます。 猶予制度を弾力的に運用するなど,丁寧な支援こそ必要です。 奨学金の変質の震源地のひとつは,財界団体の経済同友会が,奨学金は「金融事業だから民間に委ねるべき」と提言(2007年)したように,金融市場の拡大を目論む銀行業界にあります。 投機に熱中し,貸し渋っている大銀行の要求に応える一方,若者の教育権を保障するために必要な数十億円は出し渋る,政府のこの逆立ちした姿勢を,根本から正さなければなりません。 学費問題に関して言えば,奨学金は以前のようにすべて無利子に戻し,低賃金などの事情で返済が困難な場合,イギリスのように一定の収入(年300万円)に達するまで返済を猶予することと給付制奨学金の導入をすべきです。 誰もが安心して利用できる奨学制度への充実こそ,いま必要なのです。
Nov 13, 2008
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「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である」とした「論文」を応募し,更迭され「定年退職」となった田母神俊雄前航空幕僚長。 同じ懸賞論文に幹部自衛官など94人もが応募していたことも明らかになり,組織ぐるみの事件に発展しています。 “言論によるクーデター”ともいえる事態の根本になにがあるのか。 田母神問題の核心は,歴史認識や憲法解釈についての政府見解を,軍事組織のトップが真っ向から覆そうとしたことです。 田母神俊雄氏は「論文」で,旧日本軍の中国侵略について「我が国は蒋介石により…引きずり込まれた被害者」などと全面否定。植民地支配についても「圧政から解放され,また生活水準も格段に向上した」などと美化しています。 これらは,「植民地支配と侵略」についての反省を表明した1995年の「村山富市首相談話」に反するだけでなく,歴史の事実を真っ向から否定するものです。 また,集団的自衛権の行使や攻撃的兵器の保有が禁止されているとする政府の憲法解釈にも真っ向から異議を唱えていることも,憲法尊重擁護義務への挑戦です。 田母神俊雄氏は問題発覚後も「村山談話」について「検証してしかるべきだ」と見直しを要求し,集団的自衛権の行使も認めるべきだと述べています。 世界有数の戦力をもった軍事組織のトップが,侵略戦争を肯定し,海外での武力行使を可能にすることをめざして政府見解を覆そうとする,現役将校らによるクーデターが相次いだ戦前の歴史を想起させる事件です。 もうひとつの問題は,防衛省・自衛隊の体質です。 防衛省は,田母神俊雄氏に対して,懲戒手続きもとらず,定年退職として約6,000万円の退職金の自主返納だけを求めるという及び腰の姿勢です。 「政府見解と明らかに異なる意見を公にすることは,航空幕僚長としてふさわしくない不適切なもの」(浜田靖一防衛相)というなら,懲戒処分が当然です。 情報開示請求で入手した陸上自衛隊幹部学校の「教育課目表」によれば,過去の日本の侵略戦争を,当時の呼び名を使って「大東亜戦争史」として教えています。 2004年には,陸上自衛隊幕僚幹部防衛部防衛課所属の二等陸佐が,自民党の中谷元・元防衛庁長官から改憲草案づくりの依頼を受けて起草。憲法九条を改悪して改憲案に国防軍の設置や国民の国防義務を盛り込むことを求めていました。 今,防衛省が真に取り組むべきことは,過去の侵略戦争美化を容認する風潮をきっぱりと断ち切り,憲法尊重擁護義務をしっかり果たすことです。 田母神俊雄氏が航空幕僚長に任命されたのは2007年3月,安倍晋三内閣当時のことです。 田母神俊雄氏が侵略戦争を正当化する考えの持ち主であったことは,それ以前から自衛隊内では知られた事実でした。 航空自衛隊の隊内誌『鵬友』でも,統合幕僚学校長時代の2003年7月号から2004年9月号まで4回にわたって「航空自衛隊を元気にする10の提言」を寄稿し,今回の論文と同様の主張を繰り返しています。 それにもかかわらず,航空幕僚長に任命した自民党・公明党連立政権の任命責任は免れません。 今年4月に,イラクでの自衛隊の活動を違憲と断罪した名古屋高裁判決に対して,田母神俊雄氏は「そんなの関係ねえ」と暴言をはきました。 しかし,石破茂防衛相(当時)は「(イラク派兵について)何ら変更がないといいたかったのだろう。部下を思い,国を思う気持ちだ」と擁護しました。 田母神俊雄氏は,侵略戦争肯定発言を繰り返す理由に,「親日的な言論は比較的制約されてきた…その状況が最近変わってきたのではないか」と判断したことをあげています。 主要閣僚を「靖国」派でしめた安倍内閣の登場(2006年)と,そのもとで航空幕僚長に任命されたことは,今回の「論文」と無関係ではありません。 それだけに,安倍政権以来の歴代政権の政治責任は重大です。 自民党・公明党連立政権は自衛隊制服組の政治関与を推進してきました。 新ガイドライン(日米軍事協力の指針)が締結された1997年には,制服組が国会や他省庁と直接交渉することを禁じた「保安庁訓令9号」を廃止。自民,民主などの若手国会議員と制服組の「勉強会」も指摘されるようになりました。 2007年には,防衛庁を防衛省に格上げ。インド洋,イラクと海外派兵を積み重ねるなかで,制服組の発言力も強まりました。 今年5月には,防衛省「改革」のなかで,石破茂防衛相が「『軍人を政治から隔離しておいたほうが文民統制に資する』との考え方では今日の政軍関係は成り立たない」として,国家安全保障会議に軍人メンバーが加わるよう求めるなど,文民統制の「改革」を求めました。 田母神俊雄氏は,2004年当時,石破防衛庁長官の訓示を示し,「自衛官も政治に対し…意見を言うべきなのだ」,「政治家と積極的に接触するよう努めるべきではないのだろうか」(『鵬友』2004年3月号)と述べていました。 軍事組織「自衛隊」のこれからの一挙手一投足からは目が離せません。
Nov 12, 2008
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保育制度改変を議論している厚生労働省の社会保障審議会少子化対策特別部会は,現行制度で保育所認可の権限が都道府県にあることを問題視しています。 保育所建設の財政負担が大きいために認可したがらない,だから保育所建設がすすまないというのです。 「ポストの数ほど保育所を」の運動が広がった1960年代-1970年代には,現行制度のもとで毎年500ヶ所の新しい保育所が建設されました。その後,保育所建設にブレーキをかけたのは,政府の保育施策の後退です。 1980年代半ばに,保育所運営費の国庫負担率を8割から5割に削減し,2004年には公立保育所の運営費を一般財源化しました。 1970年代に保育所運営費は国の予算の0.8%を占めていたのが,今年度は0.39%にすぎません。 こうしたもとで自治体負担が増大したのです。 認可制度は,国の最低基準以上の保育水準を確保し,安定した運営を維持する保障です。 特別部会では,地方の財政負担を理由にして,営利企業が参入しやすい仕組みにするために,一定の基準を満たす事業者はすべて参入を認める制度の導入,初期投資や土地建物の賃借料などが回収できる仕組みや,運営費を株主配当に回せる仕組みまで検討しています。 このことを要求しつづけてきたのは,ほかならぬ財界や政府の規制改革会議です。 結局,現行制度を批判する狙いは,国や自治体が保育の実施責任をもち,認可保育所制度を中心として保育水準を確保し公費負担に責任をもつ公的責任の仕組みをなくすことです。 そして介護保険や障害者自立支援法などで先行して導入されてきた市場原理にもとづく制度を保育にもちこみ,営利企業中心の多様な事業者が顧客獲得を競いあう市場で,利用者がサービスを選択する仕組み(直接契約制度)に変えようというのです。 こうした改変によれば,「ハッピースマイル」全施設閉鎖という事態にみられるように,儲けが見込めれば営利企業が大量に参入するが,儲からないと判断すれば撤退も自由になります。 安定した運営が困難な事態もうまれます。 儲け優先による保育士の労働条件の悪化,保育水準の低下,施設間の格差拡大,低所得者が利用できない,などの事態も懸念されます。 犠牲になるのは幼い子どもたちです。 これまでの議論では,子どもと親,国民にとって,現行制度を変えなければならない理由はひとつも示せませんでした。保育関係団体からのヒアリングでも,問題は制度にあるのではなく,国の保育予算の貧弱さにあることが共通して指摘されました。 制度改変ではなく,現行制度のもとで保育予算を抜本的に増やし,保育所の増設を計画的,本格的に取り組むことこそ求められています。 国民や保育団体の反対の声に耳を傾けず,結論先にありきで制度改悪につきすすむならば,子育てをめぐる環境をさらに悪化させ,将来に重大な禍根を残すことになります。
Nov 11, 2008
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「国民に犠牲を押し付けながら,強欲で無責任な金融街に焦点をあててきた政策を変えることができる。残り5日間でそれが可能となるのです」 選挙戦最終盤の10月30日,バラク・オバマ氏は激戦地フロリダ州の西部のメキシコ湾に沿った都市,サラソタでの演説で金融政策にふれてこう強調しました。同州はローン破たんによる「抵当流れ」で住宅を失う世帯の比率が全米平均より高いところです。 バラク・オバマ氏が政策の柱として打ち出しているのは,詐欺的な住宅販売業者の取り締まりの強化と,年収50,000ドル(約500万円)以下の住宅所有者1,000万世帯への一定金利での融資制度の創設です。 これは来年1月に就任するオバマ次期大統領が第一に政治的手腕を試される分野でもあります。 世界的信用不安の発信源となったのは,アメリカでの低信用層向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの破たんでした。 このローンを証券化した金融商品はもともとリスクが高かったにもかかわらず,他の証券との組み合わせや「格付け」などさまざまな手法が駆使されて「優良な金融商品」に仕立て上げられ,世界にばらまかれました。 世界的な危機をきっかけに国際金融体制見直しの動きも始まったところです。 10月30日,国連本部で開かれた金融危機対策のための専門家会合で,インドの経済学者でケララ州経済企画局副議長を務めるパットネイク氏は,アメリカの住宅バブルから始まった金融危機が1930年代の大恐慌にも匹敵する経済危機に突入する危険を指摘しました。 そのうえで同氏は,「世界経済の新たな成長策は新たな投機的バブルによってではなく,発達した国と途上国の双方で,国民生活改善につながる財政支出を拡大することによってもたらされる」と述べ,投機の場でマネーを動かしてきたアメリカ型資本主義からの転換を提起しました。 大統領選直後の11月15日には主要資本主義国(G7)に加え,中国,インド,ブラジルなど新興国を含め20ヶ国が参加する金融危機対応の緊急サミットがワシントンで開かれます。 ここでは,まず金融危機再発防止のための世界の金融部門の監督制度や機構改革に向けた一般原則が協議されます。その後,連続的に開催され,具体的内容については作業部会が設けられる予定です。 金融危機の発信源のアメリカで,この危機再発防止に向けて新大統領がどう舵取りをし,世界と協調していくのか。世界から,これから問われる課題です。
Nov 10, 2008
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戦前の日本の侵略戦争を肯定する懸賞論文に,航空自衛隊トップの田母神俊雄前航空幕僚長だけではなく,94人の現職航空自衛官が応募していました。 この事件から,実力組織である自衛隊と,戦前の侵略戦争美化を掲げた「靖国」派との危険な癒着の実態が垣間見えてきました。 懸賞論文を主催したアパグループの元谷外志雄代表は1971年,石川県小松市で起業し,ホテルチェーンを全国展開した人物です。 1999年10月,航空自衛隊小松基地との親睦を名目に,石川県内の経営者を集めて「小松基地金沢友の会」を結成。元谷外志雄氏が会長に就き,事務局はアパホテル金沢駅前店に設けられました。 「私が小松基地の司令をしていた当時,アパグループの元谷氏が『小松基地金沢友の会』の会長をしており,だいぶお世話になった」 田母神俊雄氏は11月3日の記者会見でこう明かしています。 同氏は1998年7月から1999年12月まで小松基地が拠点の第6航空団司令を務めており,両者の関係は約10年に及びます。 もう一つ見過ごしてはならないのは,元谷外志雄氏は「靖国」派の旗手とされた安倍晋三元首相の後援会「安晋会」の副会長を務めていたことです。2007年3月に田母神俊雄氏を航空幕僚長に任命したのは安倍内閣です。 元谷外志雄氏を媒介とし,実力組織である自衛隊を巻き込んだ,侵略戦争美化と,軍事力によるアジア再進出の狙いすら感じさせる「靖国」派のほの暗い人脈図が見えてきます。 元谷外志雄氏はアパグループが発行する月刊誌『アップルタウン』に藤誠治のペンネームでエッセーを寄稿。その内容は侵略戦争の全面美化,「自虐史観」,「東京裁判史観」の払拭,憲法改悪・国防軍の創設,日本核武装にまで至っています。 田母神俊雄氏の「論文」とほぼ重なる内容です。 さらに「友の会」事務局長の諸橋茂一氏は,「植民地支配と侵略」に反省を示した1995年の「村山談話」をめぐり,村山富市元首相と河野洋平衆議院議長を告訴した人物です。 アパホテルの懸賞論文にも「真の近現代史観」と題する論文を応募して入賞しています。 同会顧問には自民党の馳浩衆議院議員も名を連ねています。 「友の会」は毎年,基地見学や幹部との交流を繰り返し,浸透を図ってきました。侵略戦争美化を推進する「靖国」派知識人の講演会も開催し,組織を拡大。同会によると,当初は87人だった会員は238八人に増えています。 「友の会」は,親睦団体を装った「靖国」派地方組織といえる実態を持っています。 今回,懸賞論文に応募した自衛官94人のうち大半が小松基地所属だったのは偶然ではありません。旧軍の歴史観・国家観をひきずっている自衛隊と,「靖国」派との危険な共鳴の結果ともいえます。
Nov 9, 2008
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10月末,「ハッピースマイル」の名前で首都圏を中心に認可保育所や認可外保育所など約30施設を経営する企業が,経営難を理由に全施設の閉鎖を強行しました。 子どもたちは投げ出され,保育士らは解雇という突然の事態に,父母は大きな不安と混乱のなかにおかれています。 保育を営利企業に委ねるとどういう事態がおこるかを深刻な形で露呈しました。 こうしたなか,厚生労働省の社会保障審議会の少子化対策特別部会が急テンポですすめているのが,営利企業の参入促進など,保育制度の「規制緩和」の議論です。 保育をどう変えようというのでしょうか。 ひとつは,保育所への入所・運営に自治体が責任をもち,入所も自治体を通して行うという現在の制度を,父母と保育所との「直接契約」にするという議論です。 しかし,関係者の批判や反対が強いため,「現行制度に問題がある」ことを様々に並べて結論を導き出そうとしています。 部会では,働く女性の増加や働き方の多様化,保育需要の増大,子育て支援などへの対応の必要性が強調されています。しかし,なぜ現行制度で対応できないのか,明確な説明はありません。 一方で,「保育サービスの需要の増大に伴い,多額の公費を投入する制度となってきた」(審議会資料)と指摘しています。保育所の増設が求められるなかで,国と自治体が保育所の運営費を負担する今の仕組みでは,保育にお金がかかりすぎるというのが本音です。 また,認可保育所に入れた人と,入れずに認可外施設を利用せざるをえない人とで不公平があるのも,制度に問題があるからだといいます。 今の制度は,自治体に,「保育に欠ける」子どもへの保育の実施を義務づけています。同時に,「付近に保育所がない等やむを得ない」場合は,「その他の適切な保護」(児童福祉法24条)を自治体がとるとしています。 「公平性」をいうのなら,義務を果たせるだけの保育所をつくってこなかった責任が問われます。 また,父母,関係者はこれらの規定を根拠に,“すべての子どもに保育の保障を”と行政に要求して,一定の基準を満たした認可外保育所に自治体の助成をさせてきました。 政府は,「公平な保障」に取り組む自治体の努力に何の支援もしてきませんでした。 部会では,「その他の適切な保護」という例外規定があることが,認可外施設を容認する根拠となり不公平を生んでいると批判されています。 その議論の裏には,「公平性」を逆手にとって自治体の義務規定そのものをなくそうという狙いがあります。 部会では,「保育に欠ける」という保育所入所の判断基準についても,女性の就労が一般的でなかった時代の制度で,働き方の多様化に対応できないとしています。 そもそもこの規定は,親の就労や病気などで保育を必要とする子どもの保育を受ける権利を示すものです。 親の仕事がパートや派遣社員,自営業などであっても,保育が必要な子どもは当然,「保育に欠ける」として対応されなければなりません。 「保育に欠ける」範囲が狭められ,そうした子どもが利用できない原因も,保育所整備の遅れにあります。実際に待機児童のない地域では,柔軟な対応がなされていることは部会でも報告されています。 部会の議論では,介護保険の要介護認定のような「要保育度」を判定することが検討されています。 そうしたところで,介護保険のもとで特養ホームの待機者が38万人という実態が示すように,保育所が足りなければ入れない人が出ることに変わりありません。
Nov 8, 2008
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アメリカの国民は,圧倒的な大差で新大統領にバラク・オバマ氏を選びました。 バラク・オバマ新政権が,行き詰まったアメリカの軍事,政治,経済を「チェンジ」することができるかどうか,とりわけ深刻な金融危機にどう立ち向かうか,この欄でも,随時,とりあげていきたいと思います。 そこで,「アメリカ発の金融危機」の連続時評はとりあえず今回で締めくくることにして,最後に,カール・マルクスの信用論,恐慌論の今日的な意義について述べておきます。◆「両刃の剣」としての金融(信用)の発展 資本主義のもとでの金融(信用)制度は,現実資本の蓄積と再生産過程を基礎とし,その発展を促進する役割をはたします。 それは,現実の再生産過程の急速な効率化,生産力の飛躍的な発展をもたらす重要な経済システムのひとつですが,同時にそれは「両刃の剣」としての特徴を持っています。 カール・マルクスは『資本論』第3巻で,金融(信用)制度の発展は「資本主義的生産の動力ばね」であると同時に,「他人の労働の搾取による致富を,もっとも純粋かつ巨大な賭博とペテンの制度にまで発展させ(る)」と述べ,こう指摘しています。 「それは,新たな金融貴族を,(中略)新種の寄生虫一族を再生産する。すなわち,会社の創立,株式発行,株式取引にかんするペテンと詐欺の全体制を再生産する」(注1) このように,金融には「両刃の剣」としての性格があるからこそ,金融の発展が暴走しないように,公正なルールと規制が絶対に必要になるわけです。 もうひとつ,カール・マルクスの信用論の基本について言えば,「カネがカネを生む」という金融の利益も,つきつめていけば,実体経済の場で現実資本が作り出す利潤(剰余価値)から転化したものであるということです。 この原点を忘れて,信用が膨張し,金融が肥大化していくと,経済の基礎が壊れてしまいます。 カール・マルクスの時代からみると,現代の資本主義は飛躍的に発展し,金融の条件も大きく変化しています。 しかし,「資本主義的金融の二面的性格」や「実体経済と金融との関係」についてのカール・マルクスの基本的視点は,今日でも生きているといえるでしょう。 今回の世界的な金融危機を引き起こしたアメリカ型「金融モデル」の暴走とその破たんは,カール・マルクスの金融(信用)理論の意義をあらためて実証しています。◆恐慌を理論探求と実態分析の両面から研究 カール・マルクスは,19世紀なかばの世界恐慌のなかで,労働者階級の運動の実践的な指針を提起するために,科学的な経済学の完成に全力を尽くしました。 ちょうど1857年恐慌が勃発したときに,カール・マルクスの経済学研究は大きなヤマ場を迎えていました。カール・マルクスは,エンゲルスなどへの手紙のなかで,次のように書き送っています。 「僕は猛烈に勉強している。たいてい朝の4時までやっている。というのは,仕事は二重のものだからだ。(1)経済学の要綱の仕上げ。…(2)現在の恐慌。これについては…ただ記録をとるだけだが,これにひどく時間がかかるのだ」(1857年12月18日,エンゲルスへの手紙)(注2) 「現在の恐慌は,僕を駆り立てて,今度こそは僕の経済学の要綱の仕上げに真剣に没頭させ,また現在の恐慌についてもなにかを準備させることになった」(1857年12月21日,ラサールへの手紙)(注3) これらの手紙からわかるように,カール・マルクスは当時の恐慌にたいし,理論探求と実態分析の両面から,「猛烈に」「朝の4時まで」取り組みました。 そして,こうした研究の結果,資本主義では商品の購買と販売が分離して「恐慌の可能性」が生まれること,資本のあくなき利潤追求と資本蓄積によって「生産と消費の矛盾」が累積し,その矛盾が周期的に爆発して恐慌が必然的に起こることを解明しました。 カール・マルクスは「恐慌論」というタイトルの書物を書くことはできませんでした。しかし,『資本論』をはじめとする膨大な文献のなかで,恐慌の基本的理論を残しました。 19世紀のカール・マルクスの時代から21世紀の今日まで,資本主義は大きく変化・発展してきました。カール・マルクスの時代には,飛行機やラジオ,テレビはありませんでした。コンピューターもインターネットも携帯電話もありませんでした。 しかし,カール・マルクスが生涯をかけて体系化した貨幣・信用論や恐慌論は,資本主義の基本的な法則を解明したものとして,現代資本主義のもとでも,その根底を貫いています。 世界的な金融危機が発展し,世界的な恐慌の懸念が広がりつつあるいま,マルクスの理論的遺産を徹底的に吸収するとともに,カール・マルクスがしたように,現代の金融危機と恐慌の理論的・実態的研究に正面から取り組むことが求められています。 それは,この矛盾に満ちた世界を変革するために,21世紀に生きるわれわれにとって,避けてとおれない理論的課題です。【参考】(注1) 『資本論』新日本新書(10),760ページ(注2)・(注3) 大月書店『資本論書簡』(1),223ページ,225ページ
Nov 7, 2008
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アメリカ大統領選挙は歴史的な結果となりました。圧勝した民主党のバラク・オバマ候補はアメリカ史上初めてのアフリカ系大統領となり,アメリカに根深い人種差別の解決に向けた一歩となります。 バラク・オバマ氏は地域での活動などを通じて国民との接点を持ち,選挙戦も広範な草の根の活動家に支えられました。 何より今回の選挙はアメリカ国民が8年間にわたるブッシュ政権の路線を拒否し,新しい政治を模索していることを明確に示しました。バラク・オバマ氏には,国民の期待に応えることが求められています。 イラクとアフガニスタンの2つの戦争は,戦場の国民だけでなくアメリカ国民にも多大な犠牲をもたらしながら,いまなお出口が見えません。 先制攻撃戦略という国際法と国際世論を踏みにじったブッシュ路線の破たんを象徴しています。 一方,市場原理を信奉し規制緩和を進める新自由主義の経済政策は金融をカジノ(賭博場)に変え,アメリカ発の金融危機となって世界を混乱に陥れています。 アメリカが世界を意のままに引き回す時代が過去のものになり,アメリカには新たな国際的枠組みにふさわしい政策が迫られています。 バラク・オバマ氏が掲げた「チェンジ(変革)」のスローガンは,新たな方向を求めるアメリカ国民の期待と重なり合って勝利をもたらしました。 選挙は世界的にも注目されました。 対話と外交を重視し,多国間協調の必要を指摘するバラク・オバマ氏に,一国覇権主義からの決別を期待してのものです。 イギリスBBC放送が10月に発表した世論調査では,バラク・オバマ氏が当選すれば対米関係が改善されるとして同氏の当選を望む声が,調査対象の22ヶ国すべてで多数を占めていました。 バラク・オバマ氏は選挙中,ブッシュ政権の政策を批判し,イラクからのアメリカ軍撤退や核兵器廃絶,金融規制の強化などを提起してきました。他方,アフガンでの戦争で勝利をめざす立場を鮮明にし,アメリカ軍を増派する構えです。 安全保障では「超党派」の政策をとるとし,共和党員を閣僚に迎える可能性も否定していません。 バラク・オバマ氏の勝利を決定づけたといわれる経済政策でも,従来の民主党の路線をどこまで変えられるのか? オバマ氏には選挙で支えた草の根の声を反映し,真の「変革」を進めることができるかが問われています。 進歩的な歴史家として著名なハワード・ジン氏は,アメリカの政治体制ではバラク・オバマ氏に投票する以外にないとしながら,「バラク・オバマ氏が自分を取り巻く伝統的な考え方や企業利益を拒否し,真の変革を求める幾百万人の国民に敬意を示す」よう求めています。 日本政府はこれまで「日米同盟」を最優先し,ブッシュ政権の政策を支持し,イラクやアフガニスタンへの戦争を支援してきました。経済政策でもアメリカ型の資本主義を信奉し,日本に持ち込もうとしてきました。 バラク・オバマ氏の勝利は,日本政府がとってきたそうしたアメリカ言いなりの政治が,いまや通用しなくなっていることをしめした点でも重大です。 日本も「日米同盟」に固執した対米関係を見直すべき時です。バラク・オバマ政権の誕生は,日本の課題も浮き彫りにしています。
Nov 6, 2008
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労働者派遣法の改定案が11月4日,閣議決定されました。 人間をモノのように使い捨てする働かせ方をやめさせ,派遣労働者を保護することができるのか,検証してみます。 社会問題となった日雇い派遣について,30日以内の短期派遣を禁止します。 しかし,30日超の労働契約さえ結べば,職場を転々とする日雇い・スポット派遣を続けることも可能であり,通訳や事務機器操作など18業務については専門性が高いとして期間制限はありません。 30日を超えていれば不安定な短期派遣はいくらでも可能です。 日雇い派遣が急増したのは,雇用が不安定な「登録型派遣」(派遣元に登録し,仕事があるときしか働けない)を認め,対象業務についても1999年に原則自由化したためです。 使い捨て労働を増大させた原則自由化前に戻し,派遣労働は常用雇用を基本とし,日雇い派遣は全面禁止するとともに,登録型派遣は例外として厳しく規制すべきです。 偽装請負など違法行為があった場合,派遣先が派遣労働者に対して雇用契約を申し込むよう行政が勧告できるようにします。 派遣先が何ら責任を問われない現状に比べれば変化ですが,偽装請負が認定されても派遣労働者が雇い止めされているキヤノンや日亜化学の現状を見れば,極めて不十分です。 違法行為があれば派遣先と派遣労働者の間に雇用契約が成立しているとみなす「みなし雇用」を導入すべきです。 ドイツやフランスなどで確立しており,日本でも松下プラズマ偽装請負事件で大阪高裁が,雇用契約が成立していることを認め,松下側に直接雇用を命じています。 派遣労働者の待遇改善や不安定雇用の是正について,派遣先労働者との「均等待遇」は盛り込まれず,「考慮」するにすぎません。登録型派遣の常用雇用化なども「努力義務」にとどまっています。 均等待遇は欧州諸国では常識であり,常用雇用の代替に対する歯止めにもなっています。10月22日には欧州議会が,加盟27ヶ国に対し3年以内に国内法に適用するよう指令案を採択しました。 派遣元による“ピンはね”を防ぐため必要なマージン(利ざや)率の上限規制はせず,全体の平均額を知らせるだけです。 グループ企業に派遣する“もっぱら派遣”について新たにルールを設け,8割(労働時間換算)まで認めるとしています。労働組合などはせめて5割以下に規制するよう求めています。 期間の定めのない派遣労働者について,派遣先が労働者を特定・選別することを認め,直接雇用の申し込み義務から除外します。これらはいずれも,財界が派遣労働者を使い続けるために求めてきたものです。 厚生労働省は“雇用が安定しているから緩和しても問題ない”と説明しますが,差別を招くとして派遣法が禁じている違法行為を認める理由にはなりません。 直接雇用の申し込み義務の除外も,「臨時的・一時的な業務に限定し,常用雇用の代替としない」との労働者派遣の原則にそむく改悪であり,削除すべきです。 労働者派遣法のさらなる抜本改正が必要だと言わざるを得ません。
Nov 5, 2008
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海上自衛隊のインド洋での給油支援を継続する新テロ特措法延長法案の審議のなかで,陸上自衛隊の輸送ヘリをアフガニスタン本土に派遣することを政府が目指していることが明らかになりました。 浜田靖一防衛相は,ヘリのアフガン派遣を求めた与党の質問に答えて,CH47輸送ヘリを整備,改修し,国際平和協力活動に「貢献できる体制をつくっていきたい」と述べました(10月28日参議院外交防衛委員会)。 全土が激戦地のアフガン本土へのヘリ派遣は文字通り戦争支援で,憲法に違反します。民間人の犠牲者増大に手を貸すことにもなります。 防衛省は来年度予算の概算要求に,CH47の底に防弾板をとりつけ,エンジンを高出力化して機能を強化する計画をもりこんでいます。アフガンで,地上攻撃に耐え,高い山岳地帯や高温地帯で作戦行動するための大改修です。 アメリカ政府は,アフガン戦争の泥沼状況を軍事力強化で乗り切るため,同盟国に部隊や装備の増強と新規提供を求めています。 ISAF(国際治安支援部隊)とアメリカ軍・NATO軍連合部隊の双方を率いているマキャナン司令官(アメリカ陸軍大将)は,「部隊,ヘリ,装備,後方支援,輸送」をだせと,圧力を強めています(10月12日)。 ヘリ改修計画は,アメリカ政府のヘリ派遣要求に応え,政治状況次第で新法をつくり,ヘリを派遣できるようにしておくのが狙いです。 対米追随の異常さを示しています。 日本政府が6月8日から18日にかけて,アフガン本土に調査団を送り,戦争支援についての調査をしたのも,こうしたアメリカの圧力に応えたものです。 しかし,アフガンには「敵との接触が起きない場所があるとは保証できない」とのマキャナン司令官の発言(7月16日)を待つまでもなく,全土が戦闘地域であることは明白です。 ヘリ派遣ができるはずもないのに,調査団を送り,ヘリ派遣に備えるのは許されません。 アメリカ政府がヘリ派遣を求めるのは,アメリカ兵やアメリカ軍物資を輸送させ,アメリカ軍作戦の一翼を担わせるためです。全土が戦闘地域のアフガンでのヘリ輸送は,アメリカ軍の武力行使と一体化した軍事行動そのものです。 他国の武力行使と一体化した行動は憲法違反だというのが日本政府の見解です。 4月のイラク派兵差し止め訴訟の名古屋高裁判決(確定判決)も,戦闘地域であるバグダッドでのアメリカ軍に対する空輸支援を「米軍の武力行使と一体化した行動」「自らも武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」と断じています。 政府の見解と確定した判決に照らし輸送支援は憲法違反です。 武器の使用を伴わなければいいかのような議論は通用しません。政府はヘリ部隊のアフガン派遣に備える動きを中止すべきです。 アメリカ政府が戦争支援の拡大を日本に迫るのは,日本が給油支援の継続と戦争支援の態度に固執しているからです。異常な対米追随姿勢がアメリカ政府の要求を加速しているのです。 抜本的転換が不可欠です。 アフガニスタン政府も国際社会も,アフガン問題の政治解決のため動きだしています。新テロ特措法の延長を断念し,戦争支援ではなく外交的役割を果たしていくことを日本はめざすべきです。 また「国際平和協力活動」などと実態と異なる表現で,真剣に活動しているひとを冒涜するようなこともやめて欲しいものです。 正しくは“「アメリカ軍事協力活動」に貢献できる体制を作りたい”ではないのでしょうか?
Nov 4, 2008
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