ミステリの部屋

ミステリの部屋

2006年03月23日
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ある地方の小さな空港で、刑事が滑走路近くに立って辺りを見回していました。


たまたまそこには雲の写真を取りに来た3人組がいました。
その中に、長身で端麗な顔立ちだけれど、運動神経ゼロの青年がいました。
彼が主人公の亜愛一郎、カメラマンです。

ほどなく飛行機が着陸して、成金の柴が降りてきましたが、爆破予告があったわりに警備が手薄なことに腹を立てています。

彼はタラップを降りる時に一度つまづきましたが、なぜか空港の階段でもつまづき、去っていきました。
つまづくようなものは何もなかったのに……。

この一見たいしたことのないようなできごとから、亜はその後に起きた事件の真相を導き出すことになります。




「亜愛一郎」三部作の第一弾である本書には色々な人の視点から描かれた、8つの話が収められています。

【目次】
第1話 DL2号機事件/第2話 右腕山上空/第3話 曲った部屋/第4話 掌上の黄金仮面/第5話 G線上の鼬/第6話 掘出された童話/第7話 ホロボの神/第8話 黒い霧

それにしてもユニークな探偵です。

まず名前。日本人で一音の苗字は初めて見ました。

亜はカメラマンという仕事柄、色々な場面に顔を出しては事件に遭遇します。
時にはしっかり巻き込まれるのですが、その飄々とした人柄ゆえ、いつもどこかユーモラスな雰囲気が漂います。

彼の推理方法は、ちょっとした仕草や言葉から人がどう考えたのかを想像するというものです。
チェスタトンのブラウン神父を思わせますね。

中で「曲った部屋」だけは読んだことがありました。この話のすじはよく覚えていたものの、どこで読んだかわからなかったのですが、疑問が解消しました。

どの作品も面白かったのですが、「ホロボの神」は「有栖川有栖の密室大図鑑」でも紹介されているように密室を扱っており、真相はかなり意外なものでした。
それと、私にとって一番笑えた場面もこの話の中にありました。


深刻にならずに読めるところも、気にいりました。

それと、毎回登場する「三角形の顔をした老婦人」、あまり穏やかな性格の人ではないようですが、その正体も気になるところ。
二作目以降も登場するのでしょうか。



亜愛一郎の狼狽 : 泡坂妻夫








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最終更新日  2008年02月12日 22時50分51秒
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