読んだり飲んだり走ったり

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2017年12月22日
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テーマ: 闘病日記(3857)
病と向き合いながら生きる、「当病」ということについて昨日は記しました。
もちろんこれは、「がん」の再発を前提として生きよということでは全くありません。

それなりに苦労したわけですから、二度とおつきあいはごめんです。
そこらへんの思いを三十一文字に託したら、こんなのが生まれてきました。

お前には 是非とも聞きたいことがある どうして生まれた なぜここにいる

お前をば 消し去ることは 己が身を 傷つけることに ほかならないのだ

お前をば 消し去ることで 得た現在 お前は何を 持ち去ったのだ

お前はね 俺の身体だけでなく 生活までも 傷つけたんだぞ

お前は俺 俺はお前を切り捨てる 生きてくためだ ではさようなら



もう恨みつらみばかり。私の場合、幸いなことに、「ではさようなら」と言える段階にたどり着くことができたようですが、そこになかなかたどり着けない方たちのご心労は察するに余りあります。
そして、一たび「ではさようなら」と別れを告げることができたなら、「絶対に来るな」と思うのは当然でしょう。

でも、私たちの身体は、最低一度は「がん」を生んでしまった身体です。その事実だけは、なかったことにできない。それをきちんと見据えておく必要があるのではないか。「当病」に込めたのは、そんな思いです。

これには私自身の苦い経験があります。
最初にがん(悪性リンパ腫)が見つかったとき、一番思っていたのは、「なかったことにしたい」ということでした。すなわち、それが見つかる前とほぼ同じ生活を送ること。
「えっ、がんですか? いやぁ、全然関係ありませんよ、だってほら、前と全然変わっていないでしょ。」
化学療法中、職場復帰して通常勤務に就いていたどころか、病が見つかる前とほぼ同じだけの負担を身体に強いて、ランニングにも取り組み、ハーフやフルのレースにも出場。フルマラソンに出場したのは、化学療法最終日の前日でした。

なまじそれができてしまったことが不幸でしたね。そんな生活を送っていたにもかかわらず、寛解の診断を得、「ほら、大丈夫。俺は平気。」ますますランニングにのめり込んでいきました。

で、化学療法が終わったその年の暮れに再発。これはもう、こうした勘違いに基づく無理がたたったとしか言いようがありません。

その後、自家移植。おかげさまでこれも無事に乗り越えて、「日常」に復帰。無茶をしたという反省はもちろんありますから、だいぶおとなしく過ごしたつもりですが、そこでもしかし、「なかったことにしたい」という思いが働いていたように思います。

そして今回。さすがに考えました。そして、ようやく実感しました。「なかったことにはできないのだ」と。



また、前回の自己移植までは、QOLという点であまり悩まされることはありませんでしたが、今回は違います。感染症の恐怖、GVHDの恐れがずっと続きます。そしてもちろん再発の可能性も。
これらをうまく「飼い慣らす」必要がある。
ちなみに、この「飼い慣らす」というのは『星の王子様』において狐が王子に求めた関係性ですが、「当病」の「当」とはこの「飼い慣らす」が一番ぴったり来そうです。

できればこんな目には遭いたくなかった。しかも一瞬の我慢で済むことではなく、生涯続くことなのですから。

生活の質の低下を嘆きつつ 「新しい自分」と呟いてみる


でも、今の自分をまるごとポジティブに受け入れるために、必要な捉え方ではという思いもあります。

その場所に立たなければ見えない景色というものがあります。できれば立ちたくなかった立場は、しかし、そこからしか見えない景色を見せてくれるでしょう。

今まで当たり前に見えていた景色とそれらを重ね合わせることで、景色に限らない、物事全般がよりクリアに、立体的に見えるようになるかもしれない。

それはもちろん快適な経験ばかりではない。むしろ逆のことが多そうな気もします。でも、それらは間違いなく自分という人間を成長させてくれるに違いない。

結果的に自ら「落ちた偶像」になってしまったランス・アームストロングは、その苛烈ながん闘病記『ただマイヨ・ジョーンのためでなく』の中で、がんを「ギフト」と呼んでいました。
その境地に到達することはできそうもありませんが、自分の身体に生まれてしまったものを受け入れるしかない以上、それに、少しでも積極的な意味を見いだしたい、そんな思いです。

まだ退院も見えてこない段階であり、これから先どんなことが待ち受けているのか不安だらけですが、こんな、前向きの姿勢を持ち続けられたらいいな、と思っています。

「三度患者になってちょっとわかった「がん」のこと」について、浅慮を露呈させながら記してきましたが、ひとまずこれで一区切りとします。ここまでおつきあいいただいた方には、感謝の言葉しかありません。ありがとうございました。

最終回は、退院が決まったら記すことにして、明日からは、さて何を書こうかな?

明日もまたいい一日でありますように。





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最終更新日  2017年12月22日 20時29分45秒
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