SALT OF THE EARTH

SALT OF THE EARTH

正しい人へ愚かな私より


友人は言った。
外国人の彼女は、日本人と結婚したものの、
早い段階で結婚がうまくいかなくなった最中に2人目を妊娠。
絶望的になり中絶するつもりだったと言う。

・・・まず思いますよね、どうして「うまくいってない」のに妊娠するのか?
そういうことがあるんです、世の中。
一説では既婚者の中絶は未婚者を上回るのではなかったでしょうか。
私が手術を受けたときも、そこの個人病院で同じ日に何人かいたようで、
私自身驚いた。
『夫婦』であるのにまるでレイプされてるような気持で夫にヤられる。
そんな男を選んだ私(貴方)が愚かなのだ。
何故早く別れないのか、体を許すのか。それは私(貴方)がヘタレだからですよ。
正しい人はそう言うだろう。

レイプで出来た子さえ愛せるのだという説もあるが、そうだろうか?
そんなおぞましい気持で妊娠して産んでみたとして、何かの拍子に思い起こさないのか?
その時に変わらず子供を愛せるのか?

別の友人だが、夫婦仲も悪くなく、子供も一人いてそろそろ2人目という時期に妊娠した
ワーキングマザー。
どうしても「今」「産みたい」という方へ気持が向かなかった。
それでも一度は「産んでみようかと思う」、と報告してきたが、検診でかなり卵管近くに
着床しているとわかった。
彼女にとって産まない理由づけが突然現実味を持って現れたのだろう、
結局、産まないことになった。
これも、まずそんな妊娠をするのが悪い。
避妊を怠った結果だ。
そして、完全に子宮外妊娠でもないのに、「欲しくない」のはまったく彼女の感情のみだけである。
私が彼女に言ったのは、ある劇画の引用だが「産めば母親、ではない。育ててなんぼ、だ」
私は中絶を勧めなかったが(後味悪いのは知っているので)、
彼女が産みたいという気持にどうしても向かないなら、
こういうことじゃないのか、という意味で言った言葉だ。
彼女は「確かにお受けした」と笑ったが、陰ではたくさん泣いたようだ。

・・・正しい人は言うだろう。
だから、泣くようなことになる「望まない妊娠」をする貴方が愚かです、と。

私の子供は2人とも「中絶」の予約までされていたのに産まれて来た連中だ。
冒頭の友人も結局2人目を産んで離婚した。(だからその子は父親を知らない)
外国人でありながら日本で2人を立派に育てている。
彼女の大切な子供達だ。
私も、もうできることもないと思っていた「2人目」を迷いに迷って
産んで、息子にとってはえらい年の離れた妹だが、
長いこと私と息子2人での暮らしから4人家族になった。
息子の父親、=私の元亭主は離婚後死んだので、なおさら私は「これからほんとに母子2人」と
いう気持が強かったが、4人家族になれたこと、そのタイミング、
産まれてきた娘が結び付けてくれたように思っている。
冒頭の友人の言葉、まさに「angel」かもしれない。

私の考えることは、産まれてきた子は産まれるべくして(ここへ)きたんだろう、
産まれなかった子は悪いが縁がなかったのだ、である。
都合よすぎるか?
そう、こっち側で正当化するための理由づけだから。

反対か賛成かと言うより、「中絶がいいわけがない」という言い方になるだろうか。
このことははっきりしている。
特に女性のとって心と体両方に傷が残る。
だから産まない選択をするような妊娠をしないのが大前提だ。
そのための教育は必要だ。
それは自分を大切にすることにつながるし、誰かとつながって生きていることの
認識かもしれないだろう。
ある程度、中絶の実態を教えることも含めてであるが、
中絶のグロテスクさを強調しても始まらない。
(まぁ、悪いが男は実際の体の痛みを伴わないので、
男にこそショック療法はしてもいいかもしれない。)
避妊教育も勿論だが、結局は親に愛されたこととか、
愛する人が出来たりとか、そういうことで自分と自分を愛してくれた人を
大切に思い、またそれを誰かに返していく、というようなことが基本にあると思う。

「正しい」人に言います。
「中絶反対」は正論です。
しかし私は中絶反対論者のどれくらいが、その背景や心と体の傷、
産まれてきた子供の今後まで考えているかと思う。
貴方の正しさの為だけに、「反対」を叫ばないでもらいたい。
問題のすり替えかもしれないが、それなら「命」に対する全ての人為的な操作に反対してもらいたい。

個人的な経験談と、頭の中の考えがごっちゃになって、全てをうまく書き表せない・・・文章力のなさがもどかしい。

私は今でも自分の親がいまいち好きでないが(笑)生を授けてくれたことに感謝はしている。
そう思えるようになったのも、今幸せだからだろうね。
親への感謝、生きていることへの感謝は「感謝しなさい!」と言われて持てるものでもない。
自分の子供にも自然に、生きていること=産まれてきたこと、を幸せと思い感謝するようになってくれればと思う。
それは感謝できるような人生をその人が送れているかということにもなる。






























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