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私 : ロバート・パットナム 氏は、 著書「孤独なボウリング」 で 米コミュニティーの崩壊 を描くなど、 米社会研究を続ける社会学者 。
米社会の分断 が深まっていて、 米国の深層 で何が起こっているのかを パットナム 氏にインタビューしている。
A 氏 : トランプ現象がこの問題をクローズアップ したね。
私 : トランプ氏の支持層の特徴 は、 2つ あり、 一つは低学歴、低所得層で、特に男性、さらに、白人男性に顕著 で、これは、 米国内の製造業の衰え などに伴い、 こうした労働者階級 の白人男性たちの厳しい状況は20~30年前から始まっていた が、 社会の成功者たちが、苦しむ人たちの問題に向き合ってこなかったのは事実 だという。
もう一つの特徴 は、 社会的なつながりが少ない人たち だということで、 過去、米社会で様々な階層や人種を結びつけてきた宗教関連団体やボウリングクラブ といった社会的組織が弱体化 し、 (人々のつながり度合いを示す)「社会関係資本」が低下 していて、 社会関係資本が欠乏した地域であるほどトランプ氏支持が強い傾向 が 米メディアで指摘 された。
1930年代のヒトラーのドイツ においても、 この二つの要因が指摘されている という。
A 氏 : 社会関係資本が欠乏 すると、 社会的なつながりがなくなる ので、 人は孤立し、他人への寛大さや、他人と自分が平等だという意識、さらには政治的に協力する姿勢が低下 すし、 社会的な孤立や不満は乾燥した草原のようなもので、雷が落ちると、あっという間に炎が広がる 。
トランプ氏が特に危険 なのは、 不満や怒り を集めていることだけでなく、 その怒りをメキシコ 人やイスラム教徒、女性といった特定のスケープゴートに向けていること だ。
私 : 社会的に孤立している市民は、通常の状況では政治的安定にほとんど脅威を与えない。危険があったとしても、集団の無関心によって沈静化されるため 。
しかし、 経済的や国際的な圧力が高まれば、こうした集団が不安定で、両極の反民主的な扇動家の操作を受けやすいことが証明されるかもしれない と、 パットナム 氏は、 選挙前から、今の事態の発生を懸念していた という。
A 氏 : 米国人は結果の均等よりも機会の均等を重視し、経済格差を気にしていなかったが、今はその機会の均等が失われ、子供にそれが出ている という。
私 : 貧しい人は貧しい人と結婚し、貧しい地域に住み、その影響が子供に表れている という。
貧困家庭の子供に社会が投資しないことで、米国の損失は5兆ドルに達すると試算 され、 格差の拡大は米社会に経済的損失をもたらす という。
予算の節約 で 教育投資を渋る と、 犯罪率は上がり、結果的には警察や刑務所に、削ったよりも多くの予算を割かなければならない 。
A氏:ISのテロに参加する若者が出るかもしれない。
私:裕福な家庭より貧困な家庭の子供の方が肥満率が高く、糖尿病
や心臓病
にもかかりやすいという統計
もあり、
医療にもお金がかかり、保険の費用も高騰し、その負担は社会全体で負わなければならない。
このブログでふれた
「世界の99%を貧困にする経済」
で, スティグリッツ教授
も 米国国民
の 大きな経済的な不平等
は 結果的に米国経済によくない
と言っているね。
A 氏 : 格差の拡大 がこのまま進むと、 米国は格差が固定されたカースト社会 になってしまい、 全国民が平等であるという米国の根幹 を揺るがし、 政治システムの倫理性 が問われる。
私 : 米社会 は「 私たち」の社会 から「 私」の社会 に 移行 していて、 その変化によるメリット は 他人との違いに寛容 になり、 他の宗教の人や、同性愛者も受け入れる ようになったが、 社会全体で子供を育てるという意識がなくなったという点は問題 だと、 パットナム 氏は指摘。
A 氏 : 米国の将来の格差問題 について、 パットナム 氏 は、 米国が以前、同様の経験をしているため、楽観的 だという。
19世紀の終わりごろ は 経済格差が非常に大きく、政治も腐敗していた が、 20世紀初頭 にかけて、 ニューヨークの貧困層に注目 し、 多くの人が、このような極貧が存在する社会には住みたくないと考え、改善を求める政治運動につながった 。
私 : 当時の政治運動がもたらした大きな改革は、無償の高校教育の全米での導入 。
結果的に米国の労働人口の教育水準が上がり、20世紀を通じて経済成長にもつながった。
それは 富裕層や貧困層だけでなく、すべての米国民にとって受益をもたらした 。
無償の高校教育に相当する現代の改革が何であるかはまだ分からない が、 社会関係資本の低下や格差拡大という傾向を逆転させることができるのは間違いない と パットナム 氏はいう。
大統領選でトランプ氏が敗れ、クリントン氏が勝利 しても、 民主党内で格差是正を唱えて、若者の支持を多く集めてきたバーニー・サンダース氏の影響 は大きいだろうね。
新大統領で、米国
は パットナム
氏が期待する「 社会関係資本の低下や格差拡大という傾向を逆転させる」
ことができるだろうか。