読んだり飲んだり走ったり

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2017年12月12日
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カテゴリ: 断想
相変わらず夜間の睡眠が十分にとれませんが、昨晩は、それが決して苦痛ではなく、静かにいろいろなことを考えられていいやと思えるようになりました。点滴の種類が減ったこともあり、体調が、いい方向に向かっているのだろうと思います。

以下に記すのは、そうやってとりとめもなく考えているうちに思い至ったことです。女性にしてみれば、何を今更といった内容だと思いますが、男である自分が、何もわかっていなかったということを記録として残しておきたいので。

この病気で入院したのが7月始めですから、足かけ六ヶ月。まだまだ続きます。終わり(退院)は見えません。
その間、もちろん仕事はお休みさせてもらっています。幸い休職が認められていますから、その点の不安はないのですが、私の場合、「社会」との接点は「仕事」しかないので、これだけの長期にわたって「離脱」していると、やはりそれなりに不安を感じたりします。
たぶん、仕事に就いている男性であれば、誰しもが同じように感じられるのではないでしょうか。

では女性はどうか。女性には「産む」という役割が賦与されています。これはどうしようもない、というか当たり前のことです。ではそれを支える「制度」はどうか。「産休」「育休」がありますね。そして男たちは、女性が妊娠したら、産休をとり、育休を取ることもまた当たり前のことと思っています。
でもこの「産休」「育休」というのは、まさに妊娠・出産・育児に専念せよということで、社会的離脱を前提とした制度にほかなりません。

男たちは病気などになって初めて長期の戦線離脱に怯えますが、女性たちにとってそれは産むという役割を果たそうとする限り、避けては通れないものです。にもかかわらず、男たちは、自分たちが感じる怯えについて、女性にも生じうるものとして捉えることを殆どしていないのではないでしょうか。

なぜなら、男の目からしてそれは「当然」のことだから。


さらに、苦痛や不安という要素を絡めて考えてみます。
男の戦線離脱は主に病気による入院、とするなら、闘病生活ですからそれは苦しい。しかし、男たちはその苦しみに耐えてさえいればいいわけです。痛い、苦しい,吐き気がする、そう言って、ベッドに横たわってさえいればいいのです。
しかるに女性はどうか。前に今回の治療の一番辛いときの状態が、女性の悪阻のそれに近いのではということを述べました。悪阻の時期、女性たちはただ横たわっていればいいなどということはまずないでしょう。仕事に就いているならそれを続け、家庭にあれば家事全般をやらねばならない。
そして産休。社会的離脱。やがて、男性にはとうてい耐えられないほどの痛みを伴い、出産。しかもそれは終わりではなく、始まりです。
主体は赤ちゃんであり、その都合にすべて合わせなくてはならない。「自分」は消えます。それが「母」になることだというのは、男の勝手な言いぐさではないのか。そうやって自分を消して赤ちゃんを最優先にしなければならないことの大変さ。
さらに今は、その大変さにどうやって一区切りをつけられるのか、全く不安定な状態にあります。職場復帰の可否。いや、そもそもそれを問う前提としての、育児・保育施設の有無という問題。もちろんそれは「家族」の問題ですが、多く「女性」の肩に担わせているのが実情ではないでしょうか。だとしたら、苦痛や不安を、一方的に押しつけられるばかりということになります。

我々は一人の例外もなく、「母」から生まれてきました。その「母」は、述べてきたような過酷さを受け入れてくれた存在にほかなりません。もちろん、述べてきたのは私の乏しい想像力の産物に過ぎませんから、実際にはもっと過酷なものでしょう。そのことをきちんと男たちが理解していないとしたら、それは「母」に甘えるようにして、「女性」という性に甘えてきただけではないのか。

そんなことを、これまでしっかり考えてこなかったことに気づいて、愕然としました。女性なんだから、産んで当然、そんな思いのまま、きちんと認識すべき事を認識してこなかった自分の不明が情けなく、反省の思いに導かれて、長々と記してしまいました。これは、女性の問題ではありません。言うなれば「人間」の問題でしょう。せめて、こうして自分の思いを記し、ほんの少しでも問題意識の共有に寄与できたらと思います。

拙文に最後までおつきあいいただいた方に感謝申し上げます。

なお誤解を避けるために最後にひと言。産む役割を賦与された性としての「女性」について語ってきたつもりなので、実際に出産を経験され(てい)るかどうかは、ここでは全く関係ありません。





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最終更新日  2017年12月12日 20時34分33秒
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