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私
: 無農薬
だから、リンゴの木は虫だらけになる。
リンゴの実らないリンゴ畑を4年、5年と朝から晩まで虫取り、雑草取りで世話
をする。
周囲から見れば、 狂気の沙汰
だ。
収入がなくなるから、 家族が貧乏で苦労
するようになる。
農作業の出来ない冬場は東京に出稼ぎに行く。
無農薬で6年目の1985年
となった。
リンゴの木は弱って枯れそうになり出す。
あるとき、木村氏は、 一人、リンゴの木たちに話しかける
。
「 ごめんなさい。枯れないでください
」と。
後に分かるのだが、途中、枯れたリンゴの木に、共通していたのは、
声を掛けなかったリンゴの木
であったという。
A氏 :植物は人の気持ちが分かるそうだね。
私
: 悪戦苦闘の中
で、リンゴの木が枯れ始めていたと同じように、 木村氏も枯れ始めていた。
1985年の7月31日の夜。
自殺
を考えて、岩木山に登る。
そのとき、彼は、 山中に立派なドングリの木
を見る。
虫も病気も山のドングリの木を襲う。
条件は、リンゴ畑と同じだ。
しかし、 農薬なしで立派に育っている
。
彼が、そのとき、 木の下の踏んだ地面
はふかふかして、 土が違う
ことに気がつく。
土に目が行く。
A氏
:今まで、 土から上の木
のことばかり考えていたんだね。
自殺を覚悟
するほど窮して、通じたんだね。
「 窮すれば、通ず
」だね。
私
: 人工の肥料で木を育てるから、
木が弱る。
木が弱いから、虫や病菌が来る
。
自然の木は、強いから、農薬なしでも育つ。
このドングリの木の下の土と自分のリンゴ園の土を比較すると、 リンゴ園の土は固く、いわゆる「土の匂い」もない。
リンゴの根を見たら、 短く太さも張りもない
。
リンゴの木のために、自然の雑草を刈っていたが、 雑草は、よい土を作るには必要
だったということだね。
A氏
:なるほど、 化学肥料
であれ、 堆肥
であれ、 人間が施す栄養分
は一時的にしか効かない。
だから、毎年、やらないといけない。
しかし、 そうやって育てたリンゴの木
は、 過保護
の子どものように、 必要な養分を求めて土中に根を張る努力をしなくなる
、ということか。
雑草には自然の摂理としての役割
があったんだね。
私
:自然の山の土は、 土中の温度
は変わらないが 、リンゴ畑の土は10センチ単位で温度が低くなる。
微生物
がすくないからだろうね。
農薬
が微生物を殺したんだろうね。
この木村氏の自覚した視点は、 虫の詳細な観察
となる。
A氏
:本来、自然の中には 害虫
も 益虫
もないわけだね。
虫好きの 養老孟司
氏などは、喜ぶリンゴ畑だろうがね。
人間の思い通りにしようとすると自然の摂理を無視することになる。
「 脳化
」だね。
「かけがえのない」
ものとどう付き合うかが、問題だね。
私:
農薬を使うと、 リンゴの木が虫や病気と戦う力
を衰えさせる。
農薬を使っていると人間は、 木の病気や虫をよく知らなくなる。
無農薬を始めたときに、 800本あったリンゴの木は半分枯れたが 、残りの木は土の改良を思いついた時点から、 次第に木が強くなる。
明日は、木村氏の 無農薬のリンゴ畑の状態 の話に移ろう。
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