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15.芸術家
芳恵 は結婚が遅れ、 スナックを経営して繁盛 していた。 客の中には結婚を申し込む男 もいたが 勝ち気な芳恵は相手にしなかった 。 3年前の夏 、 近くの温泉旅館に逗留している小説家を自称する峰村という五十年配の男 がよく 店に姿を見せる ようになった。そのうち、 峰村はアパートに移った 。その頃から 芳恵がそのアパートに出入り するようになる。ところが、 三ヵ月ほどして、芳恵の店は閉ざされ、二人はいなくなった 。 芳恵の姉 が調べたら 家と店の権利を処分し銀行預金もすべて引き出してあった 。 失踪事件として警察が動いたが峰村は偽名 であった。それから 三年経った 。 近所の旅館の支配人 が 出張先の別の温泉にある料理店で働いている芳恵を発見 する。その知らせで 芳恵の従兄の耕介 は その温泉地まで芳恵に会いに行く 。 峰村は芳恵にカネをもらい 、 小説を出版社に渡すため東京に行ったといって一緒に いない。 小説が出版されたら金はかえしてくれる という。 芳恵 は 峰村が迎えに来てくれるまでここで働いて待っている という。 芳恵 には、 男を疑っている風情は微塵もない 。 耕介は仕方なく無言でコップを傾けた 。
16.カフエー→煙管屋
この話の出だしは、 敷島という昔の煙草を吸った事 で、 少年時代の近所の煙草屋の家族の話に移る のだが、今回はこの話に「 俺の父 の 煙草」に想像をかきたてられ 、以下、俺が「 天に遊ぶ 」ことにする。
俺の父は煙管の先に刻み煙草を詰め 、 煙草盆にある炭火 で 火 をつけていたように思う。 仕事が終わるとうまそうに吸っていた 。 煙管 はある程度吸うと つまる らしく、 煙管を掃除する専門の煙管屋 があった。 親父に頼まれ、少年の俺は煙管をもって、煙管屋によく行った 。そこはたしか、 長屋の隅 で 入口に小さな窓 があり、そこで 煙管屋の親父 に 煙管 を渡し、 修理が終わる とまた、そこで受け取った。 煙管屋の親父の息子 は 俺と小学校同級 で、一緒に遊んだことがある。 アダ名はキセルヤ だったと思う。
煙管屋の親父 も 近所の俺の家族のことを知っていて、子どもたち見る眼は息子を見る時のように優しかったという記憶 がある。 煙管の掃除だけではあまり稼ぎにはならなかった と思うが、 煙管屋の親父には貧乏臭さ はなかった。
「煙管屋」で、昭和はじめの平和な地方都市の庶民の「天に遊んだ」。
「 天に遊ぶ 」には、後、 五作品 あるが、あまり俺にとって「 天に遊ぶ 」ほどでないので、これで終りとする。