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私 :このコラムはもう一人、「 認められても、条文化は不要 」と題して 橋爪大三郎氏(社会学者)のオピニオン が掲載されているが、 弁護士の中野明安氏 の「 災害対策、理由にする危うさ 」というオ ピニオン がわかりやすいのでこれをまとめておきたい。
A 氏 :現実に 熊本地震で緊急事態が起きている ね。
私 : 中野 氏は、 憲法に国家緊急権を創設することには反対 で、 災害対策に必要という意見 があるが、 不要などころか有害ですらある という。
大災害時 に 内閣に権限を集中させる措置 は、 現行法 にすでに盛り込まれていて、 災害対策基本法 では 首相は災害緊急事態を布告 し、 物資の流通制限や、価格統制 をできる。
大規模地震対策特別措置法 では 地方公共団体への指示 、 警察法 では 警察の一時的な統制 、 自衛隊法 では 部隊などの派遣 を要請できる。
A 氏 :現に 自衛隊は自衛隊法で熊本に派遣されている ね。
私 : 立ち入り禁止区域の設定や、建物の除去 のも 現行法ですでに都道府県知事ができることになっており 、 日本弁護士連合会が行った被災自治体への調査 では、 むしろ国から自治体に権限を委譲してもらいたいという声が圧倒的に多かった という。
A 氏 :こうした 法律 には、 災害時 とはいえ、 憲法が保障する国民の権利を制約する性格があり、憲法違反にならないよう整備されてきた 。
医療や建設の関係者が災害対応にあたる「従事命令 」も、 憲法の禁ずる「苦役」とならないよう検討された上で定められている という。
私 :そもそも 国家緊急権 とは、 国家の存立を維持するために憲法秩序を一時停止 するもので、これは 国家権力の乱用を防ぐ立憲主義 と、 憲法が保障する国民の自由や権利の観点から大きな問題がある と 中野 氏はいう。
多くの国の憲法に国家緊急権が明示されている のに、 日本国憲法にないのはおかしいと主張する人 もいるが、 日本は戦前に憲法上の非常措置が乱用された反省 から あえて外したのだという憲法制定の経緯 を忘れるべきではないと 中野 氏はいう。
A 氏 : 戦前のドイツ で、 民主的なワイマール憲法に国家緊急権が盛り込まれた末 、 ヒトラーの独裁 が進んだ 重い教訓 もあるね。
私 : テロ対策 も、 災害対策も、感染症対策も、現在の法律で対応できる 。
特別法 が必要になるかもしれないが、 国家緊急権 がなければ対応できないという話ではないと 中野 氏は 指摘 する。
国家緊急権があれば大丈夫だ と思うこと、 そう思わせてしまうことは、危険 で、 熊本地震への対応でもその必要性は見当たらない ばかりか、 内閣からの指示が現地の状況とそぐわない弊害すら出ている 。
災害対策を口実に持ち出されること には、 怒りすら覚える と 中野氏は厳しく批判 しているね。