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リモコンを読みました。本作はボーカロイドの楽曲が元になったボカロ小説です。原曲はアップテンポでノリが良く、中毒性の高さが人気ですね。【中古】 リモコン /石沢克宜(著者),じーざすP(その他),グライダー(その他) 【中古】afb【あらすじ】「あたし」はクラスの人間関係やら勉強やら、面倒な現実にうんざりしている女子中学生。そんな彼女もネットゲーム「アーケード」の中では上位ランカーの「トランスミッター」として活躍しています。アーケードの中には頼りになる相棒や手ごわいライバルがいて、現実よりもずっと充実した時間を過ごしていました。そんなある日、アーケードの中でテロ事件が発生します。大好きな世界を守るため、トランスミッターは仲間たちとテロリストの捜索に乗り出すのでした。【笑える中にシリアスあり】本作は原曲同様アッパーなノリで展開していきます。我々昭和生まれのゲーマーはクスっと笑ってしまうようなネタが満載で、もれなくアガります。それでいて所々ちょっぴりシリアスなのが味わい深い。面倒なことばかりでいまいち気力がわかない「あたし」。ですがアーケードを守りたいという想いから、ネット世界では精力的に調査をしていきます。ネット世界を扱った作品では結局現実世界を大事にしないとねみたいな展開をよく見かけますが、本作はそうしたきれいごとを言わないので良いですね。楽しくて自尊心を保てる空間に身を置きたいと思うのは至極当然のことだと思います。苦労を乗り越えないと成長できないみたいな苦労信奉は、吾輩はあまり好みません。生きていれば嫌でも苦労をすることになります。その時に学べることを学ぼうとするくらいで十分な気がするのですが。ネット廃人という言葉があるように、ネット世界から帰ってこなくなる人がいるのも事実です。ですが別の世界で英気を養い、現実世界に再び立ち向かっていける人がいるのもまた事実だと思います。仮想の世界ではありますが、自分の好きなこの世界を守りたいという「あたし」の気持ちは素直に共感できて、応援してしまいました。懐かしネタありお笑いあり、そしてシリアスありのバラエティ豊かな作品です。原曲を知らなくても楽しめますので、皆さんもぜひ手に取ってみてください。原曲はこちら(YouTube)。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2019.09.01
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ボーカロイドの人気曲ハッピーシンセサイザを元にしたボカロ小説です。ボカロ要素はゼロなので、原曲を知らない人でも楽しめる作品です。ハッピーシンセサイザ [ EasyPop ]【あらすじ】蒔田葵(まきた あおい)は名門校へ通う女子高生。優秀な姉にコンプレックスを感じていて何をやっても長続きせず、乙女向けリズムゲームで時間を潰す日々を送っていました。そんなある日、さびれたゲームセンターでダンスゲームを踊っている少女東雲古桃里(しののめ ことり)に出会いました。同じ曲が好きということで少しずつ打ち解けてきた二人。ゲームのイベントがきっかけでクリエイター集団「フライング・プラットフォーム」の発起人三条一羽(さんじょう かずは)と知り合いになり、葵と古桃里は一緒にダンスを始めることになりました。【青春要素満載!】※ネタバレあり本作は友情、夢、恋愛と、青春要素が盛りだくさんでした。特に夢については深く描かれていました。夢を追う楽しさ、夢では食っていけないという現実、夢に押しつぶされてしまう人など、夢の光と影をきちんと表現していると思います。「アオコト」というユニット名でネットに動画を投稿するようになった二人。やがてコンテストで優勝し、プロダクションから声がかかりました。ですが葵は自分と古桃里の才能の差に気がついてしまいます。自分と一緒に踊っていたら古桃里の足を引っ張ってしまう。そう感じた葵は自分が汚れ役になって古桃里をつき離し、彼女にダンスを続けさせました。ただの仲良しではなく、相手にとって本当に必要なことを感じ取り、伝えることが大事だと感じました。そしてそうした相手の気持ちを汲み取ることができるか。双方が想い合うことができたら、それは最高のパートナーなのだと思いました。何となく疎遠になったまま二人は卒業していきました。古桃里のためとはいえ、葵の心には嫌われるようなことを言ったことが引っかかっていました。奇しくも10年後に仕事で再会し、心のわだかまりが溶けていきます。そしてくっつきそうでくっつかなかった一羽との仲も少し進展しそうなムードを残して物語は終わります。こうした救いのあるストーリーは読んでいてほっとしますね。【大団円の形】物語の結末は色々あると思いますが「全てを手に入れる」といったハッピーエンドは少ないように思います。おそらく現実離れしすぎて共感が得られないのかもしれません。得たもの得られなかったもの、その全てが輝くような終わり方がいいのかなと思いました。本作でも葵は古桃里と一緒にプロのダンサーになることはありませんでした。また、一羽への淡い気持ちも成就するどころか伝えることすらなく卒業してしまいます。ですが再会して葵も救われたように思います。物語をあまりにも現実離れさせず、それでいて希望をふりかけるのが話作りには重要なのかなと感じました。【圧巻の構成】本作は作者が脚本家なだけに、構成がすばらしいと思いました。文章がすごくきれいで、比喩がくどくないのによく状況を表現していると思いました。また随所に事件(イベント)を配置することで物語に緩急をつけ、最後まで読者を飽きさせない構成でした。これほどきれいにまとめた作品は少ないと思います。さすがはプロの犯行だ(笑)。原曲が好きだったので何気なく手に取った作品でしたが、予想りもずっと楽しめました。皆さんもぜひ手に取ってみてください。【関連作品】ハッピーシンセサイザの原曲です。こちら(YouTube)。ハッピーシンセサイザの収録された2作をご紹介です。(V.A.)/VOCALOID BEST from ニコニコ動画[あか] 【CD】紹介記事はこちら。【中古】アニメ系CD EXIT TUNES PRESENTS Vocalonation feat.初音ミク紹介記事はこちら。ゲームにも収録されています。PVの振り付けもかわいらしくしあがっています。【中古】セガゲームス初音ミク Project mirai でらっくす【3DS】【291-ud】紹介記事はこちら。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2018.08.05
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一時期タケノコのように出まくっていたボカロ小説も一段落した感があります。そんな中数あるボカロ楽曲の中でも屈指の名曲、からくりピエロが小説化されました。本作は作者である40mP自身が小説化しています。からくりピエロ/40mP【2500円以上送料無料】【あらすじ】藍山美紅(あおやま みく)は高校1年生。ひょんなことから美術部に入ることになりました。そこで口数は少ないが真剣に絵を勉強している先輩月島悠人(つきしま ゆうと)に恋をします。勇気を振り絞って想いを伝えるものの「あと1年、待ってほしい」と言われます。なぜあと1年なのか? 悠人も真意は?彼の気持ちを知りたいと思った美紅は悠人を呼び出すが……【しっとりとした名作】昭和世代の吾輩はシンパシーを感じた作品でした。世界がひっくり返るような事件はなく、異世界から美少女がやってくるわけでもありません。普通の高校生の、実際にありそうな恋愛を描いた作品です。地味と言えば地味ですが、奇抜な設定に頼らずにオーソドックスなものをきちんと描いた作品であると思います。【控えめながら丁寧な仕上がり】※ネタバレありです。序盤は奥手な二人の仲が中々進展せず、大丈夫かなと思うほどゆっくりペースでした。ですが美紅が悠人と待ち合わせする辺りから、静かな流れはそのままに上手に盛り上がっていったと思います。2時間待ってからめでたく出会えるのかと思ったのが甘かったです。そこからさらにもう一捻りあって、最後まで一気に読んでしまいました。悠人のような人は、その優しさゆえに誤解されたり、かえって他人を傷つけてしまう部分はあると思います。その辺が不器用ということなのでしょうが、良い友人に恵まれてフォローしてもらえたのは彼がいい人だからでしょうか。個人的には金環日食を二人で見に行かなかったのがすごく良かったです。美紅は悠人の心に忘れられない人がいることを知ってもなお「先輩が好き」という気持ちに素直でした。その一方で悠人の気持ちも理解し、束縛するようなことをしないのが大変良かったですね。相手が心安らかになるのなら、自分の要望をコントロールできることを愛情というのだと思います。吾輩はこの辺が琴線に触れました。前述したように、本作は控えめで静かな作品であると思います。しかし、それゆえに人物の心の動きや掛け合いをじっくりと味わうことができるように感じました。40mP自身も特に思い入れの深い曲であると言っていたからくりピエロ。丁寧に紡がれた物語にぜひ触れてみてください。からくりピエロ/40mP【2500円以上送料無料】原曲も聴いてみてください(YouTubeへ飛びます)。 →こちら。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2017.10.01
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先ほど日記を書いて一息ついていたら、Twitterで衝撃発見。からくりピエロが小説になるんですね。しかも40mPさん直々の執筆!ただいま興奮しすぎて眠くなりません。明日用があるのに(笑)。とにかく昂ぶりを抑えるため、モンスターハンターで注意を逸らすか(笑)。〔予約〕からくりピエロ /40mP/クリプトン・フューチャー・メディア株式会社【2500円以上送料無料】小説版からくりピエロは2017年9月1日発売です。ミク10周年の翌日です。40mPやからくりピエロが好きな方、ぜひチェックしてみてください。ちなみに、吾輩は既に予約済みです(笑)。よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2017.08.13
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リンちゃんへの愛(妄想)がほとばしった迷曲リンちゃんなう!。今回はその小説版の第二弾です。送料無料/リンちゃんなう!SSs(ショートストーリーズ) 2/sezu/ガルナ止まらない! って言われても(笑)。全編に漂う愛がハンパないです。【全話レビューなう!】リンちゃんの妹になりたい。最初からぶっちぎってます。「リンちゃん性の違い」って言われても(笑)。何をするにもワンテンポ遅く、中々クラスにとけ込めない女子中学生「ぼく」。そんな彼女の味方で、お姉さんみたいな存在だったリン。ある日Twitterを始めたぼく。アカウント名を「リンちゃん愛し隊1号」にしたところ、2号を名乗る人物からフォローされました。意気投合した二人は友だちになります。はたして2号は何者なのか?不器用なぼくが一歩踏み出していく、そんな物語です。リンちゃんと一緒に、どこかに潜んだボーカロイドを探したい。舞台は仮想世界「にゃっぽん」。「僕」はそんな世界の住人です。当然みんな現実世界からログインしてくるわけですが、最近妙な噂が流れます。現実世界に実態を持たない存在「ボーカロイド」が紛れ込んでいる、と。住民たちの不安を解消するため、僕はリンから「スクリプトを教えて」と頼まれます。はたして町に潜んだボーカロイドは発見できるのでしょうか? そしてリンちゃんがにゃっぽんを守ろうとする想いとは?SFなテイストのお話でした。リンちゃんのパクリ疑惑を払拭したい。歌うだけでなく作曲もしたいと言い出したリンちゃん。しかし一生懸命作った曲が、他事務所のボーカロイドが作った曲と全く同じになってしまいました。パクリ疑惑を払拭するために、僕はリン・レンと一緒に捜査を開始するのでした。テトなども登場して、バラエティ豊かな一話です。リンちゃんに、いつもそばにいてほしい。天才少女と言われた巡音ルカ。進むべき道に迷っていた時背中を押してくれたリンちゃんに恩返しがしたいと考えた所までは良かったのですが、それがとんでもない事態を引き起こしてしまいました。仮想世界とくっついてしまった学校を元に戻すべく、勇者リンは進む! 手に持つ武器は……え? リモコン? そしてラスボスはあの人?素直すぎるリンちゃんの姿が、我々ただれきった大人には痛いものがありました。ですが、いつまでたっても「友だちを思う気持ち」っていいものだなあと思いました。エピローグ/プロローグ文字どおりエピローグであり、同時にプロローグであります。なるほどそういう風につながるのかと思い、楽しかったです。こうした細かい所でピリッと魅せてくれるのはいいですね。【技巧の冴えを見よ!】正直なところ、リンちゃんへの愛は前作で出尽くしたんじゃないかと思ってました。それがこうした新たな形で再び作品化するのは驚きでした。愛はあらゆる障害を越えるんですね(笑)。sezuさんのストーリー展開はとても技量が高いと感じました。各話直球で勝負しつつも展開はひと捻りされていて、適度などんでん返しが楽しめます。びっくりするほどの超展開ではないものの「あっ、なるほど!」という小気味よい味わいがあります。家に帰ったら戸棚に好きなお菓子が置いてあったくらいの、ささやかだけど幸福感の高い物語だと思います。そんなリンちゃんのストーリーに、みなさんも癒されてみてください。新品はこちら。送料無料/リンちゃんなう!SSs(ショートストーリーズ) 2/sezu/ガルナ中古はこちら。【中古】ライトノベル(その他) リンちゃんなう! SSs(2) / sezu/監修:ガルナ(オワタP)【02P03Sep16】【画】【中古】afbよかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2016.09.27
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ボーカロイドの人気曲インビジブルの小説版です。ポップな曲の中に深みのある歌詞、そんな原曲をどうアレンジするのでしょうか。さっそくご紹介しましょうルンパッパ!インビジブル [ KEMU VOXX ]【とんでもない現象】主人公嶋草平(しま そうへい)はもの静かなどこにでもいる高校生。コミュニケーションが苦手で、悪気はなくてもそっけない対応をしてしまうことが多いため、クラスでも孤立していました。クラスではそんな彼をいじめるのが習慣になっていて、草平は愉快とは言えない学生生活を送っていました。両親のいない彼は叔母と一緒に暮らしているのですが、彼女ともしっくりいかない日々。何もかもがうまくいかない日常。いつしか草平は、自分がいなくなれば全てがうまくいくのではないかと思うようになっていきます。そんなある日、草平は誰からも「気づかれなく」なってしまいました。鏡にすら映らない自分。彼は透明人間になってしまったのです。途方にくれる草平は廃ビル群の並ぶ奇妙な世界に迷い込んで行きました。そこの住人は草平が見えるし話すこともできました。彼らによるとここは「透明街」。透明人間が暮らす街だと教えられます。何をするのも自由。ひどいことをする者もいない。そんな透明街は楽園なのでしょうか。それとも……【作者さんの粋なシチュエイション】現在、世にボカロ小説が溢れかえっていますね。原曲の作者さんが直接書いている作品は安心して読めるのですが、他の作家さんが書いた小説だとちょっと違和感を感じてしまうことがあります。ですが本作は全く違和感なく曲のイメージを捉えていると思います。作者さんはボーカロイドの曲をあまり聴いたことがなかったそうですが、本作を書くにあたって聴いてみたとのことです。にもかかわらずあの再現度はすごい。原曲の歌詞を反映したシチュエイションが満載です。そして物語を展開させて、大変上手にたたんでいると思います。透明街が出てきた辺りからこの物語をどうやって収束させるんだろうと気になりながら読んでいたのですが、なるほどこうきたかという着地が鮮やかでした。それでいて「『インビジブル』のオリジナルは楽曲であり、そして音楽の解釈とは聴く者の数だけあるのが自然です」と語り、本作を「支流のひとつ」と言い切るのが大変粋でした。プロは違うんだなあと思いました。【ごめんね それでも 端っこでいいから座らせて】※ネタバレありです。辛さを抱え「消えてしまいたい」と願った人たちが透明人間となって暮らす街、透明街。透明街はあったほうがいいのか、無くなってしまったほうがいいのか。吾輩は「無くても生きて行ける人にとっては無い方がいい」と思います。人間は苦難、困難、辛さを乗り越えて成長していくものですから。ですが世の中には、とても耐え切れないような辛さも存在します。心がいっぱいいっぱいでどうしようもなくなってしまった人たちの避難場所として、透明街は必要だったのではないかと思います。確かに苦難へ立ち向かうことは必要ですし、逃げ場があれば易きに流れるのが人というものです。でも「もうがんばれない」人たちが逃げ込める場所があってもいいじゃないかと思います。その人たちは彼らなりに「がんばった」んだから。本書を読んだ後、そんなことをずっと考えていました。まあきっぱりと答えが出ないということは、まだ吾輩は透明人間にはなれないみたいですルンパッパ(笑)。新品はこちら。インビジブル [ KEMU VOXX ]中古はこちら。【中古】インビジブル / Kemu Voxxよかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2016.09.04
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初音ミク初期の名曲えれくとりっく・えんじぇぅの小説版が満を持して登場です。元々曲が好きだったので軽い気持ちで買ったのですが、予想をはるかに超えた良作でした。えれくとりっく・えんじぇぅ価格:1296円(税込、送料別) (2016/7/19時点)【あらすじ】主人公の緑上ミク(みどりがみ みく)は、バーチャルアイドル「ミカリ」のいわゆる「中の人」を演じる新人声優。ミカリの人気がうなぎのぼりなのはいいのですが、肝心の声優業は今ひとつ……声を当てるのが声優本来の仕事であると考えているミクにとって、歌手のごとき中の人生活はもやもやするばかり。ある日声優としてインディーズデビューが決まり大喜びしたのも束の間、次から次へとトラブルが起こってしまい……ミクは無事にデビューできるのでしょうか?そんな新人声優ミクの成長物語であります。【キャラメイクがすごい!】ミクを筆頭に、キャラメイクの腕前がすごいです。メインキャラとしてクリプトン6きょうだいが勢ぞろいです。さらにネル、ハク、テトといった派生キャラたちも登場していて、しかも結構いいポジションにいるのが嬉しかったです。ハクファンの吾輩としては登場してくれるだけでも嬉しかったのに、キャラも立ってて良かったです。多くの作品できょうだいとして登場するリン・レンが恋人(?)として登場するものひねりがあって面白かったですね。ボーカロイドたちを大胆にアレンジしつつも、各キャラクターの風味を損なっていない匙加減は絶妙であると思いました。【キャラデザインもすごい!】巻末にメインキャラクターのデザインイラストが載っています。ミクプライベートでは女の子っぽい服を避けていて、仕事のために仕方なく着ている。メイコスーツ姿ですが、格闘技をやっているのでヒールのある靴は履かない。カイト無難なコーディネートなんだけどだらしなく見える。ルカフェミニンな服装を好むけど男性が苦手なので、ボディラインが強調される服は着ない。レンバイクに乗るので紐靴は履かない。等など、細かい所までこだわりを感じました。特にカイトがすばらしい。どこかだらしなく見えるという、キャラがまとっている「空気感」もよく表現されていると思いました。作中の挿絵で見ても何となくだらしなく見えたし。挿絵枚数の都合上全キャラがたくさん出るわけじゃないですし、ましてや靴まで描かれることはほとんどありません。それでも手を抜かないキャラデザインは職人芸ですね。また、そうした隠れた気遣いについて読者が触れることができるといのも良いものですね。【そして展開もいい!】本書を読んだ感想は「支えてくれる人がいるのはありがたい」でした。ミクの不満も不安も受け止めた上で、はげましたりお尻を叩いてくれたメイコとカイト。家事全般でミクを支えてくれたルカ。ミクの練習につきあってくれたリン、レン。自分を応援してくれる人の好意に気づいて、感謝することができるのが大人なんだなあと思いました。その点ミクはまだまだ子どもだったけれど、少しずつ成長して、やがては苦手にしていた自分の分身ミカリとも向き合っていけるようになるという展開が良いですね。個人的に好きなセリフは、ミクが憧れている先輩声優テトの「ファンの人から『好きだ』って言われたら、素直に喜んでいいの。『頑張って』って応援されたら、頑張らなきゃいけないの。『楽しかった』って感想をもらったら、誇っていいの。それが私たち、夢を与える側の特権であり仕事なの」です。娯楽とは、無くても生きて行けるものです。その娯楽を創る人だからこそ、お客に夢を与えるために隠れた所で努力したり、無理だと思うこともチャレンジすることが必要なのだと思います。そして無くても生きて行けるものだからこそ、お客からの拍手は何よりの報酬なのではないでしょうか。吾輩も本、ゲーム、音楽や美術など、無くても生きて行けるものを愛しておりますが、テトの言葉にはそうしたものを創る人たちの矜持を感じたように思います。【大切な人に素直な感謝を】読み終えてみて、つくづく人は一人では生きていけないんだなあと感じました。人は「自分の人生に光をくれた人」のことを忘れてはいけないのだと思います。その人に直接恩を返せなかったとしても、次は自分が誰かの人生に光を与えてあげることが必要なんだと考えています。個人的にはルカがミクに対して献身的に世話を焼いてくれるようになった理由と、ルカに対してミクがサプライズで感謝を伝えるシーンはかなり泣けました。本書を外出中に読んでいたのですが、出先で結構泣いてました。職質上等です(笑)。みなさまもこれを機に「自分の人生に光をくれた人」を思い出してみてください。そして、できることなら直接感謝を伝えてみてください。えれくとりっく・えんじぇぅ価格:1296円(税込、送料別) (2016/7/19時点)よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2016.07.19
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クワガタにチョップしたらタイムスリップした 通常版/家の裏でマンボウが死んでるP/タカハシヨウ【後払いOK】【1000円以上送料無料】価格:1296円(税込、送料無料)家の裏でマンボウが死んでるPの人気曲「クワガタにチョップしたらタイムスリップした」の小説版です。楽曲の作者自らが書いただけあって、世界観や曲のテイストを損なうことなく、それでいてコミカルで読みやすく仕上がった名作であると思います。【あらすじ】主人公の淡路なつみは凄まじくドジで歯並びが悪いことを除けば、ごく普通のクワガタ大好きな女子高生。いつものドジは自分が苦労するだけなのですが、その日は仲の良いクラスメイトにも迷惑をかけてしまい落ち込んでいました。「やりなおしたいなあ……色々」とつぶやきながらペットのクワガタにチョップした途端、無機質な空、物理法則をスルーしたような町並みが目の前に広がっていました。ここは、どこ?そんなわけで、唐突に50年後の未来にタイムスリップしてしまったなつみ。途方に暮れる彼女に声をかけたのは、現代生け花みたいな髪型をした警官茂盛。なつみは彼とともに、現代に戻る方法を探すのでした。これが裏表紙。茂盛さんの髪型が壮絶です。表紙を取るとこんな感じ。細かい所まで凝っていて、さすがは講談社(笑)。【無機質な空の下でも見ていた希望を】※ネタバレありです。楽曲を知っていれば読む前からストーリーは分かっています。あらかじめ展開が分かるのにこれほど面白い作品はそう無いのではないでしょうか。曲には時間や文字数の制約がありますが、ノベルでは作者の伝えたいことがより詳しく描かれていると思います。個人的には茂盛が今のような熱血警官になったエピソードが好きでした。ドラマに出てくるような大事件に立ち向かう警官に憧れ、今の巡査生活に嫌気がさしていた頃、道行く老婆(たぶん入院前のなつみ)を道案内したシーンです。不幸は連鎖する。帰りが遅くなる、そんな程度の不幸でも家族は心配し、そのせいで寝不足になって仕事で大失敗し、その失敗で他の人にも不幸が広がって行く。一方幸福も連鎖する。警官に助けられた彼女が明るい気持ちでいれば家族の気持ちも軽くなり、その孫が元気よく挨拶すれば、学校の先生もサボりがちだった花壇への水遣りをするようになるかも……大きな平和というものは実在しない、小さな平和の集合があるだけだ。だから不幸のきっかけを防ぎ、小さな平和を守ることの大切さを知った、この理屈はかなり同感であります。人知れず行う小さな親切や気配り。例え誰にも気づかれなかったとしても、必ずどこかでつながっていると思います。本編と直接関係ありませんが、未来の車は50cmほど空に浮いています。もっと高く飛んでるのかと思ったと言うなつみに対し、茂盛さんが「空には夢があったが、秩序がなかったのだ」というセリフが好きです。曲の中にもない描写だしそれ以上解説がないのですが、示唆に富んだ一言だと思います。そしてクライマックスでは余命いくばくもない50年後の自分に対面します。彼女からこれから起こることを聞けば、これからの人生ドジをせずに過ごせるでしょう。今日死ぬ運命すら変わるでしょう。でも50年後のなつみはそれをさせませんでした。ドジだからこそ、多くの人に支えてもらっていることに気づくことができる。より深く相手に感謝することができる。それは反省しなくていいわけでも、後悔しなくていいわけでもない。失敗してもそれを受け止めて戦い続けろということ。苦しんで大きくなるということ。多くのことを学び、なつみは現代に帰って来るのでした。吾輩も医療・福祉の仕事をしていると、色々な方の終末に触れることがあります。つくずく、人生を生ききることの難しさと尊さを感じたりするものであります。「大丈夫。私はちゃんと、幸せだから」。最後にこんな言葉が言える人生にしたいものです。基本的には肩の力を抜いて、笑って読める話です。それでいて人生の妙味も感じられる良著であると思います。みなさんもうっかりクワガタにチョップしないようにお気をつけて(笑)。クワガタにチョップしたらタイムスリップした 通常版/家の裏でマンボウが死んでるP/タカハシヨウ【後払いOK】【1000円以上送料無料】特装版はこちら。送料無料/クワガタにチョップしたらタイムスリップした 特装版/家の裏でマンボウが死んでるP/タカハシヨウよかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2016.05.03
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リンちゃんなう!SSs [ sezu ]価格:1,296円(税込、送料込)ボーカロイド史に燦然と輝く迷曲リンちゃんなう!。初めて聴いた時は「リンちゃんなう」しか聞き取れず、歌詞カードを見たら転げ回って笑ったのを覚えています。リンちゃんがpixivで「鏡音リン R-18」と検索をかけるのを、全力で阻止したいが笑いました。本書はそんなリンちゃんなう!の小説版です。色々な表情を見せるリンちゃんを描いた短編集です。【全編レビューなう!】プロローグこれほど上手いプロローグはそう無いのではないでしょうか。最初読むと置き去りにされた感がありますが、読み終わってからまた読むと「そういうことか!」と叫べます。やられました。実体化したリンちゃんと一緒に曲を作りたい。主人公はボーカロイドで作曲しているものの、ほとんど無名のボカロP。そんな彼の元に実体化したリンちゃんが現れた!この時点で普通についてこられるあなたはもう術中にはまっています。科学の限界を超えて実体化したリンちゃんと一緒に曲作りに奮闘する中、ネガティブだった主人公も少しずつ前向きになっていく過程がいいですね。素直じゃないリンちゃんの心を、手料理で溶かしたい。主人公はネットで活躍している歌い手「べる」に憧れる貧乏学生。料理が上手なのが幸いし、大家さん宅の料理番をするかわりに家賃を免除していもらうことに。そんな大家さんの娘リンがなんと「べる」だったことを知る。でもリンは「リアルとネットは分けてるの!」と迷惑そう。現実世界では人間関係が下手で悩み、意地を張っていたリンを手助けしたい。主人公との二人三脚が微笑ましいです。転校してきた鏡音さんの歌声を独り占めしたい。転校生鏡音リンは一言も喋らず、スケッチブックで筆談していました。声が出ないのかと思っていたら、ひょんなことから実は喋れることを主人公は知ってしまいます。前の学校で辛いことがあったのだろうと深く詮索しなかった主人公ですが、予想を超えた事情があったのでした。ボーカロイドたちが学生役で普通に登場しながらも自然に調和しているのがすばらしい。個人的には一番好きなエピソードです。リンちゃんを全国的な魔法少女に仕立て上げたい。ボーカロイドが発展したアンドロイドが普通にいる世界。科学者の主人公はリンのメンテナンスを担当しています。ある日リンは魔法少女に興味を持ち始めます。リンが勝手に応募した「魔法少女をプロデュースする企画」が採用されてしまい、リンを魔法少女にすべく頭をひねることになるのでした。コミカルなノリと実は臨場感のある戦闘シーンが見所です。Project DIVA Fでリンちゃんを救いたい。「実体化したリンちゃんと一緒に曲を作りたい」の続きです。ある日突然、主人公以外の全員がリンの存在を忘れてしまいました。二次元世界の奥に沈んでしまったリンを救うため、クリプトンのきょうだいたちとともにProject DIVA Fのクリアを目指します。終盤のシリアスさは読み応えありです。様々な表情を見せるリン。そのどれもが鏡音リンであり、その全てを受け止める気持ち、そう言える世界を守っていくことが「リンちゃんが好き」ということなのかなと思いました。この辺の広い愛には胸が熱くなりました。リンちゃんなう!のPVを表現した文章力が秀逸です。PVが頭に思い浮かびました。エピローグ「実体化したリンちゃんと一緒に曲を作りたい」「Project DIVA Fでリンちゃんを救いたい」の後日談です。エピローグも手を抜いていません。リンが実態化した時は高校生だった主人公も就活する歳になりました。歳を取らないリンは「成長するっていいな」と言いました。でもリンも成長していると主人公は伝えます。創作活動の輪の中でイメージが広がり続ける。これがボーカロイドの成長なのだと。キーボードやギターが無くならないように、その音が好きな人がいる限りずっと使われ続ける。それが楽器としてのボーカロイドの良さだというあたりはとても美しいと思いました。【ボカロ検定?】本書にはボーカロイドたちが登場人物としてたくさん登場します。吾輩はクリプトン6きょうだい以外は疎くて、がくぽ、GUMI、MAYUはギリギリ分かりますが、他はちょっと分かりませんでした。奥が深いですね。他にも随所にボーカロイドや楽曲のネタが散りばめられています。みなさんはいくつ分かります?【質実剛健の文章も注目】著者のsezuさんの文章力も見逃せない点です。プロローグで顕著に感じますが、謎を上手に隠して後から「そうだったのか!」と言わせる手腕はすごいと思います。良い意味で読者を煙に巻く技量は秀逸です。エピソードごとにリンのキャラの口調を変えるのは元より、少しずつ作品を取り巻く雰囲気が違うのも文章が上手いと思いました。【ボーカロイドに思う】本書をリンちゃん萌え萌え小説と思って手に取った方は見事に肩透かしかもしれません。吾輩も気楽なお笑い小説かと思っていましたが、予想をはるかに超えて楽しめました。様々なキャラクター像を受け止められるプラットフォームの広さもボーカロイドの魅力であると思います。吾輩の世代は初期のドラクエに熱を上げた世代でした。あの頃はカッチリとイメージを表現したキャラクターは少なく、その分「きっとこいつはこんなキャラなんだぜ」と想像して楽しんだものです。今は音信不通になってしまった友人がゲームの魅力は「ボタンを押すとマリオがジャンプするからだ」と言っていました。受け手が作品に関わっていけるのがゲームの醍醐味なのだと思いました。本書を読んで思いましたが、例え妄想でも貫き通せば商品になるんだなあと思いました。ちょっとした想像や妄想は誰でもすると思いますが、作品として成立するまで思い続けるエネルギーが大事だなあと感じました。リンちゃんが好きという方、ボーカロイドの楽曲から興味を持った方、ぜひ一度手に取ってみてください。ではみなさんご一緒に、リンちゃんなう!リンちゃんなう!SSs [ sezu ]よかったらクリックお願いします。にほんブログ村
2016.03.13
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星屑ユートピア [ otetsu ]価格:1,296円(税込、送料込)本作はボーカロイド巡音ルカのヒット曲「星屑ユートピア」をモチーフにした小説です。【あらすじ】同じ高校へ通う九頭鬼陽輝(くずきはるき)と羽染姫菜(はぞめひな)は親友同士。しかし気になる先輩・星神銀河(ほしがみぎんが)が現れたことで、二人の関係はギクシャクし始めて……高校生の甘酸っぱい恋模様と、将来への希望を描いた恋愛小説です。【読後の感想】とにかく基本に忠実な恋愛小説という印象でした。あまりにもセオリーどおりでちょっと先が読めてしまうところがありましたが、定石どおりな分「この作者さんはどんな味付けをしてくるのかな」という楽しみがありました。恋愛初心者とはいえ、主人公二人の考えや行動がちょっと幼いかなという印象を受けました。いっそ中学生という設定なら違和感がなかったんじゃないかなと思いました。とは言っても恋や将来の選択など、だれしも経験のある青春を瑞々しく描いていると思います。【ボカロ小説であるということ】本作で良かったのは、物語にルカが登場しているところです。やはりボカロ小説であるので、何らかの形でボーカロイドが登場するのはファンとしては嬉しいし、どうやって物語に絡めてくるのかを見るのも楽しいですね。しかも「ルカ姉」と呼ばれていたり、大間マグロやタコでテンションが上がるとか、ボカロ好きはニヤリとさせられる演出も良いですね。皆さんも若々しい青春の物語をボーカロイド風味にお楽しみください。星屑ユートピア [ otetsu ]
2016.01.27
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