義母の財産 | リボンリボンの情報交換広場

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2005.12.08

クリスマスまであと1７日

義母の病院に行った時のこと。

相変わらず、目はうつろで、食事もほとんど取れず、
声も出ない義母がポツリ。

『みんな癌やなあ・・・』

また、暫くして、
『癌ばっかりや。』

『○×所長も癌やって』

「○×所長って誰？」と、私。

『近所に開業しはった人。　えらい繁盛してたのに癌やって。』

「ここに入院してはるの？」

義母は力なく
『もご・・もご・・』
何を言っているのか聞き取れない。

「バイクで落ちたこと覚えてる？」

『いや。』と義母。

「お肉を買いに行った帰りに、２ｍ位バイクで落ちたんよ」

『え？』

「近所に住んでいる、お義母さんの同級生が見つけてくれて、救急車を呼んでくれはってん」

ぽかんとした義母。

「もしかして、癌で入院してると思ってる？」

案の定、うなずく義母。

「癌でお腹切ったと思ってる？」

『そやないんか？』

「癌やったら、手術したＫ医大に入院するやん。ここはＴ病院やよ」

『・・・』

「救急車でここに運ばれたけど、お腹の血管が切れていて危なくなったから、
救命センターに運ばれて、緊急手術受けたんよ。

ゆっくり、ゆっくり義母に説明する。

『そうなんか？』

「もうちょっとで死ぬとこやったんやから・・・
腰を強く打ったから、骨盤と背骨も折れてるねん」

『ほんまに？』
「癌で腰の骨は折れへんから・・・」

義母の目がみるみる輝いてくる。

『知らんかった・・・』
安堵する義母。

「早く良くなるように、頑張って食べよ！」

『はい！』
まるで子供のように元気な返事が返ってきた。

事故の時の記憶がほとんどなかったんですね。
夫と姉を癌で亡くした義母は、
どうやら夏に切った胃癌が転移して、
自分も、もう助からないと諦めていたみたいです。

義母の勘違いに気がついて良かった。

帰り際、
『えらい財産もろたなあ』と義母。

義母の財産（命）は、まだまだ光輝きそうです。

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