放浪の達人ブログ

香港の安宿

   【香港の安宿】

11月にタイのチェンマイに遊びに行くのでネットで宿を探していた。
「ブッキング・ドット・コム」は毎回使っている宿泊予約サイトだ。
サイトを見ているうちに、昔泊まった香港の安宿のことを思い出した。
今の香港国際空港はバカっ広い埋立地にあって搭乗ゲートは100を超えるが
あの当時はまだ空港が街の真ん中にある小さな啓徳空港だったなあ。
飛行機が高層ビルすれすれに飛ぶ世界有数の危険な空港だった。
当時の啓徳空港のフライト・スケジュールはかなり大雑把で、
出発間近に搭乗ゲートが変わるのは当たり前、離陸時刻遅延ならまだマシだが
出発時刻の30分前に勝手に先走りして離陸して行っちゃうとかハチャメチャだった。
その大雑把さは現在の中国東方航空にしっかり受け継がれている。(笑)

さて、その頃は宿の予約なんてもんは存在してなく行き当たりバッタリだった。
俺の荷物はコンビニの袋にタオルと歯磨きセットを入れた程度で、
空港から市内へ向かう2階建てバスに行く当てもなく飛び乗って
ネオンの看板がひしめき合う街の猥雑な夜景を窓から眺めていた。
地図も持ってないからバスが香港のどこを走っているのか、
そしてどこに向かっているのか全く分からなかった。
そんな刺激的な旅に不安と楽しみを感じていた。

賑やかそうな場所でバスを降りると宿の客引きが群がってきた。
「チョンキン!チョンキン!」と誰かが叫んでいる。
そうか、ここが悪名高い重慶(チョンキン)マンションか。
重慶マンションはたくさんの安宿が入居している巨大なビルである。
当時は九龍城(クーロンジョウ)の次に危ないエリアといわれていた。
貧乏旅行者の俺は客引きに促されるままチョンキンに泊まることにした。

シンドラー社の古いエレベーターがガコン、ガア~ッ!と上昇する。
ドカンという振動と共に5階だったか6階に到着。
鉄格子を2回通り抜けて安宿のロビーに着き、2畳ほどの空き部屋に案内された。
恐ろしく合理的に出来た部屋である。テレビもあった。
鉄格子がはめられた小さな窓からは汚い別棟が見えた。
夜食を食いに行こうと部屋を出たら隣りの部屋に警官隊が突入寸前だった。
おお!これは面白そうだ、と見ていたら警官に激しく追い払われた。

チョンキン・マンションの中には多数の安宿がひしめき合っているが、
ブッキング・ドット・コムで調べたら利用者の口コミが酷かった。
「ベッドの幅が50cmしかなく寝返りさえ出来なかった」
「毎朝オーナーと客が喧嘩。オーナーが客を罵って客が諦めて帰るパターン」
「シャワーのお湯が1分弱しか出ない」
「入り口にたむろしてるインド人軍団、アフリカ人がウザい」
「ドラッグを勧めてくる」
うんうん、分かる分かる!それこそがチョンキン・マンションの醍醐味なのだよ。
てか、俺がチョンキンに泊まったのは20年以上も前。
これらの口コミは去年とか今年のものだ。全然変わってねえじゃんかっ!(笑)


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