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Ryu-chan6708

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2006.08.02
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カテゴリ: 読書感想
:レイモンド・チャンドラーの代表的な長編「 大いなる眠り :The big sleep」、「 長いお別れ :The long goodbye」、「 さらば愛しき女よ :Farewell, My lovely」の3つを読んだが、ストリー展開が共通している点がある。

A氏: 俺もお付き合いで3冊読んだが、どんな点?

私: それぞれ謎を持つ人物がストーリー全体を通じて一貫してからんでいることなんだ。

A氏 :なるほど、「大いなる眠り」は探偵マーロウへの依頼者の 富豪であるスターンウッド将軍の娘の夫のリーガンが謎の人物 だね。これは最初から行方不明。
 だから、探偵マーロウは会っていない。 その行方のミスティリーだ。

テリー・レノックス という文無しの男だ。
 殺人の疑いで逃れてメキシコでつかまり謎の自殺をするというミスティリーだ。
 この小説は、次の文から始まる。

「私がはじめてテリー・レノックスに会ったとき、彼は“ダンサーズ”のテラスの前のロールス・ロイス“シルヴァー・レイス”の中で酔いつぶれていた。」

この出だしの英語が簡潔で実にいいね。中学生でも分かる英語だ。

The first time I laid eyes on Terry Lennox he was drunk in a Rolls-Royce Silver Wraith outside the terrace of The Dancers

A氏 :I met Terry Lennoxとしないで、 laid eyes on としているのが、チャンドラーのひねった英語かな。
 このニュアンスを日本語でどう出すかだね。

:「 目にした 」はどうかな。
 村上春樹氏ならどう訳すかね。もっとも、氏はこの本でなく「長いお別れ」のほうを訳すのだが。

A氏 大鹿マロイ という大男が中心で、刑務所に8年いたが、出所してかっての「愛する女」 ヴァレント を捜し求める。
 このミステリィーが底に一貫して流れている。

:ミスティリーだから、種明かしはやめるが、いずれも最後のほうで謎が解けるね。
「大いなる眠り」のリーガンの行方もわかるし、「長いお別れ」のテリー・レノックスの最後の真相もわかる。

A氏 :「さらば愛しき女よ」の「愛する女」ヴァレントも見つかる。
日本訳で理解できないところを英語でチェックしているようだが 、英語で理解できたかね。

:「大いなる眠り」の最初のほうで マーロウが調査を依頼する老人将軍に会うシーン がある。
 そこでこういう文章がある。君は理解できるかね?

私は飲物をすすった。老人は私を見ながら、何度も舌なめずりをした。葬儀屋が空気乾燥器で手をかわかすみたいに、片方の唇をゆっくりと片方の唇にひきつけるのだ 。」

A氏 :葬儀屋の手の動きが老人の唇の動きに似ているということなのではないの?

:片方の唇というけれど、唇は一つだから、上の唇、下の唇ではないの?
 それを「ひきつける」というのは、口を閉じることなんかね?
その唇の動きと、葬儀屋が空気乾燥器に両手をかざして、両手を乾かす動きとどのように似ているのかね。
 手を乾かすには、空気乾燥器の噴出し口に動かさないでかざすだけでないのかね。

A氏 :そう言われればそうだね。第一、 なんで葬儀屋が唐突に出てくるのだろう。
 老将軍が居間でマーロウに仕事を依頼するシーンだから、葬式など無関係なのにね。

:チャンドラーの英語は次のようだ。

I sipped the drink. The old man licked his lips watching me, over and over again, drawing one lip slowly across the other with a funeral absorption, like an undertaker dry-washing his hands.

 この with a funeral absorption が訳されていないようだ。 a の存在も曲者だ。
 俺の推理では、この老人の唇の動きは、 葬儀屋が葬式で死体の唇に何か施すことに似ているのではないのかな。
 チャンドラーは、 この老人に対して死にかけた死体のような表現をよく使う 。そのつながりで葬儀屋が出てきているのでは。

A氏 :なるほど、君が原書を買うのは、読むのでなく、そういう推理を楽しむためか。

:いや、 シドニー・シェルダン の原書は、英語で読むために買うんだがね。
 理由は、中学生程度の英語で読めるし、ペーパーブックのほうが安くて軽いから電車でもよめるからね。
 しかし、 チャンドラーの原書は、表現がこのようにひねってあるので、図らずも推理用になってしまっている
 英語は簡単だが、意味が深い。翻訳者泣かせか、それとも、やりがいのある翻訳か。村上春樹氏のチャンドラーの翻訳の挑戦も分かる気がする。

 しかし、「大いなる眠り」は村上氏の翻訳は期待できないので、チャンドラーの長編同様、俺の長い知的ミステリィー街道になりそうだ。暴力シーンはないが。






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Last updated  2006.08.02 16:44:55
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