ミステリの部屋

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2005年11月02日
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「蓮丈那智フィールドファイル2」というサブタイトルの通り、「凶笑面」に次ぐ、民俗学者・蓮丈那智シリーズ第二弾です。

秘供養/大黒闇/死満瓊/触身仏/御蔭講


先日ドラマの「凶笑面」を観たおかげで、蓮丈那智の顔は 木村多江さんベースで浮かんできます。ただし、短髪にして、もう少しクールにして、声を低くした状態ですが。
内藤三國は、私の中では以前からイメージしていた泉政行さんです。

シリーズ物の良さで、最初からすんなり入り込むことができました。

今回も、民俗学の謎と現代の事件とが重なりあい、民俗学の謎に解釈が与えられた時に、事件の真相も見えてくる と言う構成になっています。

ただ、フィールドワーク先でおこる事件は 表題作だけです。あとは 大学周辺など身近で起こった事件が中心になっています。

蓮丈那智は 最初の話から怪我をしたり、ある時は殺人の容疑をかけられたりと結構大変な目にあってしまいます。そのため、前回よりちょっとだけ人間味が感じられて、小心で気弱で子犬のような三國との掛け合いが さらに笑えました。


民俗学的考察は ミステリに似ているようです。
集めたデータをもとに、真相を推理していきます。今回の民俗学で扱われたテーマは、天照大神(あまてらすおおみかみ)と素戔鳴尊(すさのうのみこと)、大黒様や五百羅漢など、誰もが知っている身近なものなので、興味深く、面白く読みました。


つまり終わりのないミステリだとも言えそうです。

蓮丈那智は異端にして孤高の民俗学者 と言われていますが、ユニークな発想が優れた考察につながる事が多いのならば、そういう表現もほめ言葉かもしれません。

発想という名のネズミが 頭の片隅をたびたび走るようになった三國が、講師の試験を受けることになったり、もう一人謎めいた優秀な助手が加わったり、名前もわからない教務課の狐目の男が ついに重要人物となってきたり、これからも目が離せない展開です。



触身仏  触身仏 : 北森鴻











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最終更新日  2008年10月26日 18時25分23秒
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