放浪の達人ブログ

カウントダウン



俺の家族は大晦日の夜、滅多に行かない碧南市の実家に行って両親がミイラになってないか確認した後、
お寺で除夜の鐘をめいっぱいブチ鳴らしてから岡崎へ帰って来るのが昔からの定番だった。 
しかしそれで終わってはあまりに退屈なので、去年は三重県御在所へ初日の出を見に行った。
深夜2時頃岡崎を出て高速に乗って現地に着いた後、冬期閉鎖となった鈴鹿スカイラインを歩き
アイゼンを履いてまだ暗い雪の登山道を登ったのである。
頂上まで登るのではなく中腹にあるバツグンの秘密スポットで初日の出を見たのだ。
家族全員で登るのではなく、俺と高1の長男の2人だけだった。
今年は専門校生の娘と小6の次男も登ると言っている。まあ天気が良ければの話である。

しかし本当はもっとすげえ過ごし方をしたいもんだと思っている。
だが俺の仕事は12/31の夜7時半まであって、新年は2日の10時から始まるという
元旦だけの正月休みなので、南の島で過ごすとかアラスカにオーロラを見に行くとか
壮大な年末年始の過ごし方はできないのである。
年末年始を海外で過ごすお金のある人はそんなに多くはいないだろう。
正月休みが10日もあるような会社員が寝正月で過ごすとはさぞかし退屈だろうなと思う。
せいぜい家で年末大そうじをして、正月はくだらねえお笑いTVを見て、
全部パソコンで処理してあって味気ねえぜ手書きのコメントでもちったー書き足しとけや
オメエの家族写真には興味ねえんだよと思いながら年賀状を見て、
ヨメの実家に行ってもやることねえのでパチンコに出掛けて行った結果3万か4万負けて、
新春福袋を買って開けてみるとこんなもん着れんわと毒づき、
「まあ正月だからなあ」という一言で全てを納得させてるうちに仕事始めになっちまう人が
全体の90%以上を占めるのではないのだろうか?

15年程前、正月をネパールのカトマンズで迎えたことがある。
インドからはるばるヒッチハイクでネパールに辿り着き、異国でのカウントダウンを思い描いて
深夜の町に繰り出した。3、2、1・・・0! ハッピーニューイヤー!の声と共に
夜空に無数の花火が打ち上がって大歓声が沸き起こり、近くにいる見知らぬ外国人達と
声を掛け合い喜びを共にし、頭上では紙吹雪が宙を舞った・・・わけではなく、
何も、本当に何も起こらなかったのである。それどころか通りは人の気配もなく静まり返り、
犬や牛さえも歩いていなかった。
あ~そうか、ネパールの正月は4月だったっけなあ、と虚しく¥40の安宿に戻ったものである。

今年の正月はお金をかけなかったけど楽しかった、という過ごし方を皆さんにはして欲しい。
それなりにお金はかかったけど楽しかった、っていうセレブ話は聞きたくねえからな。
うらやましいだけだから、ちくしょー。

(俺と御在所岳新春登山をしたい人は深夜3時に鈴鹿スカイラインで赤いバラを口にくわえて待て!)


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